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2023.08.09

【#大きな犬と】"涼活"が大切! 健やか夏生活の秘訣を獣医師が伝授

【#大きな犬と】

同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、健康や食事や遊びといった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)



今回のお役立ち情報涼活

東京都八王子市の「アキホリスティック動物病院」院長で、東洋医学にも詳しい菅野晶子獣医師に、大きな犬の“涼活”になる食材選びやケア方法、日常生活の工夫ポイントを教えていただきます。
うちの子の暑い季節の健康ライフに、ぜひお役立てください。

夏はマッサージとツボ圧しはNG!?

日本の夏は気温だけでなく湿度も高く、犬も夏バテをしやすいものです。
アキホリスティック動物病院の菅野晶子獣医師によると、身体に熱がこもっている状態で血行を促進するマッサージやツボ圧しを積極的にすると、さらに身体が熱くなってしまうとのこと。
「夏場のマッサージやツボ圧しは、うちの子の身体の熱さを確認してからにしましょう。冷えている子にのみ、涼しい部屋で少しだけにしてくださいね。
食事や日常生活のちょっとした工夫で、大きな犬のための“涼活”をしてあげるのがおすすめです」と、菅野獣医師は教えてくれました。

「ん?なになに? りょうかつ(涼活)がスタートするんだね」

「ん?なになに? りょうかつ(涼活)がスタートするんだね」

まずは「熱いかな?」チェック

大きな犬の身体に実際に熱がこもっているかどうかを、まずは確認しましょう。冷房の効いた部屋で過ごしていて、実は身体が冷えていることもあるからです。

一般的には、犬のように天然の毛皮をまとっていない飼い主さんが暑いと感じるときは、大きな犬はもっと暑いと感じている可能性が高いでしょう。
さらに、大きな犬がハァハァと口呼吸をしているならば、体熱を逃そうと身体ががんばっているサイン。大きな犬が過ごす部屋は、大前提として口呼吸にならないエアコンの温度設定を。

「大きな犬がハァハァしているとき、舌を見てください。舌がその子の日常の色より明らかに赤い、あるいは舌にヒダが多くなってように見えると、熱がこもっているけれども放熱できない“陰虚”の状態だと思ってよいでしょう」と、菅野獣医師は簡易的なチェック方法を教えてくれました。

大きな犬の頭部も、触ってみましょう。飼い主さんが熱いなと感じたら、犬も熱いと言えます。

舌の色を見たり頭部を触ったりして、うちの子の身体の熱さをチェック

舌の色を見たり頭部を触ったりして、うちの子の身体の熱さをチェック

頭部と耳への少しの刺激でスッキリ

頭部が熱かった場合は、どうすればよいのでしょうか?
「ボーっとしてしまっている頭をすっきり落ち着かせて、自律神経のバランスを整えるのに、大きな犬の両眼の上から後頭部まで、飼い主さんの4本の指を使ってくしで梳かすようにして“経絡(けいらく:気や血の通路)”を流してあげるのがおすすめです」(菅野獣医師)

熱さを逃して落ち着かせるには、犬の目の上あたりから後頭部まで、飼い主さんの指を使ってくしで梳かすように刺激しましょう

熱さを逃して落ち着かせるには、犬の目の上あたりから後頭部まで、飼い主さんの指を使ってくしで梳かすように刺激しましょう

「夏のだるさを解消するには、耳から熱さを逃してあげるようなイメージで、大きな犬の耳を触るのもいいですね。
耳には自律神経を整えるツボが多数あります。そのツボを軽く刺激するようなイメージで、大きな犬の耳の根元から先端まで、スーッと流すように触りながら引っ張ってあげてください」(菅野獣医師)

飼い主さんの手で大きな犬の根元を握り、耳の根元から先端まで、軽く握りながらシュッと引っ張るように刺激します

飼い主さんの手で大きな犬の根元を握り、耳の根元から先端まで、軽く握りながらシュッと引っ張るように刺激します

身体を冷やす食材を活用

夏バテ予防と身体を冷やすために、ドライフードのトッピングや手作りごはんで使用する食材でも工夫しましょう。
前述した陰虚(熱がこもっていて、熱が出せない)状態を招きやすい食材は、夏はあげすぎないようにしたいものです。

