2021.02.25

犬の穀類アレルギーって本当に多いの?グレインフリードッグフードの本当の話

犬の穀類アレルギーって本当に多いの?グレインフリードッグフードの本当の話

ドッグフードを選ぶ時、みんなの意見を参考にしようとインターネットで情報収集したら、たくさんの様々な意見であふれていて混乱してしまったという経験はありませんか? また、ひと昔前に言われていたことで今は違う考え方が主流になっていても、古い情報が残っている場合もあります。そんな様々な情報や話題の中から「それって本当?」と疑問に感じたことをポチのスタッフがもう一度おさらいして調べてみました。今回取り上げるのは、犬のアレルギーと穀類・穀物の関係性、そしてグレインフリードッグフードについてです。

犬の穀類アレルギーとは?


インターネットでは、「犬は穀類アレルギーが多いのでグレインフリードッグフードを与えるべき」という意見を見かけます。
でもこれって本当なのでしょうか?
穀類は犬にとってアレルギーを起こしやすい食物なのでしょうか?

 

■犬の食物アレルギーが起こりやすい食品はあるの?

全ての犬に同じように「アレルギーを起こしやすい食品」というのはありません。

犬に限らずすべてのアレルギー反応は、食べ物のタンパク質を「体内に侵入してきた異物」として免疫系が認識してしまうことで起こります。この免疫系の勘違いは、犬がそれまでに食べてきた機会が多ければ勘違いを起こす可能性も高くなりますが、この反応は特定の食品が特異に起こしやすいという報告は見当たりません。
ただ、子犬のころからよく食べているものほどアレルギーが起こりやすくなる可能性はあるので、日ごろからチキンを食べているのであれば、チキンに、ビーフを食べているのであればビーフに、牛乳を与えているのであれば牛乳にアレルギー反応を起こしやすくなります。


人間では、小麦アレルギーが多いといわれていますが、これは私たち人間が日常的に炭水化物として小麦を摂取する機会がとても多いからといわれています。
パンやパスタ、ケーキ、ビスケット、うどん、シリアルなど日常的に食べる機会も多いので、小麦にアレルギー反応が出る可能性が高くなっているのです。

 

■犬の穀類アレルギーが多いと勘違いされるようになった背景

少し前までは、ドッグフードに小麦などが使用されることが多く、犬も人間と同じように小麦を使った食品をよく食べていました。また、まだまだ犬の食事と健康への意識が十分に浸透していなかったため、人が食べた残りを犬に食べさせることも今よりずっと多かったようです。
日常的に穀類を食べさせていれば当然アレルギー反応も他より多くみられるようになります。

今では、ドッグフードに使用される原材料も洗練されてプレミアムドッグフードでは穀類を過剰に使用したものもあまり見かけませんし、犬に人が食べた残りをそのまま与える機会も減りつつあると考えられます。

グレインフリーを与えれば食物アレルギーが起こらない?

グレインフリーのドッグフードを与えていても穀類以外の食材にアレルギーの原因があれば、犬にアレルギー反応がみられるようになります。グレインフリーのドッグフードを与えれば食品アレルギーを防ぐことができるというのは誤りです。

穀類が入っているドッグフードでアレルギー反応以外におなかの調子が悪くなってしまう原因として考えられることに、タンパク質の量や脂質の量、食べさせる量やフードの切り替えのタイミングによっても犬のお腹の調子が乱れることがあります。

体調不良の原因をアレルギーだと決めつけてしまうと、本来食べれるものを狭めてしまって犬にとって豊かな食生活が送れなくなってしまうこともあります。

ただ、アレルギー検査を通して穀類にアレルギーがあることが分かっている場合は、穀類を避けるためにグレインフリードッグフードを選ぶ必要があります。

グレインフリードッグフードが生まれた背景

そもそもグレインフリードッグフードが誕生し、人気を集めるようになった背景には犬の食性に注目するようになったことも関係しています。犬と近い関係にあると言われているオオカミやディンゴなどの野生動物たちは、獲物の肉を中心とした食生活を送っています。オオカミを先祖に持つ犬も毎日の食事としてできる限りその食スタイルに近づける「生食(バーフ)」という考え方が広まり、生食にする上で「生」の「穀類」は消化が難しいですからノーグレイン(穀類不使用)であることを強く推奨していたことを記憶しています。

このころ、ドッグフードでは使用される原材料において穀類の比率が高く、「穀類を多く含むドッグフードは犬本来の食事とかけ離れているのでは?」という意見も同時に増えていきました。また、人間のように穀類を食べる動物は唾液の中にアミラーゼと呼ばれる酵素を多く持っていて、穀類に含まれるデンプンを糖に変えることができますが、犬は唾液中にアミラーゼをほとんど持っていないことが分かりました。これらのことから、「犬は穀類を消化するのが苦手」という見解や意見がでるようになり、穀類を含まないグレインフリードッグフードも、様々なドライフードの中の特長のひとつとして作られるようになっていきます。

実際には、犬も膵臓から分泌される消化液にはアミラーゼが含まれており、人間同様水を加えて加熱(お米を炊く、パンを焼くなど)調理した穀類であれば十分に消化できます。

おわりに

一部では犬に起こりやすいといわれている穀類アレルギーですが、穀類だけが特にアレルギー反応を起こしやすいということはありません。

グレインフリーのドッグフードは、「犬にとって消化にいい/悪い」ではなく、個性のひとつです。1頭1頭にとって合ったドッグフードは違いますから、うちの子は穀類を食べるお腹を壊しやすいかも、と感じた時などにグレインフリーのドッグフードは選択肢のひとつになります。


穀類はアレルギーになるからグレインフリードッグフードを選ぶというだけではアレルギー対策になりません。うちの子に合っているドッグフードを広い視点で探してみてくださいね。

■この記事を書いた人

DOG's TALK