- 特集
2025.06.12
パピーパーティー@動物病院で子犬の社会化と大切な学びを!
ドッグトレーナーなど犬のプロによる指導のもと、犬の一生に一度しかない社会化期に参加できる「パピーパーティー(パピーレッスン)」。衛生的な室内でほかの子犬と触れ合いながら、飼い主も正しいトレーニング方法などを学べる機会として、全国各地で開催されています。開催場所を動物病院にすることの意義や、災害時などいざというときの保定方法など、実際のパピーパーティーの様子を交えながらご紹介します。(POCHI 編集チーム)
今回のお役立ち情報パピーパーティー
子犬と飼い主さんが一緒に参加できる、動物病院主催のパピーパーティー(パピーレッスン)を取材しました。子犬の社会化経験や飼い主さんの学びとして重要なのはもちろん、動物病院で行われているからこそのメリットも! 詳しくご紹介します。
パピーパーティーとは?
パピーパーティー(パピーレッスンなどとも呼ばれる)とは、ドッグトレーナーなど犬のプロの指導のもと子犬同士を遊ばせたり、子犬の育て方について学ぶ集まりのこと。子犬はワクチンプログラム終了前(※教室により異なります)でも、衛生的な室内でほかの子犬と触れ合いながら社会性をはぐくめ、飼い主さんはドッグトレーナーなどから正しい社会化やトレーニングの方法について学べます。
子犬同士ノーリードで遊びながらコミュニケーションの取り方を学びます
子犬(パピー)には、生後3~16週齢(※個体差あり)の「社会化期」と呼ばれる好奇心が旺盛な時期に、家庭の外で多くの体験をさせることが大切です。社会化が適切にされた犬は、怖いと感じる対象が少なくなり、初めての人や犬、場所や経験も心にゆとりを持って受け入れやすくなります。いかに社会化が健全に行われたかによって、犬の一生涯の生活が左右されると言っても過言ではありません。
社会化を行うのに効果的な方法が、動物病院やしつけ教室などで開催されているパピーパーティーに参加したり、犬の幼稚園や保育園と呼ばれるような預かり施設に通うことです。社会化にベストな社会化期以降でも、まだ警戒心が上がりきらない生後6ヵ月齢位までは参加可能としているパピーパーティーも少なくありません。
子犬のうちに「大丈夫」なことが増えると、成犬になってからのストレス軽減にもなります
動物病院で行われるパピーパーティーに潜入!
POCHI記者が今回訪れたのは、プリモ動物病院 上溝(神奈川県相模原市)で行われている「パピーレッスン」。家庭犬トレーニングインストラクター前田智子先生の指導のもとで行われた5月24日のパピーレッスンには、トイ・プードル、シー・ズー、フレンチ・ブルドッグ、柴犬、秋田犬、スタンダード・プードルなどの小型犬から大型犬まで11組が参加しました。
中央の黒いマスクをつけているのが前田先生。動物看護師も補助として参加
まずは健康チェックと自己紹介タイム。名前や月齢などの基本的な情報に加えて、この日は「うちの子に教えたいこと」もシェアしました。自己紹介タイム中は、飼い主さんの心音がする左胸に子犬の頭部をくっつけてギュッと抱っこをするようにとの指示が。これは、将来イヤなことがあった時に暴れたりして抵抗する癖をつけないよう、ガマンと諦めを教えるためだとか。15秒ほどこの「タイトハグ」をキープできれば、将来採血などの医療処置も安全に行えるとのこと。前田先生からの個別アドバイス付きの自己紹介タイムも、すべての飼い主さんと子犬にとって学びとレッスンになります。
タイトハグをしながらの自己紹介タイム
次は、インターホン吠え予防など音慣れのレッスン。「こんなに静かにしていられたら、避難所にもし行ったとしても『ずっといてもいい』とみんなから思ってもらえるはずです」と、前田先生。社会化をすることがいわゆる“問題行動”と呼ばれる過剰な吠えなどの予防になり、犬が社会に受け入れてもらいやすくなることを実感できるひと言でした。
お子さんも楽しみながら参加していました
プレイタイムは楽しみながら
いよいよ、子犬をフリーにして遊ばせるお楽しみタイムの始まり!数十秒だけ、抱っこの状態だった子犬たちを床におろして自由にさせます。飼い主さんが捕まえたら、すぐにほめるようにとの指示もありました。「捕まえられてもいいことがあれば、捕まえられることへの拒否感がなくなります。子犬のレッスンではたくさんほめてあげてください」とのこと。
お互いのにおいを嗅ぎ合いながらあいさつ。遊べるかな?
