パセリ
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セージ
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ローズマリー&タイム

1960年代後半の代表的なフォークデュオ、サイモン&ガーファンクルの歌で、
映画「卒業」の中で使われていた「スカボローフェア」という曲はご存知ですか?
その曲では、「Parsley sage rosemary and thyme」という、今回のハーブ名のフレーズを
何度も繰り返して歌っています。
イギリスではとても一般的なこれらハーブたちは、私たち日本人にとっても、今では、結構馴染み深かったりします。
実はこのフレーズ、イギリスのハーブ商人の売り口上だったらしく、
「Parsley sage rosemary and thyme!」という声は、
色とりどりの野菜やハーブが並び、活気ある市場の賑わいが目に浮かぶようです。
「スカボローフェア」という曲は、彼らのオリジナルではなく、アイルランドの歌手が作った元歌があって、
主な部分は、イギリスに昔から伝わる童謡の「マザー・グース」の中のから引用されているのだそうです。
歌詞の中で、「波打ち際と海水の間に1エーカーの地面を見つけてほしい」、「革製のカマで刈り取った収穫をヒースで束ねてほしい」など、
無理難題な歌詞が続くのですが、これは、妖精や魔物が人間に向かって言っている問いかけの言葉で、
言われた人間は「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」の4つのハーブの名前をおまじないとして唱えていた、と伝えられています。
これらのハーブは、古くから疫病の予防、悪夢や悪霊を遠ざけるための魔よけとして使われていて、
また、古い文献にも多数残されているんですよ。
そして、「スカボローフェア」が作られた1968年といえば、
アメリカやヨーロッパで広がり始めたヒッピーたちによる反戦運動が盛んで、
「自然回帰」という運動の中でそのシンボルとされていたのもこれらのハーブたち。
ヒッピーの時代から40年以上が過ぎ、科学、医薬品に追いやられていたハーブたちですが、
近年、人はもちろん犬たちも、スローライフ、スローフードといったライフスタイルが注目されるようになり、
新たにハーブたちが見直されていることをつくづく感じます。
ということで、少し前置きが長くなりましたが、
今回は身近なハーブ、「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」をご紹介させていただきます。

まずはパセリ、花言葉は「浄化の象徴」、「祝祭」です。
パセリは世界中で最も広く使われているハーブで、料理の飾り付けによく使われていますが、残されてしまうことがある少し可哀想なハーブです。
魚・肉料理をはじめ、揚げ物など、用途は広く、独特の苦味と青臭さがあり、刻んでスープやサラダに、 そしてブーケガルニにもかかせません。
ちなみに、私たちが見慣れているのはカーリーパセリで、ヨーロッパでは平葉のイタリアンパセリの方がメジャーなんですよ。
●パセリ 学名:Petroselinum crispum 別名:オランダゼリ 科名:セリ科 オランダゼリ属 使用部位:葉・茎部 有効成分: 揮発性成分(アピオール、アピオリン、ミリスチシン、ピネン)フラボノイド、配糖体、ビタミンC、A、鉄、クロロフィル、マンガンなど 注意:妊娠・授乳中は使用を避けましよう。 |
繊細な葉のパセリですが、働きは広く、脂質やタンパク質の消化を助け、
ビタミンA、B、C、カルシウム、カリウム、クロロフィル、鉄が豊富なため、手作りご飯の栄養バランスを整えるためにも役立ち、
特有の香りの主成分はアピオールとピネンです。 アピオールは腸内の有害細菌の繁殖を抑えて腸の働きを整え、食欲を促進します。 ピネンは胃に適度な刺激を与えて消化を促し、防腐、消臭効果があるので、口臭予防としても用いられてきました。 |
○ オシッコトラブルがあるので、老廃物の排出を助けたい。
○ さらに、尿酸がたまると関節が痛むので、積極的に老廃物の排泄をしたい。
○ フケや脱毛を予防したい。




セージの花言葉は「尊敬」、「忍耐」です。
ローマ人にとっては最も神聖なハーブとされ、料理や薬草として広く使われてきた歴史があり、 アラビアには「庭にセージがあれば人は死なない」、「長生きしたければ5月にセージを食べなさい。」ということわざも。
セージは、ラテン名「治癒」または「救う」という意味をもつ、ありがたい植物なのです。
●セージ 学名:Salvia officinalis 科名:シソ科 使用部位:葉 有効成分: 揮発性成分(ツヨン・シネオール・カンファー・ボルネオール)、フラボノイド、縮合タンニン、エストロゲン類似物質、フェノール酸など ※妊娠、授乳中は使用を避けましょう。 |
セージの働きは多岐にわたり、特に抗酸化に優れ、フリーラジカル(活性酸素)の悪影響を軽減することができるため、
ローズマリーと同様、細胞の若さを保ち老化予防に役立ちます。 その他にも、歯や喉のトラブル、消化促進、精神疲労などに用いられてきました。 特に口腔や皮膚、消化器の炎症、潰瘍に役立ち、優れた抗菌力は大腸菌やサルモネラ菌、真菌などに対して優れているので、 消化器系のトラブル全般にも用いられます。 濃いめのハーブティーやチンキは、歯肉炎や歯のトラブル予防に用いられているんですよ。 |

