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2026.10.28

雪山レスキューのプロ!NZで活躍する雪崩救助犬とは?~南半球のDog's letter~

雪山レスキューのプロ!NZで活躍する雪崩救助犬とは?~南半球のDog's letter~

世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?!共通してるかも?!と思える目新しいドッグライフ情報。今回は、雪山で人命救助のために奮闘する"雪崩救助犬"についてご紹介します。

DOG's TALK

この記事を書いた人:グルービー美子

この記事を書いた人:グルービー美子

ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。

雪山の人命救助に欠かせない犬たち

ニュージーランドの雪山ではウインタースポーツを楽しむ人々の安全を守るため、精鋭のレスキュー隊員が働いています。その中で主戦力となっているのが、雪崩救助を専門とする犬とハンドラーのチームです。一体どのようなお仕事なのか、ニュージーランド雪崩捜索犬組織 Search and Rescue Dogs Avalanche New Zealand(SARDA NZ)で訓練・育成を担当するステファン・ハンターさんに話を伺いました。

約3年のトレーニングを経て雪崩救助犬に

「SARDA NZの主な任務は、雪崩に巻き込まれて雪に埋もれた人々を捜索・救助することです。
かつてはLandSAR Search Dogs(災害救助犬・捜索救助犬チーム)がその役割を担っていましたが、雪山という特殊な環境下で速やかに救助活動を行うためには専門の組織が必要との声が高まり、SARDA NZが設立されました。
私たちはスキー場、山岳ガイド会社、警察と密接に連携して活動しています」

そう話すステファンさんは、スイスとニュージーランドで約30年、雪崩救助に携わってきた雪山のプロフェッショナル。
SARDA NZのハンドラーになるには豊富な高山経験が絶対条件で、そのほとんどが山岳ガイドやスキーパトロール、ゲレンデ整備車の運転手といった雪山にまつわる仕事に従事している人だそうです。
ハンドラーには被災者を見つけるだけでなく、救助チーム全体の安全を確保するスキルも求められるため、雪山を熟知して危険を未然に防ぐ能力が不可欠なのです。


「雪崩救助犬はすべてハンドラーの家族である犬で、約3年間にわたる厳しい訓練課程を経てデビューします。この過程にはSARDA内の民間トレーナーはもちろん、ニュージーランド警察犬訓練部隊による指導も含まれます」
さらに、デビュー後も毎年トレーニングキャンプに参加し、警察犬訓練部隊の指導員とSARDA NZの認定トレーナーで構成される専門委員会から体力および実務能力について公式評価を受ける決まりとなっています。
「評価は国際基準に沿って行われます。雪崩対策・雪崩レスキュー先進国のスイスで長年この職務についてきた経験から、ニュージーランドのチームが示す水準は極めて高く、世界トップクラスと肩を並べるものであると自信を持って言えます」

雪崩救助犬になるためのトレーニングとは

雪崩救助犬の訓練課程は、細かく段階的に分かれています。
犬が1つの小さな行動を習得したら次の行動へと進み、ひとつのプロセスに数週間から数ヶ月を要することもあるといいます。
「犬たちは低空飛行するヘリコプターの爆音や近くの救助隊員の動きに惑わされず、雪に埋もれた人を探すことに集中しなければなりません。そのための社会化トレーニングは徹底します。そしてハンドラーは犬が指示に従って捜索できるようになるまで、犬の行動を読み取り、形作っていく方法を学びます」

数々のプロセスを経て晴れてデビューした犬とハンドラーは、通常警察の要請に応じて雪崩事故が発生した場所へ出動します。
一方、犠牲者が目撃されていない雪崩現場へも人が埋もれていないかを確認するために出かけるそうです。
「冬の嵐のシーズンには週2~3件の出動要請を受けますが、天候が安定していると何週間も事故が起きないこともあります。とはいえ、事故がいつ発生するかは予測不可能なので、いつ要請があってもいいように待機しています」

雪崩救助犬に適している犬とは

雪崩救助犬にはどのような犬が適しているのでしょうか。ステファンさんに尋ねると、これまでにあらゆる犬種が働いているのを見てきたと話してくれました。
「小柄なピレネー・シープドッグから大きなジャーマン・シェパード、そしてミックス犬まで犬種はさまざまですが、牧羊犬種は向いていると思います。また、硬く凍った雪や腰まで埋まるような深い雪といった多様な雪質の中で効率的に移動できること、氷点下を大幅に下回る気温に耐えられる身体的要件も重要です。さらに必須といえるのが、並外れて粘り強い狩猟意欲を持っていること。また、この業務に性別は関係なく、オスとメスの間に実務上の違いは見られません」

現在は全国に14の捜索救助犬チームが配置されており、主要なスキー場や山岳地帯、雪に覆われた網羅しているそう。雪崩救助はスピードがカギを握るため、事故の規模によっては2~3組の犬チームが同時に捜索することも。犬たちは最長8~10年で引退するため、ステファンさんは常に複数の候補犬とハンドラーの育成にあたっています。
 ニュージーランドは春を迎え、今年の雪崩救助のシーズンは無事終了しました。しかし、次のシーズンに向け、雪崩救助犬チームは早くも準備を始めています。

*1 取材・写真協力:SARDA NZ https://avalanchesearchdogs.co.nz/