- コラム
2026.02.26
【#真のプロフェッショナルに迫る × #未来につなげる健康美】室内で最高に楽しく正しく遊ぶワザ ~ドッグトレーナー伝授~
あまり目立たないけれど、実は犬との生活を陰で支えている繊細なプロの仕事。犬と暮らしていくうえで知っておきたい情報や技術などについて、ある方面で専門性の高い"真のプロフェッショナル"の方々にインタビューした内容をお届けします。
併せて、ポチから誕生した「犬の理想の健康美」のための獣医学に基づく総合栄養食「ボディヘルス」シリーズのテーマにちなんで、各方面の方々から伺った"健康維持のための工夫"をご紹介します。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報おうち遊び
うちの子と心を通わせ合える、“正しく”“楽しい”室内遊びの方法とコツを、ドッグトレーナーの細野栄作さんに教えてもらいます。
うちの子が好きな遊びを知ることが重要!
室内遊びで、うちの子を満足させてあげられていますか?
質のいい遊びを、提供してあげられていますか?
まずはそこから、Dog's home SUNKS (千葉県柏市)の細野栄作ドッグトレーナーに聞きながら確認してみましょう。
「大切なことは、その子が本当に好きな遊びを理解してあげることです。
たとえば、ボール遊び。ボールを飼い主さんのところへ持ってくるのが好きなのか、転がるボールを追いかけて取るのが好きなのか……。
よく“うちの子はボールを持ってきてくれないんです”と相談されますが、飼い主さんの望みで持ってこさせようとして遊ぶのではなく、その子がどんな方法で遊ぶのが好きかを知るのが重要です。
おもちゃを持ってきてくれるのは、犬としてはそれで引っ張りっこをしたいからかもしれません。そのような子は、ある程度引っ張りっこをしたあと、おもちゃを再び投げられると困惑する可能性もあります。それで、飼い主さんの顔を『なんで?』と見つめて取りに行かないこともあるでしょう。引っ張りっこのごほうびを楽しみに、犬がワクワクしながら投げられたものを取りに行っているようならば問題ありません」(細野トレーナー、※以下「」内同)
引っ張りっこを楽しんいるか、ボールを追いかけると目が輝くかなど、うちの子の“好き”を見極めて
まずはうちの子の遊び方や感情表現を、よく観察してあげましょう。
そのうえで、うちの子がノリノリになって喜ぶ遊びを、一緒に楽しみながらしてあげてください。
おもちゃを魅力的に見せる凄ワザ
新しいおもちゃにすぐ飽きるというお悩みは、ありませんか?
「それは、飼い主さんがおもちゃのポテンシャルに頼ってしまっているからだと思います。
おもちゃをいかに犬にとって魅力的に見せるかは、飼い主さんの腕の見せどころ。犬に求められるままに渡すのではなく、おもちゃを生きている獲物ように動かしながら追いかけさせ、狩猟欲求を満たすことができれば、次々に新しいおもちゃを買い与えなくても大丈夫」とのこと。
ではさっそく、じょうずな遊び方を細野トレーナーにレクチャーしてもらいましょう!
1)おもちゃが好きかどうかチェック。くわえたい欲求も湧き、興味津々のようですがまだうちの子には渡さないで。
2)飼い主さんの背後にさっとおもちゃを隠します。「あれれ? 獲物逃げちゃった?」
3)おもちゃは這わせながら生きているかのように動かし、うちの子に追いかけさせます。
4)「うわ~、来た! 捕まえるぞ!」と、狩猟本能も炸裂で盛り上がります!
しっかり嗅覚を使える紙コップ遊び
寒すぎて散歩に出られない日や、体力が落ちた老犬などには、暖かい室内で脳トレを兼ねた遊びをとおして充足した日々を提供してあげましょう。
そこで細野トレーナーがおすすめしてくれたのが、紙コップを使った簡単ノーズワーク。
「犬は嗅覚の動物と言われているので、ちゃんと鼻を使うことでうちの子の本能を刺激してあげたいものです。
自宅で簡単にできるのは、紙コップを使うノーズワーク。でも、当てずっぽうに片っ端から紙コップを倒しておやつを探すことを教えるのではありません。
紙コップが倒れても、中にあるおやつが現れない仕掛けを作るのがポイントです」
■準備
紙コップを2つ用意し、重なった底辺部分におやつを入れます。ひとつの紙コップには穴を空けておいて、においがわかるようにします。
1)紙コップを怖がらないように、そして遊んだりしないように、まずは紙コップの上におやつをのせて食べさせます。
2)最初はにおいの強いものでスタートすると、興味を持ってもらいやすいでしょう。フンフンと荒い鼻息は、鼻を使っている証拠。
3)見つけるまでのスピードがどんどん速くなってきました。紙コップの数を増やしてレベルアップしたら、さらに盛り上がるはず。
4)犬がおやつを見つけられたら、「そう~!」などとほめ言葉をかけて正解を共有してあげましょう。それから、おやつを出してあげます。
「あ、あった!」とうちの子がわかったときに出すサイン=アラートに、飼い主さんも気づいてあげてください。
サインはそれぞれ違うので、その子ならではのサインを知るのもコミュニケーションのひとつであり、このゲームのおもしろさでもあります。
上記モデル犬のビションプーのハッチくん(9歳)は、重なった紙コップの上部を軽くくわえて引っ張るのがアラートでした。
細野家のゴールデン・レトリーバーのボンくんの場合は、鼻先で紙コップを倒すのがアラート
たかが紙コップを使ったノーズワークですが、トコトコ歩いたり、地面に四肢を踏ん張って立ったりと、運動不足の解消にもなります。
ぜひ、レベルアップしながら脳トレを兼ねた紙コップノーズワークにチャレンジしてみてくださいね。
“お手”の時間を長くすればお手入れに役立つ
うちの子が“お手”ができる前提で、遊びながらお手入れ上手にもなれる裏技を紹介します。
「お手の状態を長くしてくれるようになれば、犬の足先を拭いたり、爪切りをしたりするときに役立ちます。お手をしながら、足まわりの健康チェックもできます。
自発的に犬がお手をするところがポイントで、これは“ハズバンダリートレーニング”にもつながります。ハズバンダリーとは、直訳すれば受診動作。水族館の海獣や動物園の動物が、ストレスを感じることなく身体のケアや医療行為を受けられるようにと始まったのが、ハズバンダリートレーニングです」
お手をハズバンダリートレーニングに応用して、うちの子との健康ライフに活かしてください。
お手をして少し経ってから、犬が足先を手のひらに載せたままの状態で「いい子~」と言ってほめて、ごほうびのおやつをあげます。これを繰り返していると、足先を手に載せている状態だとほめられると犬が理解して、お手をキープできる時間が長くなります。
おもちゃを離させるには? 遊びは勝たないといけない?
