• コラム

2026.04.30

【#もっと知りたい】ニュージーランドの家庭犬の日常生活に密着!

【#もっと知りたい】ニュージーランドの家庭犬の日常生活に密着!

文・写真=臼井京音

今回のお役立ち情報ニュージーランドの犬の日常

犬を愛する国民が多いニュージーランドの犬事情を、ある家庭のレア犬種に密着してのぞいてみましょう! 

犬がテレビを見ながら留守番?

「クランペット、ルビー! テレビもつけておくし、さびしくないと思うわ。仕事に行ってくるからふたりで仲良く待っててね」と、小さな黒い犬にハグをしたケーティさんは、生まれたときから複数の犬と一緒に暮らしてきた、大の犬好き。
今は、2歳のプチ・ブラバンソンのクランペットと、10歳のチワワのルビーと暮らしています。
留守番中はフリーで過ごしていますが、ケーティさんのベッドの上で寝ていることが多い2頭のために、犬の目にもやさしい色調で制作されている子ども向けアニメを、ベッド正面のテレビでずっと映し続けて出かけるのだとか。
そのアニメの主人公は、犬。実際に犬たちがじっとテレビを見ている姿を、筆者も目撃しました。

クランペットは、グリフォンの一種であるプチ・ブラバンソン。国によっては、もう2種のブリュッセル・グリフォンとベルジアン・グリフォンをまとめてグリフォンと呼ぶこともあります

クランペットは、グリフォンの一種であるプチ・ブラバンソン。国によっては、もう2種のブリュッセル・グリフォンとベルジアン・グリフォンをまとめてグリフォンと呼ぶこともあります

犬を愛する人が多いことで知られるニュージーランド人の一面を、人口規模で第7の都市であるダニーデン滞在2日目にして、はやくも筆者は目の当たりにしてほっこりした気持ちになったのは言うまでもありません。

3世帯に1世帯が犬と暮らしている国

2024年のデータによると、ニュージーランドの犬の飼育率は約34%(調査機関CANZ調べ)で、日本の約9%(一般社団法人ペットフード協会調べ)と比べて4倍近く多くなっています。
筆者が2026年4月にニュージーランドに滞在していたときも、そこかしこで多くの犬を見ました。 

公園を散策していると、ひょっこり犬が現れることも日常の一コマ

公園を散策していると、ひょっこり犬が現れることも日常の一コマ

ラブラドール・レトリーバーがニュージーランドでもっとも人気のある犬種で、ケーティさんも幼少期は複数のラブラドール・レトリーバーとゴールデン・レトリーバーと一緒に過ごしていました。
また、十数年前からは、ケーティさんの母親の希望で迎えた2頭のチワワも家族の一員に加わりました。現在ケーティさんと暮らすルビーは、実家のチワワの親犬から生まれた娘犬だとのこと。
「父と母は、キウイ(ニュージーランド人)のなかでもとびきりの犬好きだから子犬を自分たちで育ててみたかったみたいだけど、ほとんどのキウイは犬に避妊・去勢をさせるので自家繁殖はとても珍しいケースですね」(ケーティさん)
(※ニュージーランドの法律では、登録済みの動物取扱業者ではなくても、健康管理をされた健全なメスの犬に1回限りで商業目的でない場合に繁殖をさせることができます)

ニュージーランドの海や湖や川など、水辺にはたいていレトリーバーがいます

ニュージーランドの海や湖や川など、水辺にはたいていレトリーバーがいます

賢い!犬たち

ケーティさん宅から徒歩10分のところにある実家には今、5頭のチワワと1頭のラブラドール・レトリーバーがいます。
チワワたちは、フロントヤード(前庭)でくつろぐこともしばしば。その愛らしい姿に、ニコッと微笑みながら通り過ぎる近隣住民の姿も見られます。
「このへんは車通りの少ない住宅街なので、庭仕事をしたり洗車をしたりしている間に犬を放し飼いのような状態にしている人も少なくありません。
ご近所さんの犬や実家の犬たちは決して通りに出ないけれど、クランペットは出ていきそうで心配。柵をして脱走の防止対策をしているわ」(ケーティさん)

フロントヤードでくつろぐ、ケーティさんの実家のチワワ(左)と、その娘犬のルビー(右)

フロントヤードでくつろぐ、ケーティさんの実家のチワワ(左)と、その娘犬のルビー(右)

筆者が滞在していた住宅街のフロントヤードにいる犬たちは、歩道まで出てくることもほとんどなく、飼い主さんが呼び戻すとスーッと駐車スペースやバックヤード(裏庭)に帰っていきます。通りに出ていかない犬だからこそ、そうやって過ごせるのだとは思いますが、さすがペット先進国のひとつであるニュージーランドならではの光景だと、筆者も感心せずにはいられません。
ニュージーランドには、人や他犬に温厚な犬で、呼び戻しなど犬を飼い主がしっかりコントロールができるという条件付きで、犬をオフリードにできる公園やビーチ(季節や時間帯など変動的なルールあり)があります。
犬と一緒に自然を楽しみたいからこそ、ニュージーランド人は常日ごろからしっかりと犬をしつけているに違いありません。

