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2025.09.22
シニアオーナーと犬のこれから~自分と犬のエンディングに向けて考える~《RETRIEVER + POCHI archive033》
イラスト=macco
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
“シニア世代が犬を飼うこと“ を考えたことありますか?
■メリットもあるけど、この先の不安も…
「シニア世代は子育て世代になどに比べて時間に余裕があり、過去に飼養経験がある場合は犬や猫を知っているなどとメリットが多いので、保護犬猫ととても相性がいいんです」。そう話すのは、『動物共生推進事業』の理事三本(みもと)見栄さん。「しかし、60歳以上のシニアが保護犬猫を引き取ろうとしても、ハードルが高く、断る保護団体がほとんどです。そこで、当団体ではサポート会員の方に限り、シニアでも保護施設から保護犬猫の譲渡を可能にしています。しかも、飼い主に何かあった時には、その犬を引き取り、次の里親にご縁をつないで、犬の一生をともに保証する飼育保証制度があります」。
◎シニア世代が犬を飼うメリット
◎ 犬を飼うことで精神面の安定や認知症予防など、健康効果が見込めることは知られています。世話をする行為が脳への刺激に。
◎ シニア世代はあえて運動することが必要です。犬の散歩など運動頻度が増えれば健康促進にもつながる。
◎ 犬とのコミュニケーションはもちろん、犬を介した近隣や犬友飼い主とのコミュニティと交流ができるように。
△シニア世代が犬を飼うデメリット(不安)
△ 検査・入院など闘病のケース。代わりに世話をしてくれる家族など依頼相手がいない場合、そういった相手の確保が必要。
△ 自分が元気でも大型犬がシニアになって介護を必要としたら、シニア飼い主の労力は相当となり、対策が必要。
△ もし自分が先に逝く場合に遺していく犬のこと、また犬が先に逝ってもペットロスのリスクなどを考えておくことは山積み。
あなたの“万が一”の時に備えている?
■個人的な結びつきから法的な対策まで
これから先、特に健康面で何が起きるかわからないのがシニア世代。そこで、飼い主の“万が一”に備えて準備しておくべきことを紹介します。教えてくれたのは、司法書士であり、どうぶつ系行政書士のパイオニアの磨田(とぎた)薫さん。
「飼い主が亡くなった後のこととしては、遺言書に遺しておくといいでしょう。一方、信託契約なら、介護施設への入居や認知症発症などでペットの世話が困難になった時にお金の形で対応が可能です。もちろん、協力してくれる第三者が必要になりますが、友人など個人的な関係でもOKです」。
問題は、家族など遺せる相手が確保できないケースです。そこで、磨田さん自身でも「ファミリーアニマルサポート制度」という事業を立ち上げ、飼い主にもしものことがあった時には新しい飼い主に託す活動を実践しています。周りに頼れる人のいない飼い主の一助となっています。
★相談してみよう!
✔ ファミリーアニマル支援協会
上記の磨田さんが代表を務める一般社団法人。もしもの時のことを事前に相談が可能。
✔ ペットと入居できるホーム
ペットと一緒に入居できる施設なども増えてきました。専門サイトなどでチェックしましょう。
✔ 東京動物愛護相談センター
都民であれば、“万が一の備え”などについても相談にのってくれます。
✔ 楽クライフノート(アプリ)
シニア世代のための、お金と終活の情報サイトです。まずは身近なところから情報収集を始めてみましょう。
三つの“万が一”の対策
対策1いざという時に犬のことを頼める相手を確保
飼い主が元気なうちに、万一の時のために犬のことを頼める人(家族や友人など)を確保し、依頼内容とその方法を知らせておきましょう。公式なものとしては、行政書士、司法書士などの専門家に依頼して作成しておく公正証書遺言書や信託契約書が有効です。
対策2身近なところで、頼む人が見つからない場合
家族がいても住宅事情などから頼めないなど、依頼先が確保できない人は、案外多いものです。そこで、老犬ホームや保護団体など、視野を広げて受け入れ先を探すことが得策。ホームページをチェックする他、見学に行ってみたり、スタッフと直接話してもいいでしょう。
対策3何を遺すかを考え、エンディングノートに記載
犬を託す先が確保できたら、飼育費としてのお金や犬についてのノート(エンディングノート)を遺すことで、その後の飼育の引き継ぎに役立ちます。病院関係、散歩やフードなど日常生活のこと、犬の特徴など、飼育に必要なことを網羅しておきましょう。
出典:vol.114「どうする? シニアオーナーと愛犬のこれから」
*1 監修=三本美栄 みもとみえい。『動物共生推進事業』理事。2015年、社団法人高齢者向け飼育支援、保護犬猫の保護施設を含む保護譲渡事業、輸血ネットトワーク事業を行う。人とペットの共生に向けて幅広く活動中。 https://www.happylife-withpets.org/


