• コラム
  • スタッフコラム

2023.05.24

NZのドッグ・マッサージ誕生秘話。アスリート犬のケアを考える~南半球のDog's letter~

NZのドッグ・マッサージ誕生秘話。アスリート犬のケアを考える~南半球のDog's letter~

世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?共通してる?目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。

犬好きの人が多いニュージーランドでは、犬だけではなく、犬に関するサービスもさまざま。
今回ご紹介するのは、犬の体をケアするドッグ・マッサージのプロフェッショナル。日本でも広がっている犬のマッサージですが、専門的に行っている方となると多くはありません。
今回はニュージーランドで活躍する、ドッグマッサージのプロ集団とその誕生秘話についてのお話です。

DOG's TALK

この記事を書いた人:グルービー美子

この記事を書いた人:グルービー美子

ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。

フィアレス認定のドッグケア・サービス

足腰が弱くなった老犬や、けがをした犬のリハビリに役立つといわれるドッグ・マッサージ。
ニュージーランドではどのような施術が行われているのでしょうか。南島クライストチャーチのドッグケア・サービス会社「バランスド・ドッグ」で話を聞いてきました。

同社の代表を務めるキャスリン・クリスティさんは、ニュージーランド初のフィアフリー認定セラピスト。
フィアフリーとはアメリカの獣医師が立ち上げたペットに恐怖やストレスを与えない教育プログラムで、評価基準を満たすと認定資格が与えられます。

 

研究者から犬のマッサージのプロへと華麗な転身を遂げたキャスリンさん。犬に優しいマッサージを心がけています。

研究者から犬のマッサージのプロへと華麗な転身を遂げたキャスリンさん。犬に優しいマッサージを心がけています。

キャスリンさんは以前、環境科学者として働いていましたが、2003年に家族に迎えたイングリッシュ・ポインターのデイジーが関節炎などの病気を患ったことをきっかけに、ドッグセラピーの勉強をスタート。
アメリカで資格を取得し、デイジー以外の犬たちの助けにもなりたいと会社を立ち上げたそうです。
「当時、ニュージーランドにはドッグセラピストの資格が取れる学校がなかったので、コロラド州の専門校で犬のセラピューティックマッサージ、スポーツマッサージ、シニア犬マッサージなどを学びました」

出張専門サービスでワークショップも開催

特殊な器具は使用せず、飼い主さんが続けられるよう、家の中で使えるものをピックアップして使います。犬もリラックスモード♪

特殊な器具は使用せず、飼い主さんが続けられるよう、家の中で使えるものをピックアップして使います。犬もリラックスモード♪

バランスド・ドッグは出張専門のドッグケア・サービス。クリニックやサロンではなく、慣れ親しんだ環境で行うため、犬がよりリラックスして施術を受けられるのが特徴です。
「リハビリのための運動に必要な道具も、犬が警戒心を抱かないよう、もともとその家にあるものを利用します」

キャスリンさんが大切にしているのは、患者である犬との信頼関係。
事前に飼い主に細かくヒヤリングをして犬の情報を集め、初回のセッションではまず時間をかけて犬とコミュニケーションを図るのだとか。また、飼い主自ら適切なマッサージができるよう、ワークショップも随時開催しています。

ちっちゃなパピーにもマッサージは効果的。うまく取り入れてコミュニケーションを取ってみましょう。

ちっちゃなパピーにもマッサージは効果的。うまく取り入れてコミュニケーションを取ってみましょう。


「マッサージは定期的に行わないと効果的とはいえません。とはいえ、毎回サービスを利用できるほど経済的に余裕のある人は少ない。ワークショップに参加すれば、ホームケアが可能になります」

さらに、健康な若い犬にもマッサージは有効と話すキャスリンさん。
マッサージを行う際は専用のマッサージ台を使用しますが、ここで静かにできれば、動物病院の診察台でも落ち着いていられるようになるそうです。
常に体を触ることで飼い主と犬の絆が深まり、些細な異変にもすぐに気付けるというメリットもあります。

グレイハウンドなどのアスリート犬向けマッサージを考案

アスリートのような肉体を持つ犬でも、やがて体は衰えます。そんな時にできることは何なのでしょうか?

アスリートのような肉体を持つ犬でも、やがて体は衰えます。そんな時にできることは何なのでしょうか?

デイジーはすでに虹の橋を渡りましたが、現在キャスリンさんはグレイハウンドのイジーと暮らしています。
イジーとの生活で気付いたことがあり、アスリート犬に特化したマッサージ・ワークショップも始めました。
「クライストチャーチには犬の競技場があるため、引退した競技犬としてグレイハウンドなどのアスリート犬がたくさんいます。彼らも若いころはレースや競技を楽しんでいたはずですが、中には幾度となくケガをした子がいたり、また、遺伝的、後天的なケガの影響で関節などに問題を抱えるケースが多いのです。そこで、アスリート犬向けのマッサージを考案しました」

 

犬の健康寿命を延ばすための活動を続ける、キャスリンさんとグレイハウンドのイジー。

犬の健康寿命を延ばすための活動を続ける、キャスリンさんとグレイハウンドのイジー。

アスリート犬向けマッサージは人間でいうところのヨガのようなもので、ストレッチで柔軟性を高め、関節の可動域を広げることで、古傷の再発や新たなけがの予防に効果があるとのこと。
「例えば、グレイハウンドはスプリンターで、運動意欲を満たさないとストレスが溜まります。マッサージで少しでも長い間動ける体を作ること。それはグレイハウンドだけでなく、すべての犬種の生活レベルを上げることにつながります」
年老いたり病気になったりしても最期まで犬らしい幸せな日々を過ごしてほしいと話すキャスリンさん。
ニュージーランドでも周知されつつあるドッグ・マッサージで、犬の毎日がワンランクアップするでしょう。

「僕のことが好きならマッサージしてね!」と書いたスタイを付けたレトリバー。マッサージはコミュニケーションの一環、楽しんで続けたいものですね。

「僕のことが好きならマッサージしてね!」と書いたスタイを付けたレトリバー。マッサージはコミュニケーションの一環、楽しんで続けたいものですね。

ページの先頭に戻る