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2023.10.02

犬の胃腸トラブル対策に。正しく知って活用しよう「消化酵素」の基礎知識とケア

犬の胃腸トラブル対策に。正しく知って活用しよう「消化酵素」の基礎知識とケア

多くの飼い主が頭を悩ませる問題の一つに、消化器系のトラブルがあります。犬の下痢や軟便、嘔吐が続いたり、なかなかおなかの調子が安定しない…という悩みについて調べていると、「消化酵素」というキーワードにたどり着くことがあります。
人間用のサプリメントや健康食品でもよく見かける「酵素」ですが、これって犬の体にどのように働いてメリットをもたらしてくれるものなのか、ご存じでしょうか?

今回は、「犬の健康と消化酵素」を中心として、胃腸を中心とした消化器系の健康を維持するのに役立つ基本的な知識とケア方法についてご紹介いたします。
犬の健康の基礎となる栄養バランスや食事の工夫、役立つサプリメントの与え方などについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

DOG's TALK

監修者:獣医師 菱沼 篤子

監修者:獣医師 菱沼 篤子

犬の栄養指導や犬の健康に関する専門知識を持つコンサル担当スタッフとして、さまざまな飼い主のお悩みを聞いている。

消化酵素とは?

消化酵素は、口腔内や胃腸、膵臓などの消化器系から分泌される食物を消化・分解する際に活用される酵素のことです。食べ物から栄養素を吸収する際に重要な役割を果たしています。

実は、「酵素」はタンパク質の一種。約20種類あるアミノ酸が様々な順番で結合してできています。アミノ酸の組み合わせやつながっている数、順番などが変わるとその特性が変わり、働きも変化します。
酵素そのものは犬や人間の体の至る場所に存在していて、様々な働きをしています。そんな中でも特に消化に特化した働きを持つ酵素のことを「消化酵素」と呼んでいます。

本来、消化酵素は犬の体内で生成されています。ところが、何らかの原因で十分な消化酵素を作れなくなるケースもあるようです 。

 

■消化酵素の種類と役割

犬の消化器系で活躍している消化酵素には、その働きごとに以下の分類があります。

・プロテアーゼ:タンパク質をアミノ酸に分解する
・リパーゼ:脂質を脂肪酸に分解する
・アミラーゼ:でんぷんを糖に分解する

これらのほかにもさまざまな酵素が存在しています。
また、消化酵素は消化段階ごとに存在していて、たとえば胃の中には胃液に含まれるペプシンがタンパク質をペプチドに分解し、十二指腸のトリプシン、小腸でペプチダーゼなどの酵素を経て最終的にアミノ酸レベルまで分解され、吸収されています。

■ ちなみに:体内での酵素の働き

■代謝酵素(体内酵素)
代謝酵素は生命活動全般に関係している酵素で、主な働きはエネルギー代謝・細胞や栄養などの再合成・解毒・免疫作用など。
その他にも遺伝子の複製や転写、翻訳などを制御する酵素なども存在。DNAの修復や複製の正確性を保つ役割を果たします。

■消化酵素(体内酵素)
食べたものを吸収しやすいように分解するために使用されている。消化器系で主に活用される。

消化酵素が不足すると犬の体はどうなる?

食べ物を消化・吸収する際に重要な働きをしている消化酵素ですが、これが不足してしまうと、結果として犬の体にさまざまな影響が現れる可能性があります。
消化酵素が不足したり、上手く働かないことで消化が滞ることになります。食べても消化できずに消化不良を起こすだけではなく、栄養を食べ物から取り込むことができずに体重減少や栄養失調につながる可能性があります。
上手く食べ物を消化できないので、不快感が残り食欲が低下するということも多くあると思います。

また、未消化の食物が腸内に滞留すると、腸内で発酵が進んでしまうことにより細菌のバランスが崩れ、便秘や腸の炎症が起こる可能性があります。

犬の消化酵素が不足する?

