- コラム
2026.01.26
【#ケアシリーズ】街の専門診療が増えている!犬の眼科・皮膚科・歯科などが心強い
取材・文=臼井京音
取材協力=どうぶつ眼科EyeVet
犬の健康に気を遣っているけれど、さまざまな情報が飛び交う昨今、なにを信じていいかと混乱していませんか?古かったり、信ぴょう性に欠けたりする情報が見られいるのも事実。
"犬の専門家"の見解や意見も割れることがしばしばありますが、信頼のおける有益な情報だけを集めたい飼い主さんのアンテナにビビッと来そうなトピックを集めてみました。(POCHI編集チーム)
今回のお役立ち情報街の専門診療
近年、眼科、皮膚科、歯科、呼吸器科、整形外科、外科などの専門治療が受けられる民間の動物病院やクリニックが増えています。
専門の知識を持つ獣医師への受診方法、かかりつけ医と違う点などを解説します。
民間の専門外来が増えてきたワケ
ここ10~20年の間に、専門的な獣医療を提供する動物病院やクリニックが増えてきました。
二次診療を受けられる専門外来といえば、大学病院を思い浮かべる方も多いでしょう。大学病院での受診経験がある飼い主さんも経験しているかもしれませんが、一次診療を行うかかりつけ医から紹介状を書いてもらって大学病院に予約を入れると、受診まで数週間~数ヵ月待ちというケースも少なくありません。そこには、診療を行う大学教授や准教授が、研究や論文執筆、学生への指導などの職務も担っていて、大学病院での診察に多くの時間を費やすことができないという物理的な背景があります。
近年、犬や猫向けに開院している眼科、歯科、呼吸器科、皮膚科、腫瘍科、整形外科などの各専門分野に特化した民間の二次診療施設が増えているのは、大学病院より早期に初診が受けられることなど、飼い主のニーズを満たした結果とも言えます。
また、アメリカなどの獣医療先進国では20年以上前から当たり前であった、専門分野にたけた獣医師が患者動物を診るシステムが、日本にも浸透しつつあるからだとも考えられます。
かまくらげんき動物病院の歯科(歯周病外来)ではプラズマ治療も行われています
専門の医療機器や豊富な経験がある
どうぶつ眼科EyeVet(東京都世田谷区)を2016年に開業した小林一郎院長は、アメリカで動物眼科の専門医療を学んできた獣医師のひとりです。
「1996年から3年間、フロリダの眼科専門の動物病院で知識と経験を積みました。
その後、1999年にはオハイオ州立大学で眼科についてさらに学びを深めました。
アメリカは獣医療が進んでいることを実感するとともに、日本でも専門分野に特化した獣医診療を普及させたいとも感じましたね。
そこで帰国後はすぐ、都内の動物病院の一角で眼科専門の診療をスタート。15年間ほどそちらで眼科診療をしていましたが、患者数の増加もあり、獣医師やスタッフを増やして現在の地に開業しました」(小林獣医師)
どうぶつ眼科EyeVetには、手術用顕微鏡や白内障手術装置など、眼科専用の設備がそろっています。
一次診療施設では、こうした高価な専門器具や設備を幅広くそろえるのは容易ではありません。二次診療施設には、このような専門の医療機器があり、それらを使いこなせる経験豊富な獣医師が在籍していることも飼い主にとっては安心材料となるでしょう。
特別な医療機器が設置されている、どうぶつ眼科EyeVetの手術室
最新情報を常にアップデートしている専門家
専門分野の獣医師は、各科の学会や研究会に所属しながら常に国内外の最新論文や治療法の情報を得ている点も信頼できるポイントです。
小林獣医師の場合、比較眼科学会や国際獣医眼科学会に所属しています。
「比較眼科学会は、人間の眼科医や製薬業の従事者や研究者もいるほか、“獣医眼科学専門医”に認定された獣医師が25名(2025年現在)います。国際基準の専門医制度に近く、毎年ひとりかふたりが前述の認定医として誕生しています」とのこと。
小林獣医師は、獣医師向けフォーラムでの学術講演をはじめ、眼科治療に関しての外科実習やセミナーなども各地で行っています。
「犬の飼育頭数は減っていますが、犬の専門医療のニーズは高まっていると感じています。
