- コラム
2026.06.25
【#ケアシリーズ】自然派獣医師が教える"涼活"で夏を乗り切る!お手軽ツボ刺激がおすすめ
文・写真=臼井京音
犬の健康に気を遣っているけれど、さまざまな情報が飛び交う昨今、なにを信じていいかと混乱していませんか?古かったり、信ぴょう性に欠けたりする情報が見られいるのも事実。
"犬の専門家"の見解や意見も割れることがしばしばありますが、信頼のおける有益な情報だけを集めたい飼い主さんのアンテナにビビッと来そうなトピックを集めてみました。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報涼活
鍼灸治療も行っていて、ホリスティックケアに詳しい向後亜希獣医師に、夏バテの予防や解消に役立つ、お手軽ツボ圧しやマッサージ、飲み物やアロマの活用法について教えていただきます。
犬が夏バテするとどうなる?
人間同様、犬も夏バテをすることがあります。
西洋医学だけでなく鍼灸治療などの東洋医学、アロマ精油といったホリスティックケアも取り入れている、こうご動物病院(東京都多摩市)の向後亜希獣医師は、次のように語ります。
「日本の梅雨から夏にかけては湿度が高いので、余分な水分、つまり中医学で言うところの“湿”に注意が必要です。犬の場合でも、湿度が高い時期は体がむくみやすくなるほか、だるくなったり疲れやすくなったり、消化機能が衰えて軟便や下痢になったりします。
飼い主さんが自宅で簡単にできるケアで“湿”をのがし、体内の停滞した水分の巡りを回復させてあげると、夏バテしにくくなりますよ」
ではさっそく、向後獣医師直伝の、うちの子が夏を健康に乗り切るための“涼活”方法を教えてもらいましょう。
「冷房の効いた室内にいるけど、なんだかだるいなぁ。熱をのがしてほしいよ~」
最初は“耳のマッサージ”から
まず、うちの子の頭からお尻のあたりまでなでて、リラックスした雰囲気づくりから。これで犬の気持ちも身体もほぐれて、マッサージやツボ圧しをされる準備が整います。
そのあと最初に行ってあげたいのが、高温多湿の時期のだるさを解消するのにぴったりな、耳のマッサージです。
「耳には、自律神経を整えるツボをはじめ、刺激してあげたいツボがたくさんあります。それらのツボにくまなく触れるようにして、犬の耳を少し強めの力でなでるようにしながらマッサージをしてあげましょう。
耳から熱を外に出すようなイメージで、うちの子とのスキンシップもかねて触ってあげてくださいね」
まずは耳の根本を、飼い主さんの手で挟みます。それから、スーッと流すようにして耳先に向けて手をすべらせながら耳を軽く引っ張ってください
涼活におすすめのツボ3選
向後獣医師がピックアップした、涼活におすすめのツボを3つ紹介します。
「どのツボもピンポイントで圧そうとしなくて大丈夫です。ツボのまわりをマッサージするような感覚で、うちの子のツボ刺激をしてくださいね。まずは、飼い主さんがリラックスすることがなにより大切です」(向後獣医師)
ツボ刺激1委中(いちゅう)
消化器、皮膚、関節など、あらゆるところに“万能”なツボ。
熱中症や、熱がこもりやすいといった症状を改善するためにも使われます。
膝の真裏のくぼんだ部分にあります。
涼活とは関係ありませんが、膝の関節トラブルや腰痛にも効能があるので、足腰が弱ってきたシニア犬にも、毎日圧してあげたいツボのひとつ。
飼い主さんの指の腹を使って、軽く圧をかけてみてください。
指の腹を使って、弱い力で何回か膝裏を刺激してあげましょう
ツボ刺激2中脘(ちゅうかん)
暑い時期は、消化機能の衰えによる軟便や下痢、むくみ、疲労感などが起こりがち。中脘は胃腸の機能を健やかにしてくれ、消化器トラブルを予防したり改善したりするのに使われるツボです。
人間で言うとみぞおちとおへその中間、犬で言えば、もっともおへそに近いところにある胸骨とおへその中間にあります。
お腹はデリケートな部分なので、やさしい力でマッサージをする感覚で刺激してあげましょう。
ピンポイントでわかりにくければ、おへその上から肋骨のあるあたりにかけて、マッサージ感覚で圧してあげると良いでしょう
ツボ刺激3曲池(きょくち)
アレルギーやアトピー体質の犬に圧してあげたいツボです。夏の暑さや冷房で乱れた自律神経を整える効果もあります。
