• コラム

2026.10.30

【#真のプロフェッショナルに迫る】犬が迷子に! 脱走した! 捜索法をペット探偵が伝授

【#真のプロフェッショナルに迫る】犬が迷子に! 脱走した! 捜索法をペット探偵が伝授

あまり目立たないけれど、実は犬との生活を陰で支えている繊細なプロの仕事の存在を、意識したことはありますか?犬と暮らしていくうえで欠かせない知識や知っておきたい情報、身に着けておきたい技術などについて、"真のプロフェッショナル"とたたえたい、ある方面で専門性の高い有識者の方々にインタビューした内容をご紹介しています。(POCHI編集チーム) 

今回のお役立ち情報迷子捜索の秘訣

犬が逃げてしまったり迷子になってしまった際、飼い主さんがすべきことは? ペット探偵歴およそ30年の藤原博史さんに、迷子捜索の重要なポイントを教えてもらいました。

うちの子が脱走するシチュエーションとは?

みなさんは、うちの子が一瞬でも脱走してヒヤッとしたことはありませんか?
筆者は実は3回、肝が冷える思いをしたことがあります。
1度目と2度目は、散歩している時に、ロケット花火の音やそばを通った大型バイクの爆音に犬がびっくりしてすくみ、スポッと首輪が抜けてそのまま走っていってしまったこと。
1度目はトリミングサロン帰りで被毛がフワフワだったので、トリミングサロンの人が気をきかせて首輪を通す穴の位置をいつもよりひとつ手前で通してしまっていたから。2度目は、犬の首がきつそうだと感じた娘が、筆者の知らない間に首輪をゆるくしていたのが原因です。
3度目は、後部座席に乗っていた犬を駐車場で下ろす際、娘がドアを開けた瞬間に現在一緒に暮らしている元野犬くんが飛び出してしまった時です。
いずれも短時間で無事に筆者のもとに戻りましたが、その瞬間は大パニックになったのを昨日のことのように思い出します。

元野犬は脱走しやすい子が多いことが知られています。ダブルリードにするなどして対策を

元野犬は脱走しやすい子が多いことが知られています。ダブルリードにするなどして対策を

また、散歩中に飼い主さんが転倒してリードの持ち手を放してしまって犬が走り去った、カートに乗っていた犬が落ちて逃げてしまった、帰宅時にドアを開けたら犬が飛び出して行った、キャンプ場併設のドッグランから元野犬が脱出してしまったという体験談も聞いています。

いくらこれを読んでいる飼い主さん自身が気をつけていても、思いもかけないことが起こり、いつうちの子が脱走したり迷子になったりするかわかりません。
うちの子が迷子になった時になにをすべきか、テレビなどメディア出演も多数のペット探偵である藤原博史さん(ペットレスキュー代表)に教えてもらいます。

ペット探偵の必携品である双眼鏡で、動物を捜す藤原さん

ペット探偵の必携品である双眼鏡で、動物を捜す藤原さん

むずかしいけれど、冷静でいて!

「犬が逃げてしまったら、飼い主さんの初動によってその後の展開が大きく変わってきます」と、藤原さんは言います。
順を追って、犬の失踪時に飼い主さんがすべきことを解説していきます。

犬の脱走時に重要なポイント1冷静になること

筆者も経験していますが、自分の視界から犬が遠ざかって行くと頭が真っ白になります。なにをしていいのか、なにからすればいいのか、わからずにただただ追いかけるだけという飼い主さんも少なくないでしょう。
「ほとんどの犬は人間よりも早く走るので、走り去る犬を追いかけてもつかまえられる確率は高くありません。
遊んでもらえていると犬に勘違いされ、飼い主さんが追いかけるとさらに犬が離れていく可能性もあります。その場合は、数歩下がりながら落ち着いたトーンで呼び戻してください。その際、道路を横切った犬が交通事故にあわないように注意が必要です。
視界から消えてしまった犬を探して歩き回るのは得策とは言えません。
それよりなにより、まずは冷静になることが重要です。そして、飼い主さんが落ち着いて行うべきは、SNSでの情報拡散と、各所に連絡をすることです」(藤原さん ※以下「」内、同)

カートから落下してそのまま失踪というケースも……。車通りがあると飼い主さんがすぐに追いつけず見失うこともあるので、カートと犬のリードはしっかり固定しましょう

カートから落下してそのまま失踪というケースも……。車通りがあると飼い主さんがすぐに追いつけず見失うこともあるので、カートと犬のリードはしっかり固定しましょう

逸走後、すぐに連絡すべきところとは?