手軽なハイキングコースや水辺の公園など、ニュージーランド人はよくトレーニングされた犬とともに豊かな自然を堪能しています

手軽なハイキングコースや水辺の公園など、ニュージーランド人はよくトレーニングされた犬とともに豊かな自然を堪能しています

レア犬種のグリフォンとの出会い

クランペットは、ケーティさんがニュージーランド最大の都市オークランド在住時代に迎え入れられました。
インターネットで好みの犬を検索していたところ、ケーティさんのパートナーがクランペットに一目ぼれ。それまで、ふたりともグリフォンは自国で見たことがなく、まったくなじみのない犬種だったそうです。
「オークランドではごくたまにグリフォンを見ましたが、ダニーデンに移り住んでからはグリフォンを見ることはないわね。クランペットは番犬気質で、誰かが来ると吠えるけれど、陽気で活発。オークランドでの子犬時代には一緒にシャワーを浴びるのも好きで、今もいつも私のあとをちょこちょこついてきて、なにをしてもかわいい最高のパートナードッグなの」(ケーティさん)

甘えん坊のクランペット。体重は5kg弱で、実は運動神経も抜群で機敏

甘えん坊のクランペット。体重は5kg弱で、実は運動神経も抜群で機敏

クランペットもルビーも、夜はケーティさんのベッドの上で就寝。
「我が家は、クランペットが住宅街を歩くのを好まないから毎日は散歩に行かないけど、家族とリビングや廊下で追いかけっこをしたり、バックヤードを走り回って遊んだりしたから、きっと充足したはず。
週末は、海に連れて行ってあげるからね~クランペット!」(ケーティさん)

ニュージーランドの家庭犬の多くは、バックヤードがトイレ。ペットドアから出入り自由で、用を足してすっきりしたらお気に入りのドッグベッドへ

ニュージーランドの家庭犬の多くは、バックヤードがトイレ。ペットドアから出入り自由で、用を足してすっきりしたらお気に入りのドッグベッドへ

週末のビーチは犬たちがたくさん

土曜日の朝のビーチは、犬連れのファミリーが10組ほど集まっていました。
海へと続く川の浅瀬では、子どもと一緒にボール遊びをするレトリーバーの姿も見られます。
オーストラリアン・キャトル・ドッグ、オーストラリアン・ラブラドゥードル、ジャック・ラッセル・テリア、ジャーマン・ポインター、ミニチュア・シュナウザーなど、思い思いに遊んでいます。

シニアドッグのルビーはケーティさんの後ろにぴったりくっつきながら歩き、若いクランペットは砂浜を駆け巡り大興奮。ケーティさんもクランペットと一緒に走り、ニコニコと笑っていました。

ケーティさんとクランペット、ルビー。家ではケーティさんのベッドの上でほとんどの時間を過ごすルビーも、海に来るとうれしそうに走ります

ケーティさんとクランペット、ルビー。家ではケーティさんのベッドの上でほとんどの時間を過ごすルビーも、海に来るとうれしそうに走ります

「ニュージーランドでこうやって犬と暮らすのは、本当にすばらしいと思う。自然の中で輝く犬たちの笑顔が見られるから。
でも、ひとつだけ難があるとすれば、緊急な症状の場合をのぞいて、獣医師に診察してもらうのに数週間から数ヵ月ほど待たないといけないことかしら。動物病院不足が、主観だけど問題だと思っていて……。だから、老犬ルビーやクランペットの健康管理には気を付けないとね」
このように語るケーティさんの話に筆者が耳を傾けていると、ラブラドールとチワワが小高い小やぶの中から現れ、今度はルビーも興奮気味です。
「あ、実家の犬たちよ! わー、ルビーもクランペットもうれしそう」と、犬も人も混じり合って大わらわ。しばらく犬同士で触れ合ったあとは、「じゃぁ、楽しんでね。あ、ルビーはパパやママと一緒にいたいみたいね。そっちに預けるわ」と、ケーティさんは両親と犬たちを見送り、クランペットだけを連れて駐車場へ。
帰路はハンドルを握るケーティさんの横顔を見ながら、足先に少しの砂をつけたクランペットは満足そうな顔を浮かべて筆者の膝の上でまどろんでいました。

広大な放牧場を背に、これぞニュージーランドという景色が広がる海辺。潮と牧草が入り混じったような香りを感じました

広大な放牧場を背に、これぞニュージーランドという景色が広がる海辺。潮と牧草が入り混じったような香りを感じました



■ 文・写真:臼井京音

profile_202506.jpgドッグライター・ジャーナリストとして、20年以上にわたり世界の犬事情を取材。現在は犬専門誌『Wan』をはじめ週刊誌、Web媒体、会報誌等で情報発信を行う。以前は『愛犬の友』誌、毎日新聞の連載コラム(2009年終了)などでも執筆。著書に『うみいぬ』『室内犬の気持ちがわかる本-上手な育て方としつけ方をアドバイス!』がある。
現在は元野犬の中型犬と暮らす。歴代愛犬のノーリッチ・テリア2頭と同様にボールを追いかけることが喜びで、趣味はテニスとバレーボールと写真撮影。パリやNYで撮影し自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、ペットショップP2などのインテリアにも使用されている。