プレイタイムはドッグトレーナーの判断で、日本犬だけやプードル系だけでの遊び、相性の合いそうな犬同士での遊びなど、グループを分けながら何度も行われました。
子犬同士すぐに打ち解けて遊び始めました
遊びのあとは、リードを付けてのハンドリング練習。「リードを子犬に付けたら膝の後ろにリードを挟んで、飼い主さんの目の前に子犬を診察台があるつもりで置きます」それから、おいしいフードやおやつを使いながら、子犬の耳をマッサージしたり、頭から首の付け根と背中を通りしっぽまでなでたり、足先をつかんだり、頭上から手を振り下ろしてからやさしくなでたり、背中の皮を引っ張ったり……。
子犬のうちからどこでも触れるように慣らすことは重要です
さらには、下あごを支えたり唇を触ったり仰向け抱っこをするなどして、歯磨きや日常のお手入れに役立つハンドリング練習を行いました。もちろん、このレッスンでも子犬をほめることの大切さが強調されていたのは言うまでもありません。
自宅でも毎日行いたいハンドリング練習
洋服慣れを兼ねた特別プログラムも大盛り上がり
最後は、毎回異なるスペシャルプログラム。この日は「おしゃれ競争」。バンダナ2枚を子犬の体のどこかに巻き終わるスピードを競います。このプログラムの狙いは、洋服を着せられることに慣れること。洋服は、抜け毛の飛散量を減らせたり、散歩中のケガ防止、寄生虫予防など着用するメリットもあるため、まずは体に布が巻かれることに慣らすことが大切です。
バンダナを巻くタイムを競うプログラムは、飼い主さんも真剣!
最後は自宅で必ず行っておきたい、クレートトレーニングについての解説。前田先生のパピーレッスンでは、クレートトレーニングが毎回宿題に出されます。そして、何度でも無料で参加できるプリモ動物病院のパピーレッスンに、複数回参加して卒業する家族への記念品の贈呈と記念撮影が行われ、90分間のパピーレッスンが終了しました。
一度しかない社会化期に貴重な経験となるのがパピーパーティーです
動物病院で開催されるパピーパーティーに子犬のうちに参加しておくことで、動物病院に対するネガティブな印象がつきにくくなるメリットもあります。動物病院によっては、実際に子犬が診察台に載っておやつを与え続けられながら、獣医師から触診をされるのに慣らすプログラムを実施するパピーパーティーもあります。お散歩デビュー前の子犬が社会性を養うのに大切なパピーパーティーは、全国の多くの動物病院で開催されています。ぜひ調べて、参加してみてくださいね。
飼い主さんにとっても学びがたくさん
■ 文・写真:臼井京音
取材協力:
*1 プリモ動物病院 上溝 腫瘍科・CTセンター=神奈川県相模原市中央区上溝4481-5 TEL 042-764-3345 https://www.primo-ah.com/services/#sec02
*2 前田智子先生=ドッグトレーニングインストラクター。愛玩動物飼養管理士 一級/日英家庭犬トレーニング協会認定トレーニングインストラクター/Dr.イアン・ダンバーセミナー修了/Dr.ボニー・バーゲン介助犬セミナー修了/英国王立ウッドグリーンシェルター/サイナリアシステムトレーニングセミナー修了