「犬と暮らしている方は、自治体の問い合わせ先を日ごろから頭の片隅に入れ、いざという時はすぐに連絡するようにしてください」

犬の脱走時に重要なポイント2自治体の問い合わせ先を把握してすぐ連絡

・警察

犬を保護した人が最初に連絡する可能性が高いのは、最寄りの警察です。
まずは、近くの警察署に「犬が逃げた」と電話で連絡をしてください。ただし、警察署同士では情報共有がなされないこともあるため、元気で体力がある犬の場合は逸走地域だけでなく、隣接する地域も含め広範囲に連絡を入れましょう。
「飼い主さんの予想より、はるか遠くで発見される例も多数あります」
なお、ペットは法律では「遺失物」なので、遺失物届も出します。

・保健所(自治体の生活衛生課などの場合もある)

失踪した犬の迷子届を出します。犬を保護したという届け出があれば、連絡をもらえます。
ちなみに、筆者が一員となっている「東京都中央区動物との共生推進員」には、保健所(中央区生活衛生課)から、失踪ペットが出ると一斉連絡が届き、推進員が外出中などに注意して探すといった対応をしています。このような活動を行う保健所がほかにあるかはわかりませんが、いずれにしても、保健所には早めに連絡してください。

“中央区動物との共生推進員”のドッグトレーナーが迎えた元野犬のコラッタちゃんも、散歩中に逸走経験あり。飼い主さんが警察署に届け出をしている最中に、「保護しました」と交番に連れてきて再会を果たしました

“中央区動物との共生推進員”のドッグトレーナーが迎えた元野犬のコラッタちゃんも、散歩中に逸走経験あり。飼い主さんが警察署に届け出をしている最中に、「保護しました」と交番に連れてきて再会を果たしました

・動物愛護管理センター(※自治体によっては名称が異なる)

交番や警察署に一時的に保管されることもありますが、迷子になったペットは動物愛護管理センターに移ります。

・市役所・区役所

想像するのはつらいことですが、市道や区道などでペットが交通事故にあって命を落としてしまった場合、自治体の土木課などが処理を行います。

・清掃局

県道や都道などでペットが交通事故にあって命を落としてしまった場合、最寄りの清掃局が処理を行います。

ベストショットを撮影しようとノーリードにした時に、ほかの動物や音などの刺激を受けて逸走するケースもあります。どんなときもリードはつけておきましょう

ベストショットを撮影しようとノーリードにした時に、ほかの動物や音などの刺激を受けて逸走するケースもあります。どんなときもリードはつけておきましょう

SNS拡散とポスター&チラシで協力者を増やす

「愛するうちの子を捜しに行きたくなる気持ちはよくわかります。けれども、失踪方向と違う場所をいくら捜しても時間のムダになってしまい、飼い主さんの体力と気力を消耗するばかり。自分の足でうちの子を捜し続けないことが、実は初動としてとても大切なのです。
かわりに、一緒に捜してくれる協力者を増やしましょう。そのために、SNSでの拡散力は頼りになります」

犬の脱走時に重要なポイント3SNSとチラシで迷子犬情報を拡散する

SNSに迷子犬の情報を出せば、あらゆる人からの目撃情報を得られやすくなります。
ポスターやチラシを作り、近くの商店や動物病院、貼ることを承諾してくれる個人宅に貼ったり、散歩仲間などに配ったりするのも有効です。
いずれの場合も、情報を詰め込みすぎず、以下の必要な情報だけを記すこと。

・犬の名前
・身体的な特徴、性別と年齢
 ※例えば、白っぽいラブラドール・レトリバーであれば、「白っぽい大型犬」と大きく書き、大きさがわかる写真を添えるのがポイント。あえてその特徴だけを目立たせることで、印象に残りやすくなるからです。
・失踪場所
・失踪日時
・連絡先(携帯電話がベスト)
・ひと言(「臆病なので近寄らないでください」「心配しています」など)
・ポスターやチラシの写真をスマホに保存してもらえるように促すひと言

チラシの見本。目につきやすい色で、ペットの全身をはじめ3枚ほどの写真を入れるのも大切なポイント(写真提供:ペットレスキュー)

チラシの見本。目につきやすい色で、ペットの全身をはじめ3枚ほどの写真を入れるのも大切なポイント(写真提供:ペットレスキュー)

