• コラム

2025.11.20

【#犬とお出かけ】横浜の西洋館~元町~マリンタワーを犬とめぐる"街ブラ"が楽しい

【#犬とお出かけ】横浜の西洋館~元町~マリンタワーを犬とめぐる

楽しい犬とのお出かけ。でも、犬を連れて入っていいのはどこまで?犬を連れているときのマナーって?という部分は気になるポイント。ドッグフレンドリーな環境で犬と一緒に楽しめるスポットや犬を連れての出先でのエチケットなどについて、写真とともにリポート・解説します。(POCHI編集チーム) 



今回のお役立ち情報犬とお出かけto横浜

山手イタリア山庭園を散策しながら横浜山手西洋館を見学し、元町ショッピングストリートをめぐり、横浜マリンタワーの展望台を犬と一緒に楽しむワンデープランを紹介します。

横浜はドッグフレンドリーな街

うちの子と、フォトジェニックな街へ非日常のおでかけをしたい! そう思ったら、横浜がおすすめです。
「横浜はドッグフレンドリーな街なんですよ。私がネイルサロンを営む元町には、犬と入れるカフェやレストランやショップがいくつもありますし、横浜マリンタワーの展望フロアも犬と行けます。
私が犬の散歩でよく訪れる山手イタリア山庭園は、四季折々の庭園の姿を楽しむだけでも十分満足できますが、ブラフ18番館は、キャリーバッグに入れれば犬と一緒に西洋館内を見学することもできるんです」
と、“けあなちゅらる”のMiingさん。
ではさっそく、同店のレオ店長(ポメラニアン/4歳)と暮らすMiingさんの案内で、山手イタリア山庭園をスタート地点に、元町ショッピングセンター、そして横浜マリンタワーまでの1日散策コースをご案内しましょう。

国の重要文化財である「外交官の家」を背に、入場無料の山手イタリア山庭園でくつろぐMiingさんとレオくん

国の重要文化財である「外交官の家」を背に、入場無料の山手イタリア山庭園でくつろぐMiingさんとレオくん

山手イタリア山庭園で心弾むひととき

Miingさんがレオくんとよく訪れるのが、山手イタリア山庭園。1880(明治13)年から約6年間、イタリア領事館が置かれたことから名づけられた「イタリア山」には、イタリアで多く見られるスタイルの庭園を模した庭園があります。幾何学的に配された花壇では、季節ごとに美しい花々や植栽を愛でることができ、犬の散歩コースとしても地元の人々に人気です。

山手イタリア山庭園内のアーチ型の階段側面には、噴水もあります

山手イタリア山庭園内のアーチ型の階段側面には、噴水もあります

とんがり屋根が印象的な「外交官の家」は、アメリカ人建築家J.M.ガーディナーの設計。1910年(明治43)年に東京渋谷に建てられた明治政府の外交官内田定槌氏の邸宅を、横浜市が1997(平成9)年に山手イタリア山庭園に移築復元し、一般公開しました。
「外交官の家は外側をぐるりと一周できるのですが、付属棟の喫茶室のテラス席では犬と一緒にコーヒータイムも楽しめますし、正面玄関近くにも花咲き乱れる庭があって、ついつい長居をしてしまいます」(Miingさん)

外交官の家の正面玄関そばの花壇で花々に囲まれて

外交官の家の正面玄関そばの花壇で花々に囲まれて

小型犬と見学可能な西洋館「ブラフ18番館」へ

オレンジの屋根とグリーンの扉や窓枠が印象的な「ブラフ18番館」は、もともとは山手町45番地に建てられたオーストラリアの貿易商バウデン氏の住宅でした。戦後はカトリック山手教会の司祭館として1991(平成3)年まで使用され、同年、横浜市が部材の寄贈を受けて山手イタリア山庭園内に移築復元し、1993(平成5)年から一般公開されています。

関東大震災による火災と倒壊を免れた住宅の一部が、部材として使用されていることが、移築前の解体時にわかった「ブラフ18番館」

関東大震災による火災と倒壊を免れた住宅の一部が、部材として使用されていることが、移築前の解体時にわかった「ブラフ18番館」

館内は、小型犬であればキャリーバッグに入れて(カートは不可)飼い主さんと一緒に無料で見学することもできます。
木造2階建ての西洋館内は、上げ下げ窓と鎧戸、サンルームや暖炉など、そこここに洋風住宅らしさを感じられます。昭和初期の建築である西洋館「バーナード邸」の家具を展示したダイニングルームに足を踏み入れれば、震災後の外国人の生活を垣間見られる気がすることでしょう。

