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2024.03.06

犬の生理は人間と別物?散歩はどうする?気を付けるべきことまとめ

犬の生理は人間と別物?散歩はどうする?気を付けるべきことまとめ

犬の「ヒート」は、たびたび人間の「生理」と同じように扱われることがあります。
女の子だけに起こるもので、出血を伴うことから混同されることが多いのですが、そのメカニズムは人間のものとはまったくの別物です。
犬のヒートがどのように起こるのか、ヒートになった犬にはどのような状態になるのか、改めてご紹介します。
女の子の犬と暮らす方も、男の子の犬と暮らす方も、安全とお互い過ごしやすい環境づくりのために知っておきたい情報ですので、ぜひご覧ください。

犬にも生理がある?雌の犬の発情期について

犬の生理とも呼ばれる雌の犬のヒートは、発情期とその前後を含む期間を指します。
小型犬~大型犬で成長スピードに違いがあるうえ、個体差もありますが、早い子では生後6カ月頃からヒート来ることがあります。
ヒートが来ると性成熟を迎えたことになり、犬自身の精神的な成長などはさておき、妊娠できる体になったということになります。

6~10ヶ月の周期で起こり、1年に約1~2回の周期で発情を繰り返します。初めての発情は発情徴候が目立たないこともあり、飼い主さんが気付かないうちに終わってしまっていることもあります。
ヒートに入った犬は、陰部が膨らんだり出血したりするとともに、雄犬に発情期に入ったことを伝えるフェロモンを出すようになります。
他にも、尿の回数が増え、トイレの失敗が増えたり、元気の喪失、食欲の減退や落ち着きがなくなったりなどの変化が見られることもあります。

犬の生理の期間や周期

犬の生理は、人間のものとは起こるメカニズムだけではなく、期間や周期も大きく異なります。

 

■ 犬の生理と人間の生理の違いをひとことで

犬の生理と人間の生理の最大の違いは、犬の生理は「妊娠可能な期間」に見られるということです。
一方、人間の生理の期間中は妊娠の可能性がほぼありません。この違いがもっとも大きな違いであり、注意が必要なところになります。

犬の生理において出血を伴うのは「発情前期」から「発情期」の途中までの期間です。

犬の発情期間に伴う出血は、人の生理とメカニズムが異なります。妊娠の準備のために厚くなった子宮内膜が充血し、血液がにじみ出たことによる出血です。
人の生理は、妊娠が成立せず、排卵後に子宮内膜がはがれ落ちた際にみられる出血ですので、性質が全く異なります。

犬では発情出血が見られた後に排卵がおき、交配・妊娠が可能な時期を迎えることになります。
犬の発情期は大きく分けて4つに分けられて考えられています。

・発情前期 7~10日間


発情出血が確認できる時期です。発情出血後に排卵がおき、交配が可能な時期を迎えます。陰部が腫れ、充血して犬は陰部をなめるような仕草をみせます。オシッコの回数が増え、トイレの失敗することもあります。

・発情期 1~2週間


雌犬が雄犬との交尾を許容する時期で、発情期に入ってから約3日目に排卵が起こります。この時期に未去勢の雄犬と会わせたりすると妊娠する可能性がぐっと上がります。
大まかにこの時期までをヒート、犬の生理と呼ぶ人が多いようです。

・発情後期 2~3カ月間


発情期を過ぎ、発情休止期に入ると、卵巣では受精卵の着床や妊娠の維持に重要な働きをする黄体ホルモンが作られるようになります。
妊娠が成立していなくても黄体は2ヶ月間ほど機能しますが、しばらくすると減少していきます。この時期に偽妊娠の症状がみられることがあります。

・無発情期 約4~8ヶ月間


発情休止期を過ぎ、次の発情前期までの時期を無発情期と呼びます。この時期は犬が妊娠する可能性はなく、雄犬と接触してもヒートが原因でのトラブルにはなりにくいです。

犬の生理(ヒート)中に注意するべきポイント

■生理期間中は雄の犬にも配慮しよう

発情期の犬は雄犬を惹きつけるフェロモンを出しています。
雄の犬はこのフェロモンに強く反応するため、外出の際には近くに他の犬がいないか気を配る必要があります。
嗅覚の鋭い犬は、なんと数キロ離れていても発情中の犬のニオイを察知できるといわていますので、注意が必要です。
フェロモンを感知した雄の犬は、激しくほえたり、雄同士で争ったり、時にはリードを引きちぎるほどの力で雌の犬に近寄ろうとすることもあるようです。
それを知らずに発情期の雌を連れて外出すると、雄犬の飼い主さんを怪我させてしまったり、よその犬を脱走させてしまうなどのトラブルになる可能性もあります。もちろん、雌犬が望まない形で妊娠してしまうリスクもあります。

■場合によってはおむつやパンツの使用を

犬の生理中の出血がそれほど多くない場合は、自分で血をなめとってしまうため、おむつやパンツは必要ありません。
しかし、出血量が多い場合は、おむつやマナーパンツを着用するのも一つの手。
生理中にマナーパンツを着用すれば、他の飼い主さんにも「ヒート中なんだ」と伝わりやすい目印にもなりますので、周囲に多く犬が暮らしている場所で暮らしている場合や、散歩ルート・時間の変更が難しい時には選択肢の一つになりますね。

 

■偽妊娠になった犬のケア

発情後期に入った犬の中には、実際には妊娠していなくても、食欲不振になったり母乳が分泌されたり、非常に神経質になる、巣作り行動を取るなどまるで妊娠しているかのような症状が見られることがあります。
これらの症状は偽妊娠(想像妊娠)と呼ばれ、時間とともに少しずつ落ち着いていくことが多いようですが、中には異常に症状が長引いたり、家族や周囲に対して過剰に攻撃的になるケースもあるようです。
もしも犬が偽妊娠になったら、そっとしておいてあげるのがベスト。ただ、神経質な状態が続いて家族に悪影響が出たり、食欲が戻らないなどの木になることが見られた場合、本当に妊娠している可能性が考えられる場合は、動物病院で獣医師に相談するようにしてください。
繁殖の予定がない家庭犬などの場合は、これらの対策と生殖器の病気予防を兼ねて避妊手術を選択する人が多いと思います。

 

■発情休止期に免疫が低下することも

発情休止期には、黄体から分泌されるホルモンであるプロジェステロンの作用により、一時的に免疫力が低下して細菌感染を起こしやすい状態になります。そのため、この時期には細菌が原因で起こるトラブル(膀胱炎、外耳炎、皮膚炎など)のほか、子宮蓄膿症を発症するリスクが高まるというデータもあります。

おわりに

今回は、犬の生理=ヒートについてご紹介しました。
生理を迎えた雌の犬は、雄の犬をひきつけるフェロモンを出します。このようなフェロモンは雄の犬を強く反応させてしまうため、発情中は犬が集まる場所に出掛けないなどの配慮が必要となります。特に雌の犬と一緒に暮らす飼い主さんは、生理中の犬のケアについてしっかりと知識を身につけ、生理中も犬が快適に過ごせるようにサポートしてあげることが大切です。

DOG's TALK

POCHIのペット栄養管理士 岡安

POCHIのペット栄養管理士 岡安

ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。