「ポスターは、電柱に貼ると軽罪法違反になってしまうので貼れません。
犬の場合は数百枚~を目標に、東西南北の全方向にすき間ができないよう円形状に情報の網を張るのが理想です。
ケガをして地域の動物病院に運び込まれるケースもあるので、少なくとも半径10km圏内の動物病院に迷子チラシを持参するとともに、待合室などへの掲示もお願いしてください」

なお、チラシはペットレスキューのホームページから作成できるほか、ほかにも迷子ペット用チラシの作成ツールが提供されているウェブサイトもあります。必要に応じて活用するとよいでしょう。

最後の最後まで冷静でいること

「SNS拡散やポスター、チラシなどの情報提供により迷子になった犬の居場所が特定できたら、飼い主さんはその場所にすぐに向かってください。
その際も大切なことは、終始冷静でいること。
たとえば、道路の反対側から犬の名前を呼んで交通事故にあってしまったり、犬が飼い主さんだと気づかずに再び逃げ去ってしまったりと、なにが起こるかわかりません。とにかく心を落ち着けて、最後まで気を抜かずに対応しましょう」

見つけられた喜びから飼い主さんは興奮しがち。落ち着いて近づき、捕獲を

見つけられた喜びから飼い主さんは興奮しがち。落ち着いて近づき、捕獲を

行政に収容された犬や猫などのペット数と、民間の迷子掲示板を参考にすると、正確な数は公表されていないため概算になりますが1日に80~150頭のペットが失踪していると推測できます。
「残念ながら、そのうち3割はもとの飼い主さんのもとへ戻っていません。
もし迷子になってしまったら、これまで述べた順で行動していただくことと、ペットレスキューのホームページにある『無料チャットボット“迷子を見つける500の方法”』もぜひご活用ください。
小型犬か大型犬か、子犬か成犬か老犬か、そして犬種や季節などによって失踪した犬の行動が変わってきます。
チャットボットの質問にいくつか答えるだけで、今のあなたの状況に合った最も効果的な捜し方がわかります」

小型犬で人懐っこい性格の場合、どこかで飼われていたりするケースもあります。動物病院との迷子情報共有は重要です

小型犬で人懐っこい性格の場合、どこかで飼われていたりするケースもあります。動物病院との迷子情報共有は重要です

ペット探偵に依頼するなら

もし飼い主さんが自分で捜索するのが困難な場合は、ペット探偵に依頼する方法もあります。
「ただ、ペット探偵を名乗る会社は世の中にゴマンとあり、なかにはいい加減な業者が存在するのも事実です。
ペットレスキューは1997年に私が創業して以来、6,000件を超える迷子捜索を行い、5,000頭以上の犬や猫を無事に保護してきました。
ペット探偵に依頼する際は、過去の実績などを精査しよく検討されることをおすすめします」

日ごろから愛するうちの子に、迷子というつらい思いをさせないように万全の対策を講じておくことはもちろんのこと、万が一失踪してしまった際は落ち着いて正しい行動が取れるように心得ておくことも大切です。

自動車に載せる際や、犬にとって見知らぬ土地を歩く旅行時は、とくに脱走に注意を

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■ 取材協力:藤原博史さん

bigdog-lostdog-first-response_prof.jpgペットレスキュー代表。1997年に迷子になった動物を捜すペットレスキューを設立。全国から依頼を受け、猫と犬を中心にあらゆる種類の迷子を発見、保護している。「人とペットが共にたのしく幸せに生きる」ことを願い、様々な試みを行い情報を発信している。著書に『210日ぶりに帰ってきた 奇跡のネコ -ペット探偵の奮闘記-』(新潮社)、『ペット探偵は見た!』(扶桑社)がある。



■ 文・取材:臼井京音

profile_202506.jpgドッグライター・ジャーナリストとして、20年以上にわたり世界の犬事情を取材。現在は犬専門誌『Wan』をはじめ週刊誌、Web媒体、会報誌等で情報発信を行う。以前は『愛犬の友』誌、毎日新聞の連載コラム(2009年終了)などでも執筆。著書に『うみいぬ』『室内犬の気持ちがわかる本-上手な育て方としつけ方をアドバイス!』がある。
現在は元野犬の中型犬と暮らす。歴代愛犬のノーリッチ・テリア2頭と同様にボールを追いかけることが喜びで、趣味はテニスとバレーボールと写真撮影。パリやNYで撮影し自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、ペットショップP2などのインテリアにも使用されている。