山手イタリア山庭園内にたたずむ趣の異なる2つの西洋館で、思い出の一枚を

山手イタリア山庭園内にたたずむ趣の異なる2つの西洋館で、思い出の一枚を

横浜元町ショッピングストリートを散策

山手イタリア山庭園からは大丸谷坂を下り、石川町商店街を抜けて横浜元町ショッピングストリートへ。
「ここは毎日、レオの散歩を兼ねて通勤で通るので“レオの庭”とも言える場所ですね(笑)。夏はよく、ストリート内に3ヵ所設置されている犬用水飲み場“ペットバー”で、レオはお水を飲んでひと休みしています」(Miingさん)

歩行者天国になる時間帯もあり、犬と歩きやすい横浜元町ショッピングストリート

歩行者天国になる時間帯もあり、犬と歩きやすい横浜元町ショッピングストリート

このようにドッグフレンドリーな横浜元町ショッピングストリートには、抱っこをしたりキャリーバッグやカートに入れれば犬と入れるショップも少なくありません。
「気になるお店があったら、『犬も大丈夫ですか?』と聞いてみてくださいね。ちなみに、横浜元町ショッピングストリートは端からは端まで寄り道せずまっすぐ歩くと、所要10分ほどです」(Miingさん)

スタージュエリー元町本店(左)と、キタムラ元町本店に設置されている“ペットバー”。スタッフが毎日新鮮な水を入れています

スタージュエリー元町本店(左)と、キタムラ元町本店に設置されている“ペットバー”。スタッフが毎日新鮮な水を入れています

横浜元町は、ものづくりの街として知られています。それは、海外から多くの船が着く港から、山手の居留地に帰るヨーロッパ人やアメリカ人が必ず元町を通ったので、彼らが必要とするものを扱う店が集まったから。バッグや靴や家具など、開港後まもない日本には珍しいものを職人が試行錯誤で作って販売し、栄えてきたのです。
洋食器や食パンやクリーニング店も、元町が発祥だと言われているそうです。

美術品を鑑賞しているかのようで、見ていて飽きない約150枚のドッグプレート

美術品を鑑賞しているかのようで、見ていて飽きない約150枚のドッグプレート

犬モチーフの食器が数多くそろうとMiingさんに案内してもらった「タカラダ(TAKARADA)」も、元町の歴史とともに歩んできた店のひとつ。
1882(明治15)年に創業し、オーダーメイド家具店を経て外国人向けの洋食器販売店へ、さらに洋食器輸入販売、オリジナル洋食器メーカーへと歴史を刻んできました。
「元町本店の壁面を飾るデンマーク製ドッグ・プレートは、約500の図柄があるんですよ。
写真や文言を入れられるセミオーダーのフォトプレートも、元町本店にある専用窯と専用工房で製作が可能で、ワンちゃんやネコちゃんの飼い主さんにも大変好評です」と、店長は教えてくれました。

横浜開港後の歴史に思いを馳せながら元町を歩けば、見える景色もまた変わってくるかもしれません。

横浜マリンタワーの展望フロアで絶景を堪能

「犬と楽しめるとっておきの観光スポットといえば、ここははずせません」と、Miingさんがおすすめしてくれたのは、横浜マリンタワー。横浜元町ショッピングストリートの北端から徒歩5分ほどのところにあり、氷川丸と並び、横浜のシンボル的な存在です。
犬はカートかキャリーバッグに入れるか抱きかかえれば、タワー内に入れます。

“ドッグフレンドリー宣言”をしている横浜マリンタワー。氷川丸を眼下に眺めながら、犬連れ専用エレベーターで30階へ

“ドッグフレンドリー宣言”をしている横浜マリンタワー。氷川丸を眼下に眺めながら、犬連れ専用エレベーターで30階へ

横浜マリンタワーの2つある展望フロアのうち、ひとつが日中は犬の入場もOK。11時30分から17時30分まで、オンラインで入場日時を選んでチケット(枚数と時間の制限あり)を事前購入したら、飼い主の“デイチケット”も事前か当日現地で購入して入場します。 
「しょっちゅう目の前の山下公園まで来ているのに、実は私も初めて展望フロアに上ったんですよ(笑)。
行き慣れた横浜中華街や赤レンガ倉庫を見下ろすのは、不思議な気分です。360度パノラマで、富士山まで見えるんですね!」と、レオくんを抱っこしながら、Miingさんは完全に観光客モードで絶景を楽しんでいました。