細野トレーナーによく寄せられる質問と、その回答をまとめました。
これらを知れば、うちの子と遊びやすくだけでなく、日々の遊び時間がもっと楽しくなるに違いありません。
Q1:
おもちゃ遊びは、うちの子に勝たないといけませんか?
A1:
そんなことはありません。どんどん負けてあげてください。
大人とゲームをやっている子どもが、大人に全勝されていたらおもしろくないのと同じです。ちゃんと負けてあげないと、おもちゃを返してくれなくなったり、所有欲が高まっていく恐れもあります。
たとえば引っ張りっこをしていて、犬が勝てるから、また飼い主さんにやってもらいたくておもちゃを渡してくれる“シェア遊び”を覚えられるんです。ひとりよりふたりのほうが楽しく遊べると思わせるのが、ベストですね。
ある程度引っ張りっこをしたら、犬に負けてあげて、おもちゃをゆずってもOK
Q2:
おもちゃを渡してくれません。おやつとどんなタイミングで交換するのがいいですか?
A2:
犬がくわえているおもちゃを渡してもらうために、おやつを鼻先に持っていく飼い主さんも少なくありません。でもこれ、離さないことに対するごほうびになっているのでNG。間違って学習すると、どんどん離さない犬になってしまうので要注意です。
おもちゃを離してもらうコツは、飼い主さんがおもちゃを引っ張ったりすることなく、息絶えた獲物のように動きをなくして力を抜いて持つこと。すると、犬は飽きて口から離すので、離したタイミングで反対の手やトリーツポーチに隠し持っていたごほうびをあげるようにしてください。
「離すと、おやつがもらえるんだ:と、犬に学習させるのが重要です。
おもちゃを持つ力をゆるめて動きをなくすと、犬はつまらなく感じて口から離します
Q3:
おもちゃは出しっぱなしにしておいて大丈夫ですか?
A3:
基本的には、安全面を考慮して、おもちゃは出しっぱなしにはしないようにしましょう。留守番時は誤飲の心配がない安全なおもちゃのみ、置いていってください。
おもちゃは、ひとり遊び用のおもちゃと、飼い主さんとふたり遊び用のおもちゃを使い分けるのがオススメです。
以上、いかがでしたか?
飼い主さんと犬との最高のコミュニケーションタイムにもなる遊びは、うちの子が完全に満足してしまう前に、気持ちのベクトルが上を向いている間に終わりにしてあげるのもポイント。そのほうが、「またやりたい!」とうちの子に思わせられ、お互い毎回楽しく遊べるからです。うちの子との笑顔の時間が増える遊びの時間をとおして、健康で幸せな日々を重ねられますように。
「あ~、楽しかった。満足して眠くなってきたよ……」


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健康維持の為の工夫 by細野栄作さん
普段のお手入れで表面的な疾患を早期に発見することや、腸内環境や口腔内の様子を気にかけるのはもちろんですが、トレーナーとしてはボンのメンタルのケアを重視しています。
人間と同様「ストレス」が色々な悪さをするので、ストレスを与えないようなケアができる“ハズバンダリートレーニング”(*1)を取り入れたり、社会化や落ち着く行動を身につけることでストレス耐性を獲得させ、ストレスから心と身体を守っています!
■ 指導:細野栄作さん
Dog's home SUNKS (千葉県柏市)のオーナーであり、ドッグトレーナー。警察犬訓練所で5年間の修行時代、家庭犬訓練競技会で日本一のタイトルを2年連続で獲得。けれども、力づくで犬を従わせる訓練法に疑問を感じ、訓練所を辞めて独立。渡米をきっかけに報酬ベースの犬にやさしいトレーニングを学び、2013年にトレーニングスクール・トリミングサロン・ドッグホテル&デイケアを行う現・複合施設を設立。
■ 文・取材:臼井京音


