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2025.09.30
犬がむやみに吠えてしまう原因は?対処法と合わせてご紹介【獣医師監修】
来客時のインターホンに激しく吠えてしまう、家で過ごしていても吠え始めると止まらなくなってしまうなど、家庭犬として暮らす中で「吠え癖」は悩みのタネになりがち…。今回は、そんな「吠え癖」がある犬の原因と対処法について、獣医師監修のもとでご紹介します。


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獣医師 菱沼 篤子
犬の栄養指導や犬の健康に関する専門知識を持つコンサル担当スタッフとして、さまざまな飼い主のお悩みを聞いている。


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獣医師 森 亜耶
獣医師として日々診療するなかでフードの大切さに気付き、ポチの商品開発担当スタッフに。現在は柴犬とサイベリアンと暮らしている。
なぜ犬は「吠える」のか?
犬には、古くから”牧羊犬”としての役割や、かつては”番犬”の役割を担っていたという歴史があります。そのような過程の中で「吠える」という行動が自然と身についたため、ありのままであるとも言えます。
しかし、現代で住宅街やマンションなど密集した居住地で暮らす場合、自宅で頻繁に吠えてしまったり、公共の場やほかの犬に見境なく吠えてしまったりすると、ご近所への迷惑や周囲の目が気になってしまうもの。家庭犬として共生するうえでの「吠え癖」をしつけていくために、まずはその原因とその理由を知ることが大切です。
むやみに吠えてしまう4つの理由とは?
本当のところ、吠える理由は犬の数だけあるのかもしれませんが、ここでは獣医動物行動学より、よくある4つの理由をピックアップしました。
理由1要求しているから
犬は、何かしらの要求や自己主張があって吠えることがあります。また、吠えることで要求が通ると学習してしまうと、それ以降も要求が通るまで吠え続けることもあるため、注意が必要です。具体的な要求やシチュエーションは、遊びたいとき/オヤツが食べたいとき/散歩に行きたいときなどが挙げられます。
理由2興奮しているから
嬉しいという感情から興奮してしまい吠えることもあります。具体的な要求やシチュエーションは、飼い主など大好きな人が帰ってきたとき/大好きなオモチャを見つけたとき/他の犬を遊びに誘うときなどは興奮しやすい傾向があります。
理由3不安な気持ち・警戒しているから
犬は、何か不安なことや警戒することがあると吠えることがあります。留守番中や新しい環境、飼い主様と離れることで極度の不安やストレスを感じて吠えたり、来客や宅急便など家に来る人や散歩中に出会う人や犬に対して警戒して吠えるなどの状況が考えられます。
理由4認知症、加齢が原因の場合も
加齢により視覚や聴力が低下することで、不安や恐怖の気持ちから吠えやすくなることもあります。また、認知機能が低下すると、夜中でも一定の速度で吠え続ける行動を示すこともあります。認知症とは、他にもグルグルと徘徊したり、呼びかけに反応しなかったりなどの症状がある認知機能不全のことを言います。高齢かつ、何かきっかけがあるわけではないのに吠え続ける、といった行動がみられた場合は、認知症の可能性も考えられるかもしれません。
「遠吠え」はなぜするの?
犬は狼の子孫であるため、犬種に関係なくすべての犬に共通して遠吠えをする習性が残っています。狼は、遠く離れた場所にいる仲間とのコミュニケーションや、はぐれてしまった群の仲間に自分の居場所を知らせるため、ここは自分の縄張りであると主張して外敵の侵入を防ぐための遠吠えもあったといわれています。
いっぽう、家庭犬特有の遠吠えもあるとされていて、特定の音が「好き」もしくは「嫌い」という感情で反応する遠吠えや、飼い主への依存度が高まり分離不安な気持ちから不安な感情でする遠吠えもあるといわれています。
吠える理由別の対処法
家庭犬として「吠え癖」を改善していくために、それぞれの原因別に対処することが重要です。
まずは、犬がどんな時に吠えてしまっているのか、どうして吠えているのかをしっかり観察してください。
case1要求吠え、興奮吠えの対処
⇒無視をする
目も合わせずに背を向け、「コラ」「ダメ」「ノー」などの声もかけず、徹底的に無視をします。無視することで、吠えても報酬は得られない・構ってもらえないと犬に学習させことが肝心です。犬の興奮が落ち着いて吠えるのをやめたら、落ち着いたトーンの声で静かに褒め、ご褒美を与えます。


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獣医師column
「無視する」ことで飼い主が構ってくれないと、もっと吠えて気を引こうとします。このように、一時的に行動が増えることを行動学的に「消去バースト」といいます。これに根負けせずに無視することが重要です。
case2不安・警戒から吠える場合の対処
⇒少しずつ慣らす、その状況を避ける
ご褒美をあげながら不安や恐怖を感じることを段階的に慣らしていったり、他の犬や人が視界に入りにくいように工夫したりすることで徐々に慣らしていくことが大切です。
case3認知症が原因で吠える場合は…
認知症が原因で無駄吠えが増える場合は、晴れた日は日光浴をさせたり、カートで外にお散歩に連れ出したりと、日中は適度に刺激を受けられる環境で過ごさせたりすることで、昼夜逆転が改善され、無駄吠えが少なくなる可能性があります。
しかし、痛みなどが原因の可能性も否定はできないため、日々様子をよく観察しましょう。
まとめ
「吠える」ということについて、その原因と対処法をご紹介しました。犬にとって自然な行動であるということを念頭に置き、叱る・怒鳴るなど感情的なやり方ではなく、まずはそれぞれの理由に適したやりかたでじっくり対処してみてください。


