春を迎えた今の時期、狂犬病やフィラリアといった予防接種のついでに、犬たちの健康診断を予定している方も多いようです。 今回POCHIでは「春の健康応援」としまして、健康診断で気になるポイントや、ペット栄養管理士がセレクトしたおすすめアイテムをご紹介していきます。

健康診断で気になるポイントについて

定期的に健康診断を行うことで、病気の早期発見・早期治療を行うことが出来ます。
できる限り早く病気を発見することで、重症にならずにすむ場合もあり、 早く病気を治すことができれば、その分治療費も抑えることができます。
主な健康診断の内容としては
・聴診
・視診
・触診
・血液検査
・レントゲン検査
・エコー(超音波)検査
・尿検査
などがあり、犬の健康状態によってはまた別の検査が必要になる場合もあります。 血液検査などの項目は、項目が多いとその分費用も高くなってしまうため、まずは基本的な項目から、気になる項目や疑わしい項目に広げていく方法が一般的です。
ポチスタッフが、健康診断のポイントを獣医師さんに聞いてみました。

●心臓について
聴診で心雑音や呼吸、心拍数などを検査し、そこで異常が見つかればレントゲン検査やエコー(超音波)検査などで具体的な疾患を見つけます。 中でもシニア犬は心雑音から僧帽弁膜症が見つかることも多いそうです。

●すい臓について
一般的にすい臓は診断が難しいとされています。リパーゼやアミラーゼといった血液検査での膵酵素の数値の異常は、それだけで疾患があると判断できないため、単純に消化酵素を摂取するといいとは限りません。

●腎臓について
犬の中では血液検査や尿検査で一番引っかかる場合が多いのが腎臓といわれています。最近水を飲む量が増えたかも？と感じたら、尿検査などの腎臓の検査を受けることをお勧めします。

●肝臓について
一般的にGPT、GOT、GGT、ALPなどの肝酵素が血液検査で測定されます。ただし、肝酵素の数値が高いと肝臓が悪いとは一概には言えず、多くの機能を持つ肝臓の場合、初期症状がわかりにくいのでより詳細な項目の検査が必要になる場合があります。

●肥満について
肥満の犬は、様々な病気リスクを抱えています。犬のメタボリック基準値として、ボディコンディションスコア（BCS）に3つの項目を加えた、以下の4つの項目を目安にしているところがあります。

　「　肥　満　」　→　BCS 3.5以上
　「高　血　糖」　→　血糖値120(mg/dl)以上
　「高　脂　血」　→　トリグリセリド(中性脂肪)165(mg/dl)以上、総コレステロール200(mg/dl)以上
　「免疫力低下」　→　アディポネクチン(免疫ホルモン)10(μg/ml)未満

犬の肥満と関連が示唆されている疾患としては、

・脂質代謝異常
・慢性心疾患
・整形外科疾患（関節）
・糖尿病
・尿石症

などがあり、肥満をそのままにしておくと、さまざまな病気の原因になりかねません。 肥満には運動と食事制限が重要とされていますが、食事の選び方のポイントは、 「エネルギー制限食であること」、「低炭水化物(低GI)」、「高食物繊維」、「高たんぱく質」があげられます。 痩せさせたいからといって、給与量を減らしてしまうだけだと必要栄養素の欠如につながるおそれがあります。
肥満の原因はエネルギー摂取量が消費量を上回ることなので、食事制限と運動をバランスよく続けることが大切です。

シニア犬が注意したいポイント

「サラサラな血液」というと、健康的なイメージがありますが、逆に「ドロドロの血液」になると「肥満」の代名詞ともいえます。 血液の流れが悪いということは、それだけ体に対する負担が大きく、代謝が落ちて「高血糖」につながります。
血液がドロドロだと、動脈硬化のリスクを高め、心臓に関わるトラブルになりがちです。とくにシニア犬には注意したいところです。
血流をサラサラにしてくれる栄養素として名高いのが「EPA」です。
今回はその「EPA」について調べてみました。

●EPAについて
EPAとは「イコサペンタエン酸(エイコサペンタエン酸)」の略称で、主に青魚に多く含まれるn-3系脂肪酸（オメガ3）のひとつです。 犬の体内ではほとんど作ることができない必須脂肪酸であり、食事で摂取する必要があります。 血栓予防や抗炎症作用、高血圧の予防に効果が期待でき、犬への影響についても、「血中コレステロール濃度の低下」や「関節疾患の緩和」などさまざまな報告があります。

●DHAとの違い
同じオメガ3系の脂肪酸として、「EPA」と「DHA」は一緒に紹介されることが多くありますが、 その理由としては、「EPA」と「DHA」も混ざった魚油による研究が多いことが影響しているようです。
「DHA」は100%の濃度のものを人が食べた研究が少なく、確定的に言えるのは脳や神経に存在するということまでになりますが、 「EPA」は純度がほぼ100%の濃度の医薬品で研究が積み重ねられてきたため、血液や血管の健康に様々な効果があることがわかっています。

●魚のEPA含有量比較
鮮度が良く、脂ののった旬の時期の魚には、より多くのEPAが含有されています。
特に「いわし」「さんま」「にしん」といった青魚に多く含まれています。

●EPAを効率よく摂取するために
基本的には生で魚を食べるほうが「EPA」を損なわずに摂取できるといわれており、 煮る・焼くなどの調理でおよそ20％程度が流れ出てしまうそうです。
魚のレトルトや缶を与えるときに、一緒に入っている汁の中にもEPAが含まれますので、中身は丸ごと与えることをオススメします。

その他にも「EPA」と「DHA」は、脳神経系にとって必須栄養素であるため、犬の老化に伴う認知症対策にも活用されています。
シニア犬にとって問題が多くなる関節、心臓、腎臓、認知機能等に配慮するためにも、「EPA」は重要な要素といえます。

新しい季節のスタートに、しっかり健康チェックして、"うちのコ"の体を考えた健康計画を立ててみてはいかがでしょうか。

◆以下は終了しました。

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