料理では、肉の臭み消しをはじめ、チーズやソース類にもよく使われ、セージの葉をワインやオイルにつけこんだハーブワイン、ハーブオイルなどもよく知られています。
セージは、古くから油っぽい料理に加えられていました。
ショウノウのようなすっきりとした香りのセージは、脂肪の消化や腐敗防止にもよく使われ、 語源でもあるソーセージ作りには欠かせないハーブのひとつです。
○ 口臭が気になる。
○ カラダを痒がる。




ローズマリーの花言葉は「貞節・永遠の愛・想い出」
殺菌、防腐、強壮、消化を助け、記憶力を良くするなど多くの薬効があり、薬草として、また、料理、美容など幅広く用途があるハーブです。
ローズマリーは、心身ともに元気づけてくれ、これからの梅雨、夏の暑さによる活力低下にもおすすめです。
また、2009年には、肝臓のトリグリセリド(中性脂肪)はローズマリーエキスを摂取することで顕著に減少したという研究結果が得られ、 体重増加や脂肪の蓄積を抑制する効果があるとされています。
雨のためにお散歩の時間が減りがちなこれからの季節、ダイエットサポートとしても良いかもしれませんね。

日本ではタチジャコウソウとも呼ばれ、花言葉は、ギリシャ語で「勇気」をあらわす、「thymos」に由来すると言い伝えられ、その他、ギリシャ語の「thyo(良い香り)」、「thyein(香らせる)」が語源とされています。
タイムは数あるハーブの中でも最も抗菌力の強いハーブであることからも「勇気の象徴」とされ、 「タイムの香りのする人」と言われるのは男性にとって最大の誉め言葉のひとつでした。
古代エジプトでは王のミイラを作るとき、タイムの精油を防腐剤に使い、 また、不衛生だった時代にヨーロッパでは、人の集まる教会などで消毒剤として使用されたハーブのひとつです。
●タイム 学名:Thymus vulgaris 別名:タチジャコウソウ / コモンタイム 科名:シソ科 使用部位:葉部 有効成分: フェノール系のチモール、カルバクロールといった揮発性成分(精油成分)、 配糖体類、フラボノイド類、p-シメン、ボルネオール、サポニン類、タンニン類、ビタミンB複合体、C、Dなど 注意:妊娠・授乳中は使用を避けましよう。 また、高血圧の犬への継続利用や使用量に注意が必要とされています。 |
主成分のチモールは、口腔洗浄液にも利用されている成分のひとつで、
タイムは口や喉のトラブル、口内炎、歯肉炎の予防に役立ち、市販の歯磨き粉やうがい薬にも使用されています。 アピゲニンなどのフラボノイド類やサポニンは、 ケンネルコフなど感染して起こる乾いた咳に役立ちます。 また、肝臓の浄化にも使われ、消化器と肝機能に働きかけることで、 お腹、消化、消化不良による口臭予防、寄生虫、膀胱のトラブルなどに利用されています。 さらに、心身の疲労、緊張、不安の緩和に役立ち、他にも血液循環を促します。 |

タイムはスープや煮込み料理に用いられるブーケガルニに欠かせないハーブのひとつです。
料理の風味づけや、肉や魚介類の臭みを消し、ローズマリーやセージ同様、保存力を高めるためにも利用されます。
○ 梅雨時の消化器系の不調が気になります。家庭で食中毒予防やケアをしたい。
○ この季節、カイカイのしぐさが多くなった…。身体の内側からもケアしたい。
○ 神経質なので、緊張や不安をやわらげたい。
○ 口臭が気になります。日頃から口腔内を清潔に保ってあげたい。
○ シニア犬なので血行不良が気になります。


一例として、ドイツでは小児科の呼吸器系疾患にタイムのハーブティーが処方されています。
フレッシュハーブやドライハーブを適量使用したり、ハーブティーで利用する分には、揮発性成分(精油成分)が微量なので、小型犬でもさほど心配はありません。
これらの季節、ハーブを育てるのにとてもよい季節を迎えます。
ハーブは家庭でも手軽に育てることができて人気ですよね。 フレッシュハーブの心地良い香りは幸せな気分にしてくれます。 ご自宅でハーブを育てて、犬の健康と長寿を願いつつ、ハーブを収穫するのも結構楽しいですよ。
現在、ホリステックケアアドバイザーとして人と犬へのフィトセラピーを中心としたカウンセリング 『Dog Life Design(東京・駒沢)』のインストラクターとして、人と犬のクオリティ・オブ・ライフに役立ち、犬と一緒に楽しめるフィトセラピー講座、ハーブ講座を行っている。