現在は専門診療ができる動物病院が首都圏に集中してしまっているので、遠方から当院に来られる飼い主さんも多いんです。そのような飼い主さんや犬たちと接するにつけ、各都道府県にさまざまな専門分野のスペシャリストが増えて欲しいと思います。
まずは、紹介が必要な二次診療施設ではなく、複数の診察室を持つ動物病院の一室を専門科にする、専門の獣医師を呼んで毎週か毎月診察してもらうなどの1.5次診療病院が増えていくのが現実的ではないでしょうか。
そのために私は、専門知識を持つ獣医師の育成にも注力していきます」(小林獣医師)
以前紹介した“アーツ人形町動物病院”は、腫瘍(がん)診療に特化した1.5次診療施設で、院長の今井理衣獣医師は日本獣医がん学会獣医腫瘍科認定医Ⅰ種の資格を持ちます。
1.5次診療施設として充実した医療機器をそろえる、アーツ人形町動物病院
大型犬にやさしい動物病院として以前取り上げた“ゼファー動物病院”も1.5次診療施設として、予約制で整形外科、リハビリ科、循環器科、腫瘍科、皮膚科に特化した診療を行っています。
小型犬よりも大型犬に見られる股関節形成不全などは、小型犬が多い都心部の動物病院ではそれほど症例が多くないでしょう。ゼファー動物病院のように、大型犬の臨床経験が豊富な整形外科の専門分野を持つ獣医師のもとでは、最新で最良の治療法を提案してもらえる安心感があります。
各科では、国際基準の専門医制度としてはアジア獣医皮膚科専門医協会、アジア獣医内科専門医協会、アジア獣医外科専門医協会があり、日本の認定医・専門医制度としては日本獣医がん学会、日本小動物外科専門医協会、日本循環器学会、日本小動物歯科研究会、日本獣医動物行動研究会などがあります。
信頼できる専門家を探す際、ひとつの基準として参考にするとよいでしょう。
なお、当コラムで犬のアレルギーに関して教えていただき、2016年に“犬と猫の皮膚科”を開業した村山信雄獣医師は、日本でも数少ないアジア獣医皮膚科専門医でもあります。
多くの症例を診てきた専門の獣医師だからこそ、的確な早期診断も可能。どうぶつ眼科では、白内障、緑内障、腫瘍、チェリーアイなどの二次診療を予約制で受けています
かかりつけ医との連携で治療
二次診療の動物病院は、かかりつけ医から紹介された犬の治療を、かかりつけ医と連携しながら行うことも少なくありません。
「たとえば眼科疾患である白内障は、クッシング症候群や糖尿病が原因で生じるケースもあります。糖尿病の場合は血糖値を安定させる必要があるため、かかりつけ医と連携しながら飼い主さんにコントロールを行ってもらいます。
全身性疾患の場合は、専門の獣医師とかかりつけ医がタッグを組まなければ治療が成り立たないんです」(小林獣医師)
日本には現在、眼科、歯科、呼吸器科、整形外科、外科、皮膚科、耳科、循環器科などを1.5次または二次診療で対応する民間の動物病院があります。
うちの子に気になる症状がある場合やセカンドオピニオンを求めたい場合、かかりつけ医から情報を得たり、「腫瘍科、犬、※居住市区町村または都道府県」などでネット検索をして、専門診療を行っている動物病院を探してみてください。
小林獣医師が言うとおり、日本でも専門分野を持つ獣医師が増え、獣医療が全国的にますます発展することを願ってやみません。
一次診療施設と違い、ほとんどの二次診療施設では狂犬病予防接種や混合ワクチン接種などは行っていません
■ 取材・文:臼井京音
ドッグライター・ジャーナリストとして、20年以上にわたり世界の犬事情を取材。現在は犬専門誌『Wan』をはじめ週刊誌、Web媒体、会報誌等で情報発信を行う。以前は『愛犬の友』誌、毎日新聞の連載コラム(2009年終了)などでも執筆。著書に『うみいぬ』『室内犬の気持ちがわかる本-上手な育て方としつけ方をアドバイス!』がある。
現在は元野犬の中型犬と暮らす。歴代愛犬のノーリッチ・テリア2頭と同様にボールを追いかけることが喜びで、趣味はテニスとバレーボールと写真撮影。パリやNYで撮影し自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、ペットショップP2などのインテリアにも使用されている。
取材協力
*1 どうぶつ眼科EyeVet https://www.eyevet.ne.jp


