• コラム

2025.09.22

【#犬とお出かけ】"おいぬ様"を祀る神社とケーブルカーで御岳山を身軽にワンディトリップ

【#犬とお出かけ】

撮影=中村陽子
文=臼井京音
取材協力=武蔵御嶽神社、御岳登山鉄道、うつぼや荘


楽しい犬とのお出かけ。でも、犬を連れて入っていいのはどこまで?というのは気になるポイント。ドッグフレンドリーな環境で犬と一緒に楽しめるスポットについて、実際に現地へ赴いた様子を写真とともにリポートします。さらに、周辺のおすすめスポットなどについても合わせてご紹介しています。
今回は、犬と乗れるケーブルカーのある"おいぬ様"を祀る神社についてご紹介します。(POCHI編集チーム)



今回のお役立ち情報犬とお出かけ to 御岳山

ケーブルカーにも犬が乗れ、武蔵御嶽神社には犬と参拝でき、気軽に山の自然を楽しめる東京都の御岳山の魅力を紹介します。

軽装でドッグフレンドリーな山を満喫

犬と気軽に非日常のプチトリップができるスポットとして知られる、東京都青梅市の御岳山(みたけさん)。標高929mの山頂には“おいぬ様”が祀られている武蔵御嶽神社があり、犬連れ参拝客が多く訪れます。

今回POCHI取材班は、御岳登山鉄道滝本駅からケーブルカーに乗り、終点の御岳山駅から武蔵御嶽神社まで犬と散歩して参拝。犬連れOKのカフェでひと休みをしたのち、再びケーブルカーでマイカーを駐車した滝本駅まで戻る、約4時間のワンディトリップを楽しみました。

武蔵御嶽神社からは、晴れていれば東京都心など関東平野が一望のもと

武蔵御嶽神社からは、晴れていれば東京都心など関東平野が一望のもと

ケーブルカーの乗車はケージ不要

朝7時台から18時台まで、1時間に2~4本運行されているケーブルカーは、マナーに問題ない犬であればキャリーバッグやカートに入れなくてもリード装着のみで“ペット共有エリア”に乗車できます。
ケーブルカー滝本駅でペット券も購入し、いざ、標高831mの御岳山駅へ。滝本駅から約1.1㎞、424mの高低差を6分かけて移動します。

「山にはムササビやカモシカがいるらしいよ。においでわかるかな?」

「山にはムササビやカモシカがいるらしいよ。においでわかるかな?」

御岳山駅に到着したらまず、晩秋にはイチョウの黄葉が出迎えてくれる御岳平で犬たちに水を飲ませたりしてひと休み。
そこから参道に入り、徒歩約30分のところにある武蔵御嶽神社を目指します。

武蔵御嶽神社までは舗装されている参道が続くので、軽装でも安心

武蔵御嶽神社までは舗装されている参道が続くので、軽装でも安心

森林浴をしながら御岳山頂へ

春には山桜や新緑、秋には紅葉など四季折々の山の姿が目を楽しませてくれる参道沿いを歩いて行くと、途中、次々と宿泊施設が現われます。ここは武蔵御嶽神社に従事していた人たちが住む御師集落で、現在も24軒の宿坊があります。

集落の手前。木々の葉音や森の香りを楽しみながらのんびりお散歩

集落の手前。木々の葉音や森の香りを楽しみながらのんびりお散歩

さらに進むと、樹齢1000年とも伝わる国の天然記念物“神代ケヤキ”が姿を見せます。その先には土産物店や食事処が建ち並ぶ御岳山商店街があり、そこを抜ければ武蔵御嶽神社の手水舎に到着。さすが“おいぬ様”を祀る神社! ペット用の水場も用意されていたので、犬たちの足にも水をかけて洗い清めました。

明治期の神仏分離以前は仁王門であったといわれる「随身門」

明治期の神仏分離以前は仁王門であったといわれる「随身門」

“おいぬ様”を祀る山頂の神社に犬と参拝

全部で約330段の階段を上りきると、1700(元禄13)年に5代将軍徳川綱吉によって改築され、修復を重ねながら今も大切に使われている武蔵御嶽神社の幣殿・拝殿が見えてきます。
ちなみに階段の途中には天邪鬼が3匹いて、踏むことで自身についている悪いものを天邪鬼に渡して、爽やかな気持ちになってお参りできるのだとか。

長く続く坂道と階段を上り終えた犬たちを見ると、さわやかに吹き抜ける山風を受けて心地よさそう。
山頂からは関東平野が見晴らせて、筆者もすがすがしい気持ちになりました。

