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2026.10.15
【#獣医師に聞く】肥満にさせない!食事と運動と日常生活の工夫ポイント

文・取材=臼井京音
あまり目立たないけれど、実は犬との生活を陰で支えている繊細なプロの仕事の存在を、意識したことはありますか?犬と暮らしていくうえで欠かせない知識や知っておきたい情報、身に着けておきたい技術などについて、"真のプロフェッショナル"とたたえたい、ある方面で専門性の高い有識者の方々にインタビューした内容をご紹介しています。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報肥満対策
肥満による健康リスクをはじめ、肥満予防の対策などを獣医師に教えてもらいます。知識を得て、うちの子の健康管理に役立てましょう。
犬の肥満のリスクとは
「人間同様、犬の肥満もあらゆる病気の悪化要因になるので予防をしたいものですね」
このように、東京都内で複数の動物病院を運営していた箱崎加奈子獣医師は言います。

「ぽっちゃりしてかわいい」けれど、健康面では肥満は高リスク!
筆者がかつて生活を共にした3頭のテリアもシニア期に僧帽弁閉鎖不全症になりましたが、獣医師から「心臓に負担がかかるから、標準体重を維持して太らせないようにしましょう」と言われました。
箱崎獣医師は、以下の病気も、肥満による悪化リスクを指摘します。
・関節炎
・股関節形成不全、膝蓋骨脱臼(パテラ)
・椎間板ヘルニア
体重が増えると、足腰にかかる負担が増え、炎症が起きやすくなります。

心臓に病気がある小型犬は、短頭種や足腰に慢性の疾患をかかえる犬は、とくに体重管理が重要
・呼吸器疾患(気管虚脱、短頭種気道症候群など)
短頭種や超小型犬など生まれつき気管が細い犬では、脂肪が増えることで気管が圧迫されます。呼吸器疾患が悪化すると、呼吸困難など命にかかわる症状を招く恐れもあるので軽視できません。
飼い主の心がけで肥満は予防できる!
肥満は、消費カロリーが摂取カロリーを上回る状態が続いた結果に起こります。

図は、真ん中が犬の理想体型で、ウエストの少しのくびれがわかる状態。ボディコンデイションスコア(BCS)と検索すれば、犬の理想体型を示す指標がわかります
「犬は自分で食事や運動の管理ができません。飼い主さんの管理次第で、理想体重を維持することができますし、肥満の犬はダイエットができます。
私が以前、肥満の犬の飼い主さんに問診をしたところ、与えているごはんは適量でしたが、間食をたくさん与えてしまっているケースが多く見受けられました。
カロリーが高いジャーキー類や、小さくできない棒状のガムを毎日のようにあげると、肥満につながりやすいものです。うちの子におねだりされても、欲しがるままにおやつなどをあげないようにしましょう」(箱崎獣医師)
うちの子とのコミュニケーションツールやトレーニングのごほうびとしておやつは活用できますが、カロリーの少ないおやつを選んだり、小さくちぎってあげたりするのも良いでしょう。

「ちょうだい~」と、うちの子にこんな目で訴えられても、健康のためにはあげすぎないで!
食事管理の工夫ポイント3選
肥満予防に役立つごはんの与え方の工夫点を、箱崎獣医師に教えてもらいました。
工夫1食事回数を増やす
人間も犬も、空腹の状態で一気に食事をすると血糖値が急上昇するとともにインスリンが多量に分泌され、体脂肪が体に蓄積されやすくなると考えられています。そのため、1日に与える量を3~4回の小分けにして犬に与えるのをおすすめします。
食事回数を増やすこと自体がダイエットになるほど大きな効果は期待できませんが、犬にとっては食事といううれしいことが1日のうちでが増え、生活の質(QOL)の向上にもつながるでしょう。
工夫2食事に時間をかけさせる
食事は犬にとって大きな喜びです。ダイエットが必要だからと少ない量しかあげられないのは、飼い主さんの心理としてもかわいそうに思えるかもしれません。
そこで、フードを仕込める知育玩具や早食い防止食器を使うなどして食事に時間をかけさせ、うちの子が「たくさん食べた」と錯覚して充足感を得やすいようにしてあげるのも良いでしょう。

