• コラム

2026.05.25

【#ケアシリーズ】蚊・ノミ・マダニから犬を守る!予防法のひと工夫も伝授

【#ケアシリーズ】蚊・ノミ・マダニから犬を守る!予防法のひと工夫も伝授

文=臼井京音

犬の健康に気を遣っているけれど、さまざまな情報が飛び交う昨今、なにを信じていいかと混乱していませんか?古かったり、信ぴょう性に欠けたりする情報が見られいるのも事実。
""犬の専門家""の見解や意見も割れることがしばしばありますが、信頼のおける有益な情報だけを集めたい飼い主さんのアンテナにビビッと来そうなトピックを集めてみました。(POCHI編集チーム)

 



今回のお役立ち情報蚊・ノミ・マダニから犬を守る方法

20年以上にわたって犬のことを見てきた、補完代替医療にも詳しい向後亜希獣医師に、毎日の散歩で使いたいアロマ虫よけスプレーの作り方、診察経験から実感した寄生虫の感染予防の大切さなどを聞きました。

首都圏の家庭犬がフィラリア発症

こうご動物病院(東京都多摩市)の院長である向後亜希獣医師は、これまでフィラリア(犬糸条虫)、ノミ、マダニに寄生された犬を複数頭見てきたと言います。
「2022年ごろには、フィラリアに感染した柴犬を治療しました。具合が悪いと来院した柴犬に血液検査をする際、飼い主さんが2シーズンほどフィラリアの予防薬を飲ませるのを忘れていたと言われたので、念のため採取した血液を顕微鏡で見たところ、フィラリアの幼虫であるミクロフィラリアがたくさんいました。すぐに駆虫薬と免疫抑制剤(ステロイド)治療を開始したのは言うまでもありません。
当院は犬の保護団体と連携もしているので、寄生虫に感染している保護犬を診ることは多いですね。数年前、千葉県内の市街地で保護されたミニチュア・シュナウザーもフィラリアに感染していました」(向後獣医師、以下「」内同)

日本国内にいる一般的な蚊が媒介するフィラリア症は、都市部でも感染例が多数あります

日本国内にいる一般的な蚊が媒介するフィラリア症は、都市部でも感染例が多数あります

筆者宅には推定5~6歳で譲り受けた元野犬がいますが、うちの子も保護当初はフィラリアの抗原検査で陽性になり、愛護団体の一時預かりボランティアさん宅で半年ほど治療をしたそうです。

フィラリア症の感染経路と症状

フィラリア症は、0.3mmほどのフィラリアの幼虫に感染した犬を蚊が吸血し、その蚊が別の犬を吸血することで犬から犬への感染が成立します。
犬の血管に入り込んだミクロフィラリアは、半年後には最大30cmほどの成虫になり、肺動脈や心臓で多くの幼虫を産みます。
ミクロフィラリアや成虫が犬の心臓や肺や血管内で増えて重症化すると、心肺に障害が現れ、最終的には心不全などに陥り死に至ります。

フィラリアの幼虫であるミクロフィラリア(写真提供:こうご動物病院)

フィラリアの幼虫であるミクロフィラリア(写真提供:こうご動物病院)

筆者が幼かった40年ほど前、横浜市内の祖父母宅にいた中型雑種のゴンべくんはフィラリア症で腹水や胸水がたまり、一目見ただけでもお腹がパンパンなのがわかり、頻繁に咳をして呼吸が苦しそうだったのを思い出します。
ゴンべくんはフィラリア症が原因で旅立ちました。 

蚊・ノミ・マダニによる被害の予防法

向後獣医師は、フィラリア症など寄生虫感染症の予防の重要性を説きます。
「フィラリア対策では、シーズン初の蚊を見てから1ヵ月後から駆虫薬(予防薬)を飲ませ始め、ノミ・マダニは活動期に入る気温13度以上の日が出始めたら予防を開始する必要があります。
ただ、近年は、ノミ・マダニ・フィラリアのすべてを駆虫できるオールインワンタイプの服用薬が一般的になってきました。そのタイプの薬を服用する場合は、関東では3月後半からは内服をスタートしたいところですね。
飲ませ終わりは、そのシーズンで最後に蚊を見た1ヵ月後まで。関東では12月までは飲ませてください。
とはいっても、当院では可能な限り通年での予防をおすすめしています。なぜなら、1月や2月でも、マダニが体についた状態で来院した犬を診察室で見たからです。
温暖化の影響や、気密性が高く暖かい住環境があることで、マダニも室内で活動をし続けしまうケースもあるからでしょう。
マンション共用部の内廊下やエレベーター内で、真冬に蚊に遭遇したこともありますし、油断はできません」