写真左の横浜ベイブリッジなど、ぐるりと1周しながら海から山まで360度パノラマの眺望を堪能

写真左の横浜ベイブリッジなど、ぐるりと1周しながら海から山まで360度パノラマの眺望を堪能

なお、横浜マリンタワー内のショップも抱っこやカートまたはキャリーバッグ利用で犬も入れ、飲食店はテラス席のみ犬と同伴が可能です。

元町のカフェで食事やスイーツも満喫

Miingさん行きつけの元町のカフェも、紹介してもらいました。
「この“プロバンスカフェ”はテラス席だけでなく、店内もワンちゃんと入れるんですよ。とてもおしゃれで落ち着く空間で、レオも大好きなカフェです。
ドリアやスパゲッティもおいしいですが、私のイチオシは、特製熱々だし巻き卵サンド(1280円)。店長によると、卵は一度冷凍させてから解凍させて、うまみをアップさせているそうなんです」とのこと。
そのひと手間を加えた卵を使った「昭和のプリン(680円)」も人気メニューのひとつ。

小型犬から大型犬まで、何頭でも飼い主さんとくつろげるプロバンスカフェ

小型犬から大型犬まで、何頭でも飼い主さんとくつろげるプロバンスカフェ

プロバンスカフェは、横浜マリンタワーから徒歩7分ほどの、元町パセオ1階にあります。
この辺りから、横浜元町ショッピングストリートと平行する全長600mほどの「元町仲通り」と、その南側の山手に連なる「代官坂通り」「水屋敷通り」「汐汲坂通り」「本牧通り」の5つの通りと坂道が「元町クラフトマンシップ・ストリート(元町CS)」と呼ばれる職商人と食商人のまちです。
「元町CSには、犬と入れるレストランやカフェやショップがほかにもたくさんあります。
犬にやさしい元町とその周辺の観光スポットを、ぜひ楽しんでくださいね」(Miingさん)

なお、今回は紹介していない横浜山手西洋館のうち、ベーリック・ホール、山手234番館、横浜市イギリス館、山手111番館も、小型犬で全身がキャリーバッグに入っていれば見学が可能です。飼い主さんとうちの子の時間と体力に余裕があれば、坂を進みそれらの西洋館をめぐるのも良いでしょう。

参考:

*1 横浜山手西洋館MAP https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/map.php

■ 案内してくれたレオ店長のいるサロン:VeganNail&RadonSpa #けあなちゅらる

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「お客様に提供するものを、可能な限りオーガニックで揃えている、動物や地球にもやさしいヴィーガンネイルサロンです。岩盤浴カプセル(ラドンスパ)、足裏角質ケアのサービスも提供。サロン内にはレオ店長がいて、触れ合うこともできます。予約時のご相談により、マナーベルトなどの着用でお客様のワンちゃんをサロンにお連れいただくことができる場合もあります」
#けあなちゅらる

■ 文・取材:臼井京音

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ドッグライター・ジャーナリストとして、20年以上にわたり世界の犬事情を取材。現在は犬専門誌『Wan』をはじめ週刊誌、Web媒体、会報誌等で情報発信を行う。以前は『愛犬の友』誌、毎日新聞の連載コラム(2009年終了)などでも執筆。著書に『うみいぬ』『室内犬の気持ちがわかる本-上手な育て方としつけ方をアドバイス!』がある。
現在は元野犬の中型犬と暮らす。歴代愛犬のノーリッチ・テリア2頭と同様にボールを追いかけることが喜びで、趣味はテニスとバレーボールと写真撮影。パリやNYで撮影し自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、ペットショップP2などのインテリアにも使用されている。

取材協力:

*1 横浜市 山手西洋館の開館時間案内ページ https://www.city.yokohama.lg.jp/faq/kukyoku/kankyo/nanbu-ryokuchi/20211015162151294.html

*2 横浜マリンタワー https://marinetower.yokohama/dog-friendly/

*3 テーブルウェア専門店タカラダ https://takarada.co.jp

*4 プロバンスカフェ インスタグラム

*5 プロバンスカフェ 横浜元町クラフトマンショップストリートHP内