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2026.04.13

法律のプロに聞いてみた!法律・保険①~思い出を苦笑いに変えてしまわないために~《RETRIEVER + POCHI archive055》

法律のプロに聞いてみた!法律・保険①~思い出を苦笑いに変えてしまわないために~《RETRIEVER + POCHI archive055》

イラスト=大迫緑
構成・文=RETRIEVER編集部

「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)

法律で犬はどうみなされる?

犬が他人を噛んだり物を壊したりするトラブルは、散歩や外出時など日常の中でも起こり得ます。法律上、犬は民法では「動産」とされる一方、動物愛護管理法では「命あるもの」と位置づけられています。しかし、人間と同等の存在とはみなされていません。こうした事案では、刑事責任よりも民事上の損害賠償責任が問われるケースが多いです。民法では動物の占有者、つまり飼い主に重い注意義務が課されており、「気をつけていた」、「犬が勝手に動いた」といった言い訳は基本的に通用しません。故意でなくても他人や物に被害を与えれば、損害賠償責任が生じる可能性が高いです。飼い主の責任は非常に重く、結果が発生すればほぼ責任を負うと考えるべきであり、「うちの犬は大丈夫」という過信は禁物です。

「訴えてやる!」に発展してしまったら?

犬が他人を噛んでしまい、相手と話し合ったものの話がこじれてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。「いきなり『訴える!』と言う人はさすがにまれですから、そこまでこじれる前に誠意をもって謝罪し、治療費の負担を申し出るなどして早期解決に努めることが大切です。ご自身が被害者側の場合も同様で、すぐに訴えることを考えるのではなく、まずは加害者側と賠償額について冷静に話し合うことが重要です。それでも埒があかない場合は、最寄りの簡易裁判所での民事調停を検討してみてください。弁護士に依頼しなくても、比較的低額の費用で申し立てをすることができます。また、万一に備えて個人賠償責任保険や弁護士費用特約に加入しておくことをオススメします。」

実際にあったケース 犬に驚いて転倒・骨折。飼い主に1,284万円の賠償命令

2015年6月14日午前10時ごろ、60代女性Aさんがミニチュア・ダックスフントを連れて散歩していました。交差点の向こうから柴犬が来たことに気づいた犬が突然興奮し、リードを振り切って走り出しました。ちょうどその角を走っていた40代の会社員Cさんは、柴犬を避けようとした際、足元へ飛び出してきたダックスフントに対応できず転倒し、側溝に落ちました。右手首を複雑骨折し、9日間の入院を余儀なくされました。Cさんは後遺障害を含む損害賠償としてAさんに約3,948万円を請求し、大阪地方裁判所は1,284万円の支払いを命じました。

出典:『RETRIEVER』 vol.113/「思い出を苦笑いに変えてしまわないために知っておきたいこと 法律のプロに聞いてみた!」

*1 監修=細川敦史(ほそかわあつし)。春名・田中・細川法律事務所所属。2001年弁護士登録(兵庫県弁護士会)。 民事・刑事事件全般を取り扱い、ペットに関する事件や動物虐待 事件を手がける。動物愛護管理法に関する講演やセミナー講師も多数。NPO法人どうぶつ弁護団理事長、動物の法と政策研究会会長、ペット法学会会員。『sippo』にて「おしえて、ペットの弁護士さん」を連載中。