曲池の位置は、肘を曲げた際、外側の中央部にある上腕骨の前(顔側)にあるくぼみ。
飼い主さんの指で3秒ほど圧し、3秒は指を離したままにするという動きを、何度か繰り返してください。
肘の外側をやさしい力で指圧するようにします。飼い主さんもゆったりとした気持ちで行いましょう。
夏には、トウモロコシのひげ茶が活躍
涼活にイチオシのお茶は、トウモロコシのひげ茶です。
「中医学的な表現としては、胃腸を整えて体にたまった余分な“湿”を出します。利水作用があるので、湿度の高い時期に起こりやすいむくみを解消してくれるんですよ」(向後獣医師)
トウモロコシは夏の食材ですが、そのひげを利用した“ひげ茶”は一年中、食品店やハーブティーショップなどで購入できます。
「そのまま冷ましてから飲み物として犬に与えてもいいですし、ごはんにひげ茶を混ぜて与えてもいいです。
飼い主さんもうちの子と一緒に飲んで、ぜひ健康生活に役立ててください」(向後獣医師)
なお、シニア犬に比較的よく見られる胆泥症の犬にも、トウモロコシのひげ茶は利胆作用があるのでおすすめです。
手軽に手に入るトウモロコシのひげ茶を、飼い主さんもうちの子も涼活に活用を
アロマを取り入れて涼活
涼活に、スペアミントのアロマ精油(アロマオイル)を取り入れて爽やかに過ごすのもよいでしょう。
ミントといえばペパーミントを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、ペパーミントはスペアミントと別の種類のミントを掛け合わせて作られた品種で、l-メントールが多く含まれていて、スペアミントより強い清涼感とピリッとした刺激があるフレーバーが特徴です。
スペアミントの主な香り成分はl-カルボンで、ペパーミントよりも香りも味もマイルドなので、ハーブティーや料理にも広く使われています。
「犬にとっても、ペパーミントよりもスペアミントのほうが、刺激が穏やかなので使いやすいでしょう。スペアミントはリラックス効果もあるんですよ。
ひとつ目の活用法は、スペアミントの精油を使って犬の体をマッサージすること。
夏に衰えがちな消化機能を促進してくれる効果があるので、取り入れてみてください。虫除けにもなるため、散歩後よりも散歩前にマッサージを行うほうがいいかもしれません」(向後獣医師)
スペアミントを使ったマッサージは数日置きくらいで行うのが、適度な頻度
マッサージは、キャリアオイル(アロマオイルを希釈するための天然オイル)を飼い主さんの手に取ったら、できればオーガニックの高品質なスペアミントのアロマ精油を1~2滴垂らして混ぜ、うちの子の背中やお腹、四肢を手でやさしくなでたりしてください。
「散歩では、熱中症予防策として活用しやすい“クールバンダナ”(保冷剤を仕込めるタイプや、水で濡らして首に巻くタイプなど)や冷感ウェアに、スペアミントの精油を1滴垂らして出かければ、穏やかな清涼感をうちの子も感じて、快適にお散歩ができるでしょう。
スペアミントは、蚊などの虫除け作用もあるというメリットもあります」
マッサージとツボ圧し、飼い主さんもうちの子と一緒に使えるお茶やアロマを活用して、うちの子の夏バテ予防や解消につとめ、元気で暑い夏を乗り切れるようにサポートしてあげてくださいね。
スペアミントを垂らしたクールバンダナをつけて散歩へ。少しでもうちの子が気分爽快で外出できるように努めるのも、涼活です
■ 取材協力:向後亜希
■ 文・写真:臼井京音
ドッグライター・ジャーナリストとして、20年以上にわたり世界の犬事情を取材。現在は犬専門誌『Wan』をはじめ週刊誌、Web媒体、会報誌等で情報発信を行う。以前は『愛犬の友』誌、毎日新聞の連載コラム(2009年終了)などでも執筆。著書に『うみいぬ』『室内犬の気持ちがわかる本-上手な育て方としつけ方をアドバイス!』がある。
現在は元野犬の中型犬と暮らす。歴代愛犬のノーリッチ・テリア2頭と同様にボールを追いかけることが喜びで、趣味はテニスとバレーボールと写真撮影。パリやNYで撮影し自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、ペットショップP2などのインテリアにも使用されている。


