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2023.07.05

犬の滋養強壮に。うちの子にうなぎを食べさせてみよう[#ペット栄養管理士]

犬の滋養強壮に。うちの子にうなぎを食べさせてみよう[#ペット栄養管理士]

「土用の丑の日」といえば、"うなぎ"という日本人は多いはず。
スーパーでもうなぎが並び、商店街では焼きたてのかば焼きの香りが鼻先をくすぐります。2023年の土用の丑の日は7月30日(日)。家族みんなでうなぎを楽しむのも良いですね。

さて、そんなうなぎですが、与え方に注意すれば犬たちも一緒に楽しむことができます。
今回はもうすぐやってくる、土用の丑の日に合わせて「犬とうなぎ」についてご紹介いたします。

DOG's TALK

POCHIのペット栄養管理士 岡安

POCHIのペット栄養管理士 岡安

ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。

うなぎの特徴と栄養価

まずはうなぎに含まれる栄養素の特長から見ていきましょう。

 

■うなぎ(生)の栄養分析値(100gあたり)

エネルギー:228kcal
水分:62.1g
タンパク質:17.1g(DM:45%)

脂質:19.3g
炭水化物:0.3g
灰分:1.2g
食塩相当量:0.2g

ビタミンB1:0.37g
ビタミンB2:0.48g

EPA:580mg
DHA:1100mg

うなぎは脂質が豊富に含まれている魚です。
100gあたりに含まれている量で言うと、ドッグフードの原材料として人気のサーモンや不飽和脂肪酸が豊富ないわしよりもさらに多くなっています。
(サーモン:4.1g/100g、いわし:9.2g/100g)

うなぎに含まれる栄養で注目したいのは、豊富なビタミンB群です。中でも、糖質やアミノ酸といったエネルギー源となる栄養の代謝に不可欠なビタミンB1はいわしの約10倍、サーモンの約2倍含まれています。

さまざまな栄養の代謝に関係するビタミンB2に関しても、いわし、サーモンいずれよりも多く含まれています。

これらのことから、「うなぎを食べると活力が出る」というのもあながち迷信ではなさそうです。
うなぎに含まれるこれらの栄養が、エネルギー代謝をサポートし、しっかりと食事に含まれる栄養をエネルギーに変えやすくしてくれる助けになりそうな気がします。

■うなぎの脂質の特徴

うなぎの豊富な脂質には、ほかの魚の脂質と同様にオメガ3脂肪酸であるEPA、DHAが含まれています。
EPAに関しては、いわしよりは少ないながらも、サーモン以上の量を含んでいるほか、DHAに関してはいわし、サーモンを上回る量を含んでいます。

DHAは、高齢の犬にとっては認知機能の健康維持のために非常に重要な栄養となっているだけではなく、成長期の子犬の健やかな成長にも必須の栄養素です。
もちろん、成犬たちにとってもEPAとDHAの両方をしっかりと摂取することは、皮膚や関節の健康維持に大きくプラスとなります。

犬にうなぎを食べさせても安全なの?

うなぎに含まれる成分に、犬の体調に大きく影響するようなものはありません。
ただし、与え方によっては注意が必要なこともあります。

■犬に生のままうなぎを食べさせる、刺身はNG

うなぎやアナゴといった、「ウナギ目」の魚類は、共通の特徴として血液に『イクチオヘモトキシン』というタンパク質の毒が含まれています。
うなぎの仲間が身を守るための毒で、失明の可能性があるともいわれていますが、タンパク質なので加熱調理することで簡単に無毒化できます。
目安としては、60℃以上の高温で、約5分加熱すれば毒性を失うそうなので、一般的な調理をしていればまず体調を崩すことはありません。

少ないとは思いますが、誤って生のまま食べさせてしまうことがないよう、ご注意ください。

■犬にかば焼きを食べさせるのは避けたほうが安心

次に注意が必要なのが、うなぎの食べ方で最もメジャーな「かば焼き」です。
香ばしく焼いた身にタレがよく絡み、とっても美味しいかばやきですが、やはり塩分が気になるところ。
健康的な成犬であれば塩分量は特別気にする必要はないのですが、塩を構成するナトリウムは制限の対象となることがあるので、心臓病の持病がある犬や腎臓に不安がある犬は注意が必要です。

また、薬味として使用される山椒は、犬にとって非常に強い刺激となります。食べてしまうと消化器への負担になる可能性があるので、犬が食べてしまう可能性がある場所には置かないようにしてください。

犬に食べさせるならこんなレシピ


犬に食べさせるのであれば、調味料を使っていない「白焼き」がオススメです。
タレをつけず、素焼き(白焼き)の状態のうなぎの事を「白焼き」言います。最近ではスーパーなどでも見かけることが増えてきていますので、犬と一緒にうなぎを楽しむのであれば、加熱調理済の白焼きを選んで、食べやすい大きさにほぐして与えてみてくださいね。

まとめ:うなぎを食べて犬を健康に

今回は、土用の丑の日に欠かせない「うなぎ」を犬に与えるときのポイントについてご紹介いたしました。
うなぎには犬の健康維持に役立つ成分も豊富に含まれています。ただし、生の状態では毒性のある血液が含まれていますので、加熱調理済のものを与える必要があります。
白焼きのものであれば、犬も食べられるので、季節の味わいを一緒に楽しむのであれば、白焼きを活用してみてくださいね。