犬の体内で消化酵素が不足する原因はいくつか考えられます。代表的なものをいかにまとめました。

疾患や病気:
膵臓、肝臓のトラブルなど、消化酵素の生成や分泌に影響を与える病気が原因となって、消化酵素が十分に作られなくなることがあります。

食事の偏り:
食事に含まれる栄養バランスが崩れている場合も、必要な消化酵素が不足する可能性があります。酵素は基本的に分解することができる栄養素が限られているため、特定の成分が過剰になるとその酵素ばかりが消費されることになります。また、新しく酵素を合成するためにもバランスよく栄養が必要になります。

ストレス:
ストレスは胃腸の機能に影響を与えることがあり、消化酵素の分泌を妨げる可能性があります。環境の変化や不安定な状況がストレスを引き起こす要因となることがあります。

遺伝的要因:
個体差や遺伝的な要因により、消化酵素の生成や分泌に影響を与えることがあります。特定の犬種や遺伝的な要因で、消化酵素の不足がより顕著に見られることがあるかもしれません。

■ 食品が持つ食物酵素について

生の野菜やフルーツには、文字通り「酵素」を持つものがあります。代表的なものでは、以下のものがあります。

【果物】
バナナ: アミラーゼ
パイナップル、キウイ、パパイヤ: プロテアーゼ
柑橘類、イチゴ: リパーゼ

【野菜】
大根、かぶ: アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ
キャベツ、山芋: アミラーゼ
納豆: プロテアーゼ
とうもろこし: リパーゼ

食物酵素は、犬や人間が体内で作る消化酵素とは別物です。
しかし、食事と一緒に摂取することで、食べ物と一緒に消化管の中を移動しながら分解をさせやすくし、消化吸収のサポート効果が期待されています 。

 

■酵素が入ったサプリメントの与え方

それなら、消化に役立つ酵素が入ったサプリメントは全く効果がないのかと言えば、そうではありません。これらのサプリメントは、食事の際に摂取することで、食べ物に含まれるタンパク質や脂質など消化の負担を軽減するという目的なら効果的。
消化をお手伝いする酵素を食事と一緒に取り入れる、という考え方で使ってみるのがオススメですよ。

酵素を作る力は高齢犬では徐々に衰えます

私たちや犬たちの身体の中で、日々酵素は作られていますが、一生で作れる酵素の量には上限(個人差あり)があると考えられています。
だから、どんな酵素をどれくらい作るか、その配分を無駄にしないようにすることができれば、健康寿命は延びていくはず。

年齢を重ねるごとに徐々に酵素を合成する力は徐々に衰えていき、作ることができる酵素には優先順位ができます。
この優先順位は生命維持に関することが最優先となり、消化に関するものはその次になっています。

たとえば、犬でもシニアになると白髪が生え始めますよね。実は、被毛に色を定着させるのも酵素の働きによるものなのですが、毛の色は生命維持に関することではないため、加齢に伴い毛の色を定着させる酵素はどんどん作られなくなっていきます。
限られた酵素を作る余力をほかの酵素を作るために回しているのです。

酵素を含むオススメサプリメント

POCHI HP・MAX

お腹の健康維持に大活躍、ポチのロングセラーサプリメントです。
3種類の消化酵素の力で食べ物の消化と栄養吸収を助け、納豆菌・酪酸菌・オリゴ糖により、腸内細菌バランスを整えます。
食事と一緒に与えます。

主原料:海草粉末、DLメチオニン、塩酸Lリジン、微生物由来生成物(ドリセラーゼ)、納豆菌、酪酸菌、フラクオリゴ糖
原産国:日本

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■こんな子にぜひお試しください

  

    • お腹の調子が安定せず、下痢や軟便を起こしやすい犬に。
    • 食べ慣れないものを食べる予定、フード切り替えの予定がある子に。
    • 普段の食事から少しずつ健康習慣を作っていきたい犬に。


POCHI HP・MAXには、犬が本来持っていないの酵素が配合されています。
例えば、セルラーゼ。植物の持つセルロース(食物繊維)を分解するこの酵素は、草食動物が持っているもので、犬や人間は持っていません。
この酵素を食事にプラスすることで、野菜やフルーツなどの細胞壁を分解し、消化しやすくしてくれます。
酵素としての働きは胃酸で酵素が分解されるまでの間に限られますが、消化器系のサポートとしての働きは期待できると思います。
プロテアーゼは食べ物に含まれるタンパク質を分解しやすくして、体内での利用効率を高める働きも期待できます。フードと一緒に与えると、少ない食事量を効率よく分解し、栄養として使えるようになりますので、食が細い子や成長期の子犬、シニア期の犬たちにもオススメです。

まとめ

今回は、犬の健康維持と消化酵素についてご紹介いたしました。
知っているようで、意外と知られていない情報も奥深い消化酵素。基本的な働きを知るだけでも、消化酵素を含む食品やサプリメントを与えるべきタイミングが分かってきます。酵素は上手く取り入れることができれば、犬の健康を維持するために役立つ心強い味方になってくれますので、適量を取り入れてみてくださいね。