早食い防止食器を活用して、あっという間に食事が終わらないようにひと工夫
工夫3室内ゲームやトレーニングで与える
1日の給与フード量の一部を、うちの子へのごほうびとして与えるのも工夫ポイントのひとつ。
家具の脇など犬が目で見つけられないところにフードを隠し、嗅覚を使って探させるゲームを、ぜひ日常的に取り入れましょう。“ノーズワーク”と呼ばれる競技を模したこのゲームをすれば、犬が本来持っている狩猟本能も満たせます。
飼い主さんが片手のどちらかにフードを握ったり、紙コップにフードを隠したりしてうちの子に嗅がせて当てさせるゲームや、トレーニングを行いながらフードを1粒ずつあげるのも、お互いのコミュニケーションタイムとして充実感のアップにつながるに違いありません。

「おやつはどこかな?」と、飼い主さんと犬とが楽しみながらのごはんタイム
室内遊びについては過去記事もご参照を
*1 【#真のプロフェッショナルに迫る × #未来につなげる健康美】室内で最高に楽しく正しく遊ぶワザ ~ドッグトレーナー伝授~
運動の管理も重要!工夫点を実践
カロリーを消費させるためには、運動も大切です。
そもそも、筋肉は脂肪の3~5倍のエネルギーを消費するため、筋肉量が増えると安静時の消費カロリーが増えます。運動によって筋肉量を増加させれば、基礎代謝のアップにつながるのです。
また、脂肪を燃焼するミトコンドリアは、筋肉量が多いほど体内に多く存在することもわかっています。
では、箱崎獣医師が推奨する簡単な運動を、2つ紹介します。
工夫1毎日、散歩をする
小型犬だから散歩はいらないということはありません。超小型犬でもシニア犬でも、悪天候の日以外はなるべく毎日1回は散歩をしてあげたいものです。
歩くだけでも、カロリーを消費できます。
ただ歩くだけでは筋トレにはなりませんが、筋力低下を予防することにつながるほか、さまざまな刺激による脳トレ、ストレス発散など散歩が健康促進に役立つことは言うまでもありません。
筋トレの要素を散歩中に入れるのであれば、散歩中に坂道や階段を上らせるのもおすすめです。ただし、階段を下りることは犬の足腰の負担になるので、下りは可能な限り抱っこをしましょう。

散歩中に坂道や階段を上らせて、軽く筋トレができればベスト
工夫2室内で「持ってこい」遊びをする
室内でも体を動かす遊びを日課にして、運動をさせてあげましょう。
ボールやおもちゃを投げて、うちの子に取ってきてもらう「持ってこい」遊びなどは、室内での運動として最適です。
遊ぶ際はもちろん、犬の足腰を守るために犬の足が滑らない床で行ってください。
犬にも中年太りはある? フードに関する勘違いとは?
人間同様、犬にも“中年太り”は起こります。
「7~8歳を過ぎて、気づけばうちの子が少しぽっちゃりしてきた気が……。となる前に、ライフステージにマッチしたドッグフードに切り替えるのをおすすめします」(箱崎獣医師)

基礎代謝が落ちてくる中年期の健康管理もしっかりと
また、中年太りも含めてすでに肥満気味の犬と暮らす飼い主さんのなかには、ドライフードのパッケージに表示されている給与量に関して勘違いをしているケースもあると、箱崎獣医師は言います。
「記載されているのは、理想体重の犬における1日の給与量の目安です。理想体重が5kgの犬なのに、現在6kgあるからと6kgの犬に与える目安量を与え続けていたら、いつまでもダイエットができません。ごはんを与えすぎの状態が続いてしまうからです。一度ぜひ、かかりつけの動物病院でうちの子の理想体重を聞いて把握しておいてくださいね」(箱崎獣医師)
犬の肥満は、飼い主さん次第で確実に予防ができます。
正しい知識を得て活かし、うちの子がいつまでも心身ともに健康で過ごせるようにしてあげたいものです。
■ 取材協力:箱崎加奈子 獣医師
2001年 青山ケンネルスクールトリミング科卒業。 2007年 麻布大学獣医学部獣医学科卒業。 獣医師でありながらトリマーでドッグトレーナーという経歴を持つ。 2009年〜2023年 予防未病ケアクリニック「ペットスペース&アニマルクリニックまりも」を東京都世田谷区、杉並区で開業。 現在は「箱崎動物病院」(東京都世田谷区)を拠点に診療、保護犬猫施設への往診、ペット関連事業者へのサポート、イベントの企画運営、メディア監修など行う。
■ 文・取材:臼井京音