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2020.07.06

ドッグフードの持続可能性って?ドッグフードで環境に貢献するということ

犬の主食となるドッグフード。ドッグフードには主原料として使用されている肉や魚のほかにも、野菜やフルーツなど様々な食材が使われています。
これらのドッグフードの原材料についても、世界的に「持続可能性(サスティナビリティ)」というワードがトレンドになりつつあるようです。「サスティナブルなドッグフード」「ドッグフードの持続可能性」とは、いったいどんなものなのでしょうか?そして、ドッグフードの製造にあたってどのような取り組みがされていたり、今後行われていくことになるのでしょうか。


今回はそんなドッグフードの環境への取り組みについてご紹介します。

ドッグフードの持続可能性ってどういうこと?

最近、いろいろなところで取り上げられるようになった、持続可能性とはどのような意味なのでしょうか?

持続可能性とは、環境問題が顕在化するようになり、私たちの暮らしや経済活動などを損なうことなく上手く環境と付き合っていけるかどうか、という観点で使用される言葉です。

ドッグフードの場合は、クオリティを下げずにどれだけ環境への配慮をすることができるか、ということが重視されるようになってきています。
例えば、原材料を安定して供給できるか、製造のための工場などの施設が環境への影響を抑えられているか、廃棄物などが適切に処理されているか、乱獲したものを使っていないかなどの取り組みです。とくに環境への意識が高い、ヨーロッパやアメリカのミレニアル世代の関心を集めています。

環境への取り組みに乗り出しているブランドの例

■水産資源の取り組みについて

 
魚を主なタンパク源として使用しているドッグフードは人気がありますよね。良質なオメガ3脂肪酸を含んでいるサーモンオイルなど、海の資源を活用したドッグフードやサプリメントは種類が豊富です。お魚系ドッグフードに限らず、水産資源はよく使われており、ドッグフードでは水産資源をどのように維持していくかが注目されてきましたが、ドッグフードの中には、Gather(ギャザー)のようにMSC認証を受けた水産物を使用するということをポリシーのひとつにしているドッグフードのブランドが登場しています。

MSC認証とは、世界的に使われている認証マークのことで、「海のエコラベル」とも呼ばれています。
MSCは、国連食糧農業機関(FAO)や国際社会環境認定表示連合(ISEAL)によって定められた、非常に高い水準の要求事項を満たして初めてつけることが許されるラベルです。水産物が、どのように取られたものであるかを表しています。
MSC認証を受けた水産物の取り決めには、適切な量を漁獲していること、海の生き物たちのすみかや体を傷つけるような漁をしていないこと、国際的なルールに即して漁がおこなわれていることなどがあります。

■農業での取り組みについて

農業での取り組みは比較的早く、オーガニック認証を受けた原材料を使用するというものがあります。オーガニックは、化学的な薬品や肥料などを使用しない栽培方法です。オーガニック農法によって、畑に住んでいる生き物や微生物などへの影響を抑えることができるといわれています。

また最近では、植物のヘンプなどのように、乾燥した厳しい環境でも育つ作物を上手く活用することで、緑地を増やしCO2を減らす取り組みなども注目されています。

タンパク源となる肉の生産についても、広大な牧草地や資源を必要とし、さらにCO2の排出から免れない家畜から、より短期間で成長する食用の虫などへの関心が高まってきています。
ポチでも限定でご紹介した、食用コオロギを使ったトリーツ・ジミニーズも同じように環境への取り組みの一環として作られました。コオロギは牛などの大型の動物と比較すると育てるのに必要な資源が大きく抑えられるだけではなく、タンパク源としても非常に優秀です。今後はより一層、食用の昆虫を活用したアイテムが増えていくことになりそうです。

持続可能なものとしてこれから利用されるもの予想

■救世主なタンパク源 昆虫

ビーフやチキンといったドッグフードの主原料としてメジャーな肉は、育てるのにたくさんの資源や牧草地などが必要になることが問題になっています。
それらの資源や土地を確保するために、自然環境が脅かされてしまうという状況に危機感を持った人々によって、さまざまな新たなタンパク源が提案されてきました。その中でも今、最も注目を集めているもののひとつに、先ほど「先行して環境に取り組んでいるブランド」の紹介にもでてきた「昆虫」があります。

昆虫は、牛や鶏と比較して育成に必要な土地の面積や飼料、水なども少ないだけではなく、非常に早く成長し、すぐに栄養源として活用することができます。また、ビーフやチキンと比較してもタンパク質が豊富であり、不飽和脂肪酸・オメガ-3が含まれています。なおかつ肉からは摂取することが難しい繊維質も摂取できる、まさにスーパーフードである昆虫の素晴らしい面がドッグフードに活用され、すでにその動きもが広まりつつあります。

■注目のタンパク源 スピルリナについて


昆虫と同様に注目を集めているタンパク源の一つに、スピルリナという藻類があります。

肉などと比較するとタンパク質は少なそうなイメージがありますが、スピルリナには18種類のアミノ酸とビタミン類、ミネラル類が含まれています。乾燥させたスピルリナのタンパク含有率は65%ともいわれていて、光合成でどんどん増える手軽さからも注目されています。

スピルリナはドッグフードの主原料としての使用には至っていませんが、機能性のある原材料として使用しているフードが増えてきています。
光合成で増え続けるため複雑な設備を必要とせず、広大な設備で大量生産が始まっています。

■その他:メタン資化性菌

農業に関連する取り組みで注目されているものでもうひとつ。牛などの飼育に必要な飼料として、現在はトウモロコシや大豆などの穀類が使用されることが多いのですが、世界的な環境問題や食糧不足への備えの一環として、穀類ではない飼料を探す取り組みも行われてきました。そこで注目されているのが、微生物たち。とくに、メタン資化性菌と呼ばれる微生物は、メタンを餌として増殖する菌で、タンパク質も合成する力を持っています。

世界的に問題になっているメタンガスは、CO2の次に排出量が多いガスで、温室効果があることから温暖化の原因の一つと考えられています。そんなメタンガスからタンパク質を作ることができるメタン資化性菌は、直接ドッグフードに使用されることはまだないようですが、原材料となる肉などを作る過程で、注目されていくのかもしれません。

■宇宙で育った?培養肉

以前ご紹介したのですが、宇宙で肉を培養するという、SFの世界のような取り組みも始められています。一体どんな取り組みなの?など、詳しい内容についてはコチラのリンクからぜひチェックしてみてくださいね。先にSFのようと書きましたが、もうそんなに遠くないはずです。
★生肉を宇宙で培養?宇宙飛行士がお肉の生産に挑戦中[#今気になるトピックス]

おわりに

今回はドッグフードの持続可能性について、そして現在注目されている環境への取り組みについてご紹介しました。

ちょっと手間がかかりすぎたり、高価な材料のものが多いのでまだまだ利用は先だと思っていましたが、例えば、MSC認証を受けた魚と、オーガニックで栽培された農作物、メタン資化性菌が合成した肉、そして栄養バランスを調整するためにスピルリナを使うなどの組み合わせ、とプラスあと少しの進歩があればさまざまな形でもっと多くのドッグフードブランドも環境とかかわることができそうですね。
今すぐ大きな変化が起きることはないかもしれませんが、10年先の犬たちが食べているものがどんなものなのか、想像してみるのも楽しいですね。