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2025.09.25

【犬の防災計画】家庭版BCPと心のケア|備蓄・水・ストックの工夫も紹介

【犬の防災計画】家庭版BCPと心のケア|備蓄・水・ストックの工夫も紹介

台風や地震など、災害が多い日本に暮らす私たちにとって、犬を含めた防災対策は「家族の一員」として欠かせない準備です。
緊急時に慌てないためには、備蓄や水の確保はもちろん、家庭版のBCP(事業継続計画)を立てること、さらに犬の心のケアまで考えておけば、より安心です。
本記事では「家庭で取り入れるBCP」「避難時の心のケア」を中心に、備蓄や水の管理方法についても整理してご紹介します。

なぜ犬にも「防災対策」が必要なのか?

災害時、犬は強いストレスにさらされます。慣れない音や人の多い避難所では、不安から吠える、食欲不振、粗相といった反応が出やすくなります。
さらに、避難所では犬の受け入れが制限されることも少なくありません。人間用の物資が優先されるため、犬用のフードや水、生活用品は飼い主が責任を持ち準備しておく必要があります。

【BCP視点】犬を含めた「家庭の災害対応計画」を

BCP(事業継続計画)とは、もともと企業が「大災害が起きても業務を継続するための行動計画」を定めたものです。
近年の大震災をきっかけに急速に普及しているBCPの考え方は、家庭にも応用していくことができます。犬を含めた家族全員がスムーズに避難できるように、「誰が・どこへ・どうやって」行動するのかを明確にしておくことが、家庭版BCPの最大の目的です。

Section1誰が犬を連れて避難するのかを決める


災害直後は数分の判断が命を分けることもあります。「家族の誰が犬を連れて避難するか」をあらかじめ役割分担しておくと、いざというとき迷わずに済みます。

Section2避難経路と避難所の確認


避難所のなかには、ペット同伴が認められていない場所も多くあります。普段の生活圏にある避難所のうち、どこがペット受け入れ可能かを事前に調べておきましょう。
もし近隣の避難所がペット不可だった場合に備えて、少し離れた場所の候補も確認しておいたり、徒歩ルートと車ルートの両方を想定し、崩落や冠水で通行不能になった場合の「第二ルート」も考えておくと安心です。

Section3複数の避難先を想定する

災害直後は混雑や制限が発生するため、一つの避難先のみをあてにすると計画が崩れるリスクがあるので、避難所だけに頼らず、親戚宅や友人宅、車中泊など複数の避難先(2拠点避難)を決めておくと選択肢が増えます。

Section4連絡手段を統一する

災害時は携帯電話がつながりにくくなります。家族で「災害用伝言ダイヤル」「LINEの災害モード」などの連絡手段を決めておきましょう。加えて「集合場所」や「集合時間」をあらかじめ決めておくと、犬を連れてバラバラに避難した場合でも再会しやすくなります。

Section5犬のための個別対応を組み込む

家庭版BCPには、犬に関する項目を盛り込みましょう。

✔ 犬のキャリーやケージを誰が持ち出すか
✔ 常備薬やサプリはどこに保管してあるか
✔ 犬がパニックになった場合の対処方法(抱っこか、キャリーか)
✔ 長時間の避難生活で必要になるトイレ対応(ペットシーツやマナーベルトなどの残量や予備の数)

頭の中だけで決めている状態では、いざというとき混乱しやすくなるので、細かい部分を「紙に書き出して家族で共有する」ことが大切です。

Section6実際にシミュレーションしてみる

計画を立てたた、次は実際に「夜中に地震がきたら?」「豪雨で停電したら?」といったシナリオを想定して、犬を含めた避難訓練を行うことをおすすめします。
キャリーに犬を素早く入れる練習、非常持ち出し袋を持って階段を降りる動作などを実際に試してみると、改善点が明確になります。

家庭版BCPチェックリスト

■ チェック項目

❏ 家族で役割分担を決めている(犬担当・荷物担当など)
❏ ペット同伴可の避難所を調べてある
❏ 避難経路を2ルート以上想定している
❏ 親戚や友人宅など、複数の避難先を確保している
❏ 災害時の連絡手段と集合場所を決めている
❏ 犬用キャリーや常備薬の置き場所を共有している
❏ 犬を含めた避難訓練を実際にやってみた

避難時の「犬のストレス緩和法」

災害時には物資の備えと同じくらい、犬の心のケアも重要です。知らない環境や音、匂いは犬に強い不安を与え、吠える、食べない、お漏らしなどのストレス反応が出やすくなります。とくにシニア犬や神経質な性格の犬は注意が必要です。
ストレスを少しでも減らすためには、普段からのトレーニングがカギになります。
ケージやキャリーに慣れさせておくこと、外の音や振動に少しずつ慣らす練習をしておくことが役立ちます。また、飼い主の声掛けで落ち着けるように日頃からコミュニケーションを強化しましょう。
さらに避難グッズには、飼い主の匂いがついたタオルや服、お気に入りのおもちゃを入れておくと安心につながります。トリプトファンやGABAなどを含むストレス軽減サプリを獣医師と相談して備えておくのも一案です。

犬のための防災備蓄セット

備蓄は最低3日分、可能であれば7日分をという意見が多いです。これは行政やBCPの指針でも推奨されています。物流が復旧するまで時間がかかるケースもあるため、余裕を持って備えると安心です。
フードや水は人と犬で分けて管理することが基本。消費期限や保管条件が異なるため、小分けにしておけば避難時にも持ち出しやすく、分配もしやすくなります。

水とフードのストック方法

犬の場合、食事内容や運動量、季節によっても変動はありますが、体重1kgあたり50ml~70mlが必要と言われています。例えば体重5kgの場合、
5kg × 50~70 = 250~350(ml)
となります。
水分をしっかり摂ることで熱中症や下痢による脱水対策にもなります。
フードは「ローリングストック」で古いものから使い、常に新しいものを備蓄するのが基本です。その際、ドライフードだけでなく、嗜好性が高く消化しやすいウェットやレトルト、フリーズドライを組み合わせると栄養バランスも意識できます。

災害時に犬が食欲をなくすこともあるため、普段から慣れさせておくと安心です。

まとめ

災害はいつ起こるか予測できません。だからこそ犬の命を守るために、家庭版BCPは、とても役立つ視点です。
加えて、避難時の犬の心のケアのために安心できる環境づくりも意識しておきたいですね。
フードや水の備蓄ももちろん欠かせませんが、犬を含めた「家族の防災計画」を立てることが、私たち飼い主にとってもいざというときの大きな安心につながります。