「ラムやシカは、東洋医学では身体を温める食材として知られています。冬には積極的に取り入れたいですが、夏はそれらを与えると大きな犬の身体に熱がこもりやすいので控えめにしたほうがよいでしょう。
肉類は、身体を温めもせず冷やしもしない“平(へい)”のものを選ぶのがおすすめです。平に分類される肉類での代表は豚や牛、魚類のカツオです」(菅野獣医師)
薬膳では、豚肉も牛肉は疲労回復に、さらに牛肉はエネルギーの補充になる食材として知られています。

旬の野菜は、人間や犬にその季節に合った役割を果たします。写真の夏野菜のうち、大きな犬に与える場合キュウリ以外は煮るなど火をとおしましょう

旬の野菜は、人間や犬にその季節に合った役割を果たします。写真の夏野菜のうち、大きな犬に与える場合キュウリ以外は煮るなど火をとおしましょう

身体を冷やす野菜では、オクラ、ズッキーニ、キュウリ、ナス、ゴーヤ、アスパラ、セロリが、果物ではスイカ、ナシ、ブルーベリーがあります。
「消化機能が衰えていて、身体も冷えやすい老犬には、野菜はすべて火をとおしてから与えるようにしてあげましょう」(菅野獣医師)

すでに夏バテ気味で食欲が落ちている大きな犬には、肉や魚のゆで汁をそのまま与えたりドライフードにかけたり、ゆで汁を冷蔵庫で冷やしてゼリー状にしてあげると、喜んで食べる可能性が高いと菅野獣医師は言います。

なお、夏場に氷水を与える飼い主さんも少なくないかもしれません。けれども、菅野獣医師によると、飲み水は夏でも常温で与えるのが体にはやさしいとのことです。

食べ物や飲み物への工夫で、健やか夏ライフを!

食べ物や飲み物への工夫で、健やか夏ライフを!

冷房や保冷剤などの正しい使い方とは

菅野獣医師は、飼い主さんから夏の犬との生活で次のような質問を受けるケースが多いそうです。

ひとつ目は、冷房の設定温度。

「エアコンの設定温度は、アンダーコートのある犬種かどうか、またどのくらいの広さの部屋に大きな犬がいるかなど、環境によって異なります。ただ、冷房で冷えすぎることも想定して、寒さからの逃げ場は作ってあげたほうがいいですね。どこかにブランケットを置いておくなど、冷え過ぎ予防対策を講じましょう。

また、留守番時はたいていの大きな犬は動かず寝ているの、冷房温度はやや高めに設定して、冷房の風がダイレクトに当たらないところにドッグベッドなどを設置してください」

なお、大きな犬の肉球を触って冷たいと感じるならば、身体が冷えている証拠。冷房の設定温度は、そうしたチェックの結果も参考に調整を。

肉球を触ってひんやりしていると感じる場合は、大きな犬の身体は冷え過ぎ

肉球を触ってひんやりしていると感じる場合は、大きな犬の身体は冷え過ぎ

2つ目は、サマーカットに関して。

「中毛や長毛の大きな犬のボディを、短毛種のようにツルツルにサマーカットするのは少々危険ですね。

被毛は、直射日光や熱をダイレクトに皮膚が受けるのを防御する役割も担っています。サマーカットするならば、背中の被毛はほどほどの長さを残し、熱が抜けやすい胸の被毛は必要に応じて短めにするのが最良でしょう」

短くカットしすぎたり、ヘアカットを頻繁にする犬では、保温のために被毛が必要な冬までに、被毛が伸びてこないケースもあるとか。

獣医師やトリマーと相談しながら、サマーカットはやり過ぎないようにしたいものです。

3つ目は、保冷剤の使い方について。

「保冷剤を仕込めるネックタオル(スヌード)などもありますが、首の後ろを冷やし続けると血行が悪くなるので、散歩中だけの使用がよいでしょう。エアコンを使用している自宅では、保冷剤を入れたスヌードは不要です」

冷房の風がダイレクトに当たらないように&自宅では保冷剤は使用しないように

冷房の風がダイレクトに当たらないように&自宅では保冷剤は使用しないように

飼い主さんによる大きな犬のためのさまざまな工夫によって、健やかに快適に夏を乗り切れますように。



ライター:臼井京音 写真:蜂巣文香

取材協力:

*1 アキ ホリスティック動物病院 https://www.akiholisticvet.com/

■ 菅野晶子 先生

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東京都八王子市のアキ ホリスティック動物病院の院長。獣医師、鍼灸師、国際中医師、
日本獣医ホメオパシー学会認定医。元保護犬や元保護猫と暮らし、人や動物を癒すことをライフワークに幅広く活動を行っている。






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