• コラム

2019.09.26

犬の故事成語・ことわざ講座 ~兎を見て犬を放つ~

人々と長く過ごしてきた犬たちは、さまざまな形で私たちの文化にも関わって来ました。昔の人々から伝えられてきた言い回しや表現にも、犬たちが登場します。そこには「犬って○○だよね」という昔の人々が犬たちに抱いてきた印象やイメージなどが反映されています。
昔の人々が見てきた犬たちの姿を映す鏡として、犬たちが登場する故事成語やことわざ、慣用句を紹介します。

犬の故事成語・ことわざ講座 ~兎を見て犬を放つ(うさぎをみていぬをはなつ)~

兎を見て犬を放つ

《意味》
ウサギを見つけてから犬(猟犬)に追いかけさせても遅すぎることはない。何事も出遅れても必死で取り組めば手遅れになってしまうことはないし、何かの役に立つものだ。

《出展》
不明

どういった場面で使われる?

犬たちはかつて、私たち人間にとって狩りの大切なパートナーでした。それは古今東西を問わず、共通していたことのようで、世界中で犬たちは狩りに関連するお仕事を担当してきたという歴史を持っています。
今回の故事成語では、人間が先にウサギを発見してから犬たちにそれを知らせ、追いかけさせるという場面が出てきます。犬たちは優れた嗅覚で隠れた獲物を見つけ出し、人間よりも先にウサギなどのいる位置を伝える役割を持っていました。しかし、この故事成語では逆になってしまったようですね。
犬たちはいつも一生懸命に獲物を追いかけます。犬たちは基本的に「間に合わないかも」とか「もう遅いんじゃないか」とか、そういったことは考えません。ただ一生懸命に、がむしゃらに飼い主のために獲物を追いかけるものです。そんな犬たちのように必死に何事も取り組めば、どんな状況であったとしても取り戻すことができるし、その経験は決して無駄にならない、という意味です。

私たちは何かといろいろなことを考えて、「今からやっても…」とか「諦めたほうが良いんじゃないか」と思ってしまい、必死に取り組むことを忘れてしまいます。そんな時に犬たちの必死に取り組む姿を見ると、どんなことでも遅すぎることはないのだと、すこし勇気がもらえるような気がしますね。

DOG's TALK

面白いことに「兎を見て犬を放つ」という言葉には同じように使われる言葉として「兎を見て鷹を放つ」というものがあります。前回ご紹介した「犬も朋輩、鷹も朋輩」と同じように犬と鷹が同じように扱われているのです。
私たちにとって犬たちも鷹もここでも同列に大切な狩りのパートナー。どちらも一生懸命に諦めずに頑張ってくれる姿に、人間はずっと励まされてきたのかもしれませんね。