自宅の庭でも要注意。葉の裏などにマダニが潜んでいることも

自宅の庭でも要注意。葉の裏などにマダニが潜んでいることも

マダニは、過去記事でも紹介したとおり、犬だけでなく人の命にもかかわる危険性の高いSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を媒介します。
寄生予防はとても重要です。

「当院では、鍼灸や漢方薬による東洋医学の治療をはじめ、ホモトキシコロジーやアロマテラピーといった西洋の補完代替療法、抗がん剤を使わない治療などに力を入れています。
そのため、ノミ・マダニ・フィラリア感染症予防のために駆虫薬を飲ませずに、自然療法で対策をしたいとのご相談も少なくありません。
お気持ちはよくわかりますが、フィラリア感染症もマダニによる感染症も、治療をしても数ヵ月~数年で命を失う恐れがあることをお伝えして、命を守るためにほぼ確実に感染予防ができる駆虫薬(予防薬)を使う重要性をお伝えしています」

冬季にフィラリアの予防薬を飲ませなかった場合は、シーズン初の投薬前に血液による抗原検査をしてフィラリア症にかかっていないかのチェックを忘れずに

冬季にフィラリアの予防薬を飲ませなかった場合は、シーズン初の投薬前に血液による抗原検査をしてフィラリア症にかかっていないかのチェックを忘れずに

ただ、ノミとマダニは、内服薬や皮膚に垂らすスポットオンタイプの外用薬(動物病院で取り扱うもの)で予防対策をしておいても、犬の体につかないわけではありません。薬のタイプによって違いますが、外用薬では約24時間以内に、内服薬ではノミやマダニが吸血をしてから~約48時間で駆虫することができます。
「それを踏まえ、虫除けスプレーをお散歩前やお散歩中にこまめに使用することもおすすめしています。そもそも、犬の身体につかないようにしたいですからね。ただし、虫除けスプレーも万能とは言えません。全身にくまなくスプレーをするのはむずかしいため、スプレーをしても虫に刺される可能性もあります。」

虫除けアロマスプレーの作り方

向後獣医師に教わった、ノミ、マダニ、蚊が嫌うアロマ精油を使用しての虫除けスプレーの作り方は以下のとおり。
飼い主さんも一緒に、散歩や外出時に活用しましょう。

アロマスプレーを作る際に用意するもの。アロマは有機精油が最良

アロマスプレーを作る際に用意するもの。アロマは有機精油が最良

■ 準備するもの

・スプレーボトル
・精製水
・精油(レモングラス、ゼラニウム、ラベンダー、シトロネラなどが、犬にもやさしく、虫除けに効果が高いことが知られています)

「アロマオイルは、体につけるものなので、オーガニックで高品質なものを使用してくださいね」

■作り方

1)精製水60ccをスプレーボトルに入れる
2)上記の製油のうち3種類を使用する場合、それぞれ2~3滴をボトルに入れる
3)ボトルをよく振って、製油と精製水が混ざるようにする



散歩中はこまめに虫除けスプレーの使用を。草木のそばはなるべく避けて歩くのも予防策のひとつ

散歩中はこまめに虫除けスプレーの使用を。草木のそばはなるべく避けて歩くのも予防策のひとつ

ノミは主には地面から、マダニは低木の葉の裏などに潜み犬の頭上からも寄生してきます。
虫除けスプレーは使用する前にもよく振り、犬の顔付近を除き、足先からしっぽの先までまんべんなくかかるようにしましょう。

寄生虫による感染症には万全の予防策をこうじて、うちの子の健康と命を守ってあげたいものです。

背の高い草の葉先から、犬の頭上や首に寄生してくるマダニに要注意

背の高い草の葉先から、犬の頭上や首に寄生してくるマダニに要注意



■ 取材協力:向後亜希獣医師

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こうご動物病院院長、獣医師。
同病院では、西洋医学をベースに東洋医学や自然療法なども取り入れた統合医療を提供している。
関節疾患や老化によって歩行しづらい犬への鍼灸治療や、抗がん剤を使用しないがん治療の患者は遠方からも多数。著書に『けがえのない家族を守る 動物病院との最高の付き合い方』(ダイヤモンド社)がある。




■ 文・写真:臼井京音

profile_202506.jpgドッグライター・ジャーナリストとして、20年以上にわたり世界の犬事情を取材。現在は犬専門誌『Wan』をはじめ週刊誌、Web媒体、会報誌等で情報発信を行う。以前は『愛犬の友』誌、毎日新聞の連載コラム(2009年終了)などでも執筆。著書に『うみいぬ』『室内犬の気持ちがわかる本-上手な育て方としつけ方をアドバイス!』がある。
現在は元野犬の中型犬と暮らす。歴代愛犬のノーリッチ・テリア2頭と同様にボールを追いかけることが喜びで、趣味はテニスとバレーボールと写真撮影。パリやNYで撮影し自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、ペットショップP2などのインテリアにも使用されている。