- コラム
2026.09.07
【#犬のキホンおさらい】子犬の個性と気持ちを理解して!接し方で育む信頼関係

文・取材=臼井京音
毎日一緒に暮らしている犬について、「そういえば、なぜなんだろう?」「これって、何のために必要なのかな?」と思うことはありませんか?犬に関する基礎知識や健康管理の基本など、知っているようで知らないことは、意外とたくさんあるものかもしれません。
犬との暮らしをより豊かなものにするためには、土台となる正しい知識を身につけることが大切。そこで、犬に関する基本情報や知っておきたい基礎知識をおさらいしながら、犬の理解を深めるヒントをお届けします。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報子犬の気持ちと接し方
子犬を育てる際、良かれと思ってやっているほめ方や接し方が、実は子犬のためになっていないことも……。子犬の個性や反応を見ながら、飼い主として理想的な接し方を学び、うちの子との信頼関係を育みましょう。
頭をなでることが、ほめることではない
子犬を迎えた飼い主さんは、早く子犬と仲良くなりたいと思ってさまざまな情報を仕入れ、良さそうなことを試してみると思います。
ここでなによりも大切なことは、子犬の性格や個性に合う接し方をすること。
スキンシップを好まない子なのになでまわしたりすると、「近づくと触られるから遠くにいよう……」と子犬に嫌煙される可能性があります。
逆に「迎えてから数日間は、静かな環境で過ごさせて家族は見守るだけにしましょう」という情報をもとにあまり接触せずにいると、スキンシップが大好きな子の場合はさびしい思いを募らせてしまう恐れがあります。
迎えた子がどんな性格なのか、まずは迎え先からの情報や飼い主さんの観察結果をもとに把握するようにしてください。

子犬の様子をよく観察しながら、子犬の気持ちになって接してあげたいものです
子犬に限らず成犬に対してもよくある勘違いが、犬をほめるときはなでなければならない、と思っていること。
オスワリや呼び戻しやトイレのトレーニングをしていて、ちゃんとできたら犬をほめるのはとても重要です。その際、ごほうびのおやつをあげる際に、犬の頭をなでていませんか?
なでた際、犬がちょっとびっくりした様子を見せたり、舌先をペロッと出したりするのはストレスを感じているサインです。飼い主さんはせっかくなでてほめたつもりでも、犬からしてみれば不快な罰を与えられたことになりかねません。
「呼ばれたから駆けつけたら、飼い主さんから急に頭を触られて不愉快になった。もう、呼ばれても行くのはやめたい」と犬が感じてしまった場合、呼び戻しのレッスンは成功できなくなる可能性が高まります。
人でも、急に背後や頭上から誰かの手が伸びてきたらびっくりするでしょう。犬も同じ。ほめる際は、とっておきのおやつをあげるだけで十分です。
遊び好きな犬には、おやつの代わりにおもちゃをごほうびにしても良いでしょう。

名前を呼んでこちらに来ても、なでなくてOK
ほめ方は、子犬の性格によって違う
犬をほめる時は高い声で、飼い主さんも喜びを表現しながら、という情報に触れたこともあるかもしれません。実はこれも、犬の性格によってほめ方は変えるのがベストです。
トイレが成功した時、オスワリがちゃんと合図でできた時、引っ張らずにお散歩できた時など、「グーッ」「えら~い!」と飼い主さんが興奮気味にほめると、犬によってはうれしくてピョンピョンと飛び跳ねてしまうなど、興奮させてしまう恐れがあります。興奮しやすい性格の犬をほめる際は、「グゥ」と飼い主さんも落ち着いたトーンで声を発し、そっと口元にごほうびのおやつを持っていくと、興奮癖をつけずに育てることができるでしょう。

テンションが上がりやすいかどうか、子犬の性格にも合わせて接して
もちろん、おとなしい性格だったりシャイな性格だったりする子をほめる時は、犬がしっぽを少しでも振る様子が見られるくらい、飼い主さんがおおげさにほめるように心掛けてあげてください。
犬の性格を把握したうえで、最良のほめ方をしてあげたいものです。
室内でも楽しみをたくさん提供してあげよう
子犬はエネルギーに満ちあふれています。飼い主さんが遊びに付き合って、ヘトヘトになるほどに……。
「子犬がいたずらをして困る」と嘆く飼い主さんも少なくありませんが、家具や衣類をかじるなどの人間側から見たお困り行動の原因は、有り余るエネルギーを発散している可能性も大。子犬も飼い主さんもストレスが少なく日々ハッピーに過ごすために、ぜひ、子犬にエネルギー発散の機会を室内でたくさん提供してあげてください。

