• コラム
  • 獣医師コラム

2024.05.09

うちの犬が好きなこの花、実は危ないの?お散歩中の植物をチェックしてみた

うちの犬が好きなこの花、実は危ないの?お散歩中の植物をチェックしてみた

楽しく、さまざまな発見がある犬との散歩。
ときどき、犬が特定の植物に興味を持つこともありますよね。きれいな花とうちの子のツーショットに嬉しくなってカメラを向ける方も多いと思います。

でも、そんな散歩道によく見かける植物にも犬にとっては危険なものがあるようです。
スタッフと一緒に暮らしている犬も、大好きな花があるのですが「これって大丈夫?」と不安になった経験から、獣医さんに質問してみました。

犬と安心してお散歩するために、知っておきたい情報をまとめてみました。

DOG's TALK

獣医師 菱沼 篤子

獣医師 菱沼 篤子

犬の栄養指導や犬の健康に関する専門知識を持つコンサル担当スタッフとして、さまざまな飼い主のお悩みを聞いている。

うちの子が好きなこの花、食べても大丈夫?

スタッフ家の犬が散歩に行くと、いつも決まって熱心に眺めている花があります。香りを楽しんでいるのか、「美味しそう…」と思っているのかは犬に聞かないと分かりませんが、とにかく好きなようです。
ある程度同じようにとどまる花が定まってきているようなので、ちょっと調べてみると…どうやらペチュニアという花のようです。

あまりに気に入っているようなので、ふと気になりました。「この花って犬にとって危険なものじゃないよね?」と。

 

■ ペチュニアは犬にとって安全な植物?

ペチュニアは育てることが簡単で、さまざまな形の花を咲かせる人気の植物です。成長が早く、様々な環境に適応するほか、品種によって3~11月まで1年を通してさまざまな花を楽しめるので、一般家庭の庭や公園、道路の植え込みなどでも見かけることが多いと思います。

さて、そんなペチュニアは、ASAP(米国動物虐待防止協会)によれば、ペチュニアは原則無毒であるとされ、犬猫にとっても無毒であるとされています。基本的には安全な植物と言えそうですね(安心しました)。

とはいえ、ナス科の植物に含まれていて、ナス科の植物全般に含まれているアルカロイドという成分には注意が必要です。アルカロイドにはさまざまな種類があり、多くの場合は適量を正しく使えば薬にもなる成分でもあるのですが、多量に取り入れると体調を崩す原因にもなります。

ペチュニアの全体にアルカロイドが含まれている可能性が高く、どれくらいの量を摂取すると体調に影響するのか、明確に研究がされてはっきりしていない部分も多いです。
犬と一緒に写真を撮ったり眺める分にはいいですが、食べてしまわないよう避けた方が無難です。特に小型犬、超小型犬と暮らす人は注意してくださいね。

散歩中にチェックしよう!危険な植物について

先ほどご紹介したペチュニア以外にも、散歩中によく見かける植物で注意が必要な植物にはどんなものがあるのでしょうか?
今回調べた植物の多くは、どれくらいの量を食べると体調を崩すのか明確にされていないものが多いので、少量でも体調を崩す可能性がある超小型犬や小型犬はとくに注意が必要です。

 

■アサガオ

育てやすく、散歩コースや家庭でもよく見かける植物であるアサガオは注意が必要な植物です。
とくに種は有毒なため注意が必要です。一定量以上摂取してしまうと嘔吐や下痢などを引き起こすといわれています。
種はドッグフードの粒やトリーツにも似た形をしているので、犬がパクッと食べてしまう可能性が高いので、注意してくださいね。

 

■スズラン


鉢植えや花束などで見かける可愛らしいスズランには、毒性があることが知られています。スズラン全体に毒性があるので、犬が興味を持って口に入れることがないように注意して見守ってくださいね。

 

■ユリ

良い香りで人気があり、存在感がある花が人気のユリの毒性もよく知られています。ユリは花全体、茎や葉、根だけではなく花粉にも毒性があるといわれています。
ユリの花を挿していた花瓶の水を飲んでしまっても、中毒症状が出てしまうというケースもあるようです。
ユリの毒性は腎臓へのダメージを与えることが分かっているので、高齢の犬では重篤になるケースも少なくありません。
犬がユリを口に入れたことが分かったら、すぐに動物病院で診察を受けるようにしてください。

 

■スイセン

春先にラッパのような美しい花を咲かせるスイセン。公園などで栽培されることが多い植物ですが、毒性成分が全体に含まれており、食べてしまうと人間でも急性の症状を出すことが分かっています。
食べると30分以内に、嘔吐、下痢、頭痛などの症状が現れて、重篤な場合には死亡することもあります。
スイセンは非常に強い毒性を持っている植物なので、ユリ同様に犬が口に入れてしまったらすぐに動物病院で処置してもらう必要があります。

 

■ツツジ

子どもの頃に蜜を吸って楽しんだ思い出がある方も多いツツジ。実はこのツツジの仲間であるレンゲツツジには毒があり、重篤な事故につながったケースがあり、厚生労働省がレンゲツツジと仲間のツツジに対しても注意喚起を行っています。
近い仲間のシャクナゲに対しても同様に注意が必要です。 

 

■チューリップ

花壇などでもよく見るチューリップ。童謡にも歌われる可愛い花が人気ですよね。
しかし、チューリップにも有毒成分が含まれていて、花、茎、葉、球根の全草に含まれており、犬が食べてしまうと下痢や嘔吐といった中毒症状を引きおこすとされています。
また、この成分が皮膚につくと炎症を起こしてしまう可能性もあるので要注意です。

 

■ポトス

観葉植物としておなじみのポトス。育てやすいことから家の中で育てているという方も多いと思います。
しかしポトスの葉や茎には、「蓚酸(しゅうさん)カルシウム」という毒性の成分が含まれています。樹液が肌に付くと皮膚がかぶれてしまいます。手袋をして作業を行うと良いでしょう。犬が口に含まないよう目配りも行いましょう。

 

獣医師からアドバイス!危険な植物を食べてしまったら…

基本的には、犬がこれらの植物を食べてしまわないように注意して見守ること、そして散歩中に口にしてしまわないように目を離さないことが大切です。
とはいえ、もしも食べてしまって、いつもと違う様子や元気がなくなってしまったら、気が付き次第動物病院で相談するようにしてください。
食べてしまった植物が分かっていたら、電話などで動物病院に相談して指示をもらったりするのも良いと思います。

嘔吐や下痢、苦しそうにしているなどの症状が出ていたら、急性の症状が出ている可能性があります。救急対応をしている病院に連れて行くようにしてください。
何事も早すぎるということはありませんので、異変を感じたらなるべく早く行動を起こすことが大切です。

おわりに

今回は犬にとって危険になる可能性がある植物をご紹介いたしました。
私たち人間にとって身近な植物の中には、犬にとって大きなリスクとなるものもあります。基本的には犬たちがこれらの植物を不用意に食べてしまわないように注意深く見守ることが大切です。
とはいえ、不慮の事故などで犬がこれらの植物を食べてしまったら、速やかに動物病院での処置が必要になるケースもあります。
犬の体調の変化には敏感に対処するのが大切です。