拝殿前の狛犬は、長崎の平和祈念像の作者でもある北村西望氏の作品

拝殿前の狛犬は、長崎の平和祈念像の作者でもある北村西望氏の作品

武蔵御嶽神社が祀る“おいぬ様”とは、ニホンオオカミ(大口真神)を指します。
かつて山奥の濃霧で道に迷った日本武尊(やまとたけるのみこと)の前に、白狼がこつ然と現われて軍を導いたという伝説があり、日本武尊に「災いを防ぎこの地を守護せよ」と命じられた狼が“大口真神(おおくちまがみ)”となって御岳山に留まったのが武蔵御嶽神社の起源とされています。
御岳山ではニホンオオカミが絶滅する一昔前まで、畑を荒らす害獣を食べてくれるオオカミたちをありがたい存在としていたそうです。

本殿の前に位置し「西の護り」としてかつての江戸幕府を見守る幣殿・拝殿

本殿の前に位置し「西の護り」としてかつての江戸幕府を見守る幣殿・拝殿

“愛犬みくじ”や“愛犬のご祈祷”もある

筆者が参拝を終えて向かった先は、拝殿左手にある「愛犬みくじ」コーナー。
運勢や生活などについて、飼い主に役立つメッセージが書かれていました。さらに、祈祷済みの「犬」護符シールもついています。
社務所では「諸災除のおまもり」も授かりました。こちらは、狼の姿をした本殿の狛犬(狛狼!?)がモチーフになっています。

武蔵御嶽神社では、「愛犬の御祈祷」も受けられます(有料)。ご祈祷後は犬の名前入りの「愛犬祈祷札」などを頂け、多くの飼い主さんが犬たちの長寿や健康を祈願していただいているそうです。

愛犬みくじをひき、おまもりを授かり(購入し)ました

愛犬みくじをひき、おまもりを授かり(購入し)ました

ドッグカフェでひと休み

神社参拝後、商店街のおみやげなどをぶらりと見て歩くのも楽しいものです。
商店街には犬と入れる食事処(同伴可能スペースなどは現地で要確認)もありますが、取材班のメンバーはお腹が空いていなかったので、犬たちとほっとひと息つこうと、御師集落の宿泊施設“うつぼや荘”が経営するカフェ“気まぐれぼ~や”に立ち寄りました。

小鳥のさえずりが響く商店街を散策

小鳥のさえずりが響く商店街を散策

メニューの“神社応援ドリンク”が目につき、しばらく眺めていると「あ、ジンジャエールだ!」と気が付き、飲む前から「うまいっ」となりつつさっそく注文。
犬たちにも「わんちゃん用メニュー」のアクアゼリースティック1本100円と無添加さつまいも1袋200円をあげると、満足したようでウトウト……。

うつぼや荘の敷地内に併設された、開放感あふれるカフェ。ジンジャーエールなどドリンクはテイクアウトも可能。奥多摩の地ビールもあります

うつぼや荘の敷地内に併設された、開放感あふれるカフェ。ジンジャーエールなどドリンクはテイクアウトも可能。奥多摩の地ビールもあります

帰りはまた、ケーブルカー内から杉林の趣を味わい、犬たちと一緒の楽しかったプチトリップから帰路につきました。

なお、今回はお手軽な3時間コースを選びましたが、もし飼い主さんとうちの子の足に自信があり時間に余裕があれば、武蔵御嶽神社から続く未舗装の道を進んで「ロックガーデン」を約2時間で1周のコースを追加してめぐるのも良いでしょう。

「自然やパワースポットを満喫できたね」

「自然やパワースポットを満喫できたね」

■ 文・取材:臼井京音

profile_202506.jpgドッグライター・ジャーナリストとして、20年以上にわたり世界の犬事情を取材。現在は犬専門誌『Wan』をはじめ週刊誌、Web媒体、会報誌等で情報発信を行う。以前は『愛犬の友』誌、毎日新聞の連載コラム(2009年終了)などでも執筆。著書に『うみいぬ』『室内犬の気持ちがわかる本-上手な育て方としつけ方をアドバイス!』がある。
現在は元野犬の中型犬と暮らす。歴代愛犬のノーリッチ・テリア2頭と同様にボールを追いかけることが喜びで、趣味はテニスとバレーボールと写真撮影。パリやNYで撮影し自宅暗室で焼いたモノクロ写真は、ドッグリゾートWoof、ペットショップP2などのインテリアにも使用されている。

取材協力:

*1 武蔵御嶽神社 http://musashimitakejinja.jp/

*2 京王御岳登山鉄道 https://www.mitaketozan.co.jp/index.html

*3 うつぼや荘 https://www.instagram.com/p/C-VI6syBXFZ/