エネルギーが有り余ると……。子犬に罪はありません
飼い主さんが家事や仕事などをしていても、犬だけが楽しめる遊びでおすすめなのは、おやつやフードを室内のあちこちに隠して探させること。ジャーキーやチーズなどのにおいが強めのスペシャルトリーツを活用すると、子犬の興味対象も移らず集中力が続きやすくなります。
犬は嗅覚にすぐれた動物ですが、いつもにおいを気にしているわけではありません。「嗅ぐぞ!」とスイッチを入れた瞬間に発せられる「フッフッフンッ」という荒い鼻息は、飼い主さんにも聞こえるはず。嗅覚スイッチが入っている時は脳内で多くの情報処理を行っているので、おやつ探しゲームは子犬の“脳トレ”にもなります。
ゲーム後は、満ち足りたような表情で天使の寝顔を見せてくれるに違いありません。
子犬はワクチンプログラムの兼ね合いがあったり、熱中症にかかりやすかったりするため、成犬のようにロング散歩でのストレス発散がむずかしいものです。
室内で手軽にできる、“ノーズワーク”と言われる競技を模した“脳トレ”ゲームで、エネルギーとストレスを発散させてあげましょう。

おもちゃの中におやつを仕込んで探させて、知育玩具のように使うのもおすすめ
遊ぶ時は子犬が無理な姿勢にならないように注意
パピー期は、将来に向けて丈夫で健康な体を作っていく時期です。子犬と遊ぶ時には、子犬の骨や関節が不自然な状態にならないように注意してください。
たとえば、ロープ状のおもちゃで引っ張りっこをしている時、子犬の前肢が地面から浮くのは好ましくありません。犬は本来、ほとんどの時間、四つ足を地面につけて過ごす動物です。無理な体勢になって、首や足腰に負荷がかからないように、引っ張り合い遊びの際は犬が四つ足を地面に踏ん張れる状態を保てるようにしましょう。

引っ張り合い遊びの際は、おもちゃも地面と水平を保つようにして子犬の後肢が浮かないように要注意
引っ張り合い遊びの時ももちろんのこと、ボールやぬいぐるみなどを室内で投げて遊ぶ際も、フローリングなどの滑る床はNG。そもそも滑りやすい床では足を踏ん張ることが困難なうえ、膝関節や股関節などの発育に悪影響をおよぼします。
ケガの予防のためにも、犬との暮らしではカーペットを敷くなどして滑りにくい環境を整えてあげたいものです。

フローリングは滑らないように加工することも可能ですが、滑る床にはなるべくカーペットやラグを敷きましょう
トイレの設置場所は気持ちを考えて
筆者はかつて10年間ほど犬の幼稚園(子犬の社会化を目的とした施設)を運営していて、約300件の自宅出張トレーニングレッスンの経験がありますが、トイレの設置場所が原因で子犬がトイレを失敗しているケースも多く見られました。
犬はきれい好きな動物なので、自分の排泄物で寝床周辺を汚したくはありません。子犬をサークルから出してリビングなどを自由にさせている時は、排泄のために、わざわざサークル内に置いてあるトイレトレーには戻らない可能性が高まります。サークルの外に出た時点で自分のなわばりがリビング全体になるため、サークル全体が“寝床”という認識に変わるからです。
子犬をサークルの外に出す時は、トイレトレーもサークル外に出してサークルから遠い場所に設置すると、トイレの成功率が上がるでしょう。

犬はくさむらで排泄をする習性があるので、網目のカバーがない、足元がふかふかしたペットシーツの上に直接立てると成功しやすいでしょう
そもそも排泄中は、野生下では無防備な状態のため天敵に狙われやすいものです。そのため、安心できない場所やシチュエーションでは、犬は排泄をちゅうちょしがち。
たとえば、庭やベランダへと続く大きな窓の近く、大きな音がするテレビの近くなどでは、野生的な本能が強い犬や繊細な性格の犬は落ち着いて排泄ができないこともあります。
寝床から比較的離れた、部屋の隅や家具の陰など、室内外の刺激を感じにくいところにトイレを設置してあげると、犬も安心して用を足せるに違いありません。

犬は飼い主さんの気分に敏感。いつも落ち着いてやさしく接すれば、きっと心をゆだねてくれます
犬という動物の習性や生態を知り、そして目の前のうちの子の性格や個性を考慮しながら愛情を持って接していけば、お互いに深い信頼関係が築けるはず。
飼い主さんの気分やテンションも、犬にダイレクトに影響します。飼い主さんも心にゆとりを持って、楽しみながら“育犬”できますように。
■ 文・取材:臼井京音
ドッグライター・ジャーナリストとして、20年以上にわたり世界の犬事情を取材。現在は犬専門誌『Wan』をはじめ週刊誌、Web媒体、会報誌等で情報発信を行う。以前は『愛犬の友』誌、毎日新聞の連載コラム(2009年終了)などでも執筆。著書に『うみいぬ』『室内犬の気持ちがわかる本-上手な育て方としつけ方をアドバイス!』がある。
現在は元野犬の中型犬と暮らす。歴代愛犬のノーリッチ・テリア2頭と同様にボールを追いかけることが喜びで、趣味はテニスとバレーボールと写真撮影。パリやNYで撮影し自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、ペットショップP2などのインテリアにも使用されている。