- コラム
2025.02.19
【ペット栄養管理士で管理栄養士が解説】犬に与えても大丈夫?体を温める食材

寒さが厳しくなるこれからの季節。体を温める食材という情報も目にします。
体を温める食材は「温熱性食材」と呼ばれ、生姜や発酵食品、肉類、魚介類の一部が代表的です。
本記事では、犬も与えても良い食材や効果的に体を温める与え方を紹介します。
犬と一緒に、寒い冬を健康的に乗り越える食事を工夫しましょう。
体を温める効果がある食材

一般的に体を温める食材の選び方として、「土の中で育つもの」「寒い地域で育つ野菜」「赤や黒のたべもの」というものがあります。
昔ながらの知恵として言われているものには、発酵食品や冬野菜などがあげられます。
また、肉類では、鹿肉、ラム肉、鶏肉、鶏レバー、魚では、イワシ、カツオ、鮭なども体を温める効果が期待できる温熱性食材です。
温熱性食材が体を温める効果
温熱性食材が持つ体を温める効果は、エネルギー代謝の促進や血流の改善、血管の健康維持、ホルモンバランスの調整が期待できます。
寒い冬に犬の健康を守る効果を解説します。
★代謝促進作用
温熱性食材は、エネルギー代謝を活性化する効果が期待できます。
主に、体内で血流を促進し、基礎代謝を上げることと、消化液の分泌を促進、胃腸の働きを活発にするで、内臓温度が上げ、体全体を温めます。
たとえば、生姜に含まれるショウガオールや、唐辛子に含まれるカプサイシンなどは、代謝を促進する作用があるといわれています。
★血流改善作用

温熱性食材を摂取すると、血管が拡張し、血液循環がスムーズになります。末端まで温かい血液を運ぶことができるため、手や足の先まで温められます。
手足の先が冷たくなる人間の冷え性と同様、犬も肉球や耳、鼻の先など末端部分は冷たくなってしまうことも多いです。温熱性食材を取り入れ、血液循環を改善するとよいでしょう。
とくに、ナッツ類、ゴマなどに多いビタミンEや、バナナ、ほうれん草などに含まれるカリウムは、血流を改善する作用があるといわれています。
★血管の健康維持

温熱性食材は、血管を健康に保つ効果あるとされ、丈夫な血管は全身に血液を効率よく循環させられます。
とくに冬場の寒さで血流が滞りがちな時期には、血管の働きをサポートする食材を取り入れることが重要です。
温熱性食材に含まれる抗酸化成分は、血管の老化を防ぎ、柔軟性を保つ効果が期待できます。
たとえば、赤紫色の食材に多いカシスポリフェノールやかぼちゃに豊富なβカロテン、ビタミンEは、血管壁のダメージを防ぎ、健康を維持する助けになるでしょう。
★ホルモンバランスの調整
温熱性食材に含まれる栄養素は、ホルモン合成や分泌のサポートに役立つとされます。
ホルモンバランスが整うと、エネルギー代謝や血糖値、血圧のコントロールも促せ、体温調節がスムーズになります。とくに、寒さのストレスから身を守る副腎ホルモンや、血流を安定させる女性ホルモンのバランスが重要です。
ホルモン合成の基礎となる温熱性食材は、タンパク質や亜鉛が豊富な鶏肉、牛肉、豚肉、羊肉、鹿肉です。犬の食事の主原料に使用するとよいでしょう。
ほかにも、女性ホルモンに似た大豆に含まれるイソフラボンや、ホルモンバランスに関与するビタミンEの摂取もおすすめです。
犬におすすめの温熱性食材
犬におすすめの温熱性食材は、生姜や納豆、鹿肉があげられます。
いつもの食事に少しずつ混ぜて与えるとよいでしょう。
★生姜

生姜は、犬の体を内側から温める効果が期待できる温熱性食材です。
生姜に含まれるショウガオールは血行を促進し、寒い季節に冷えやすい犬の体をサポートします。また、ビタミンB群やカリウムも含まれ、代謝や神経機能の調整にも役立ちます。
生姜を与えるおすすめの方法は、すりおろして少量を食事に混ぜる、生姜の絞り汁を利用する方法です。また、乾燥ショウガ粉を活用するのも手軽で便利です。
ただし、人間用の生姜チューブには保存料や添加物が含まれていることが多いため、犬には与えないようにしましょう。
★納豆:発酵食品

発酵食品である納豆は、犬の腸内環境を整える働きが期待できます。
高タンパク質かつ大豆由来のイソフラボンを含むため、ホルモンバランスの調整や抗酸化作用があるといわれています。
また、納豆特有の酵素であるナットウキナーゼが含まれており、血流を良好にするでしょう。
犬に納豆を与える際は、味付けをしないシンプルなものを選び、加熱せずそのまま与えてください。
消化を助けるため、小型犬にはひきわり納豆がおすすめで、1回に与える量は小型犬の場合、小さじ1~2杯程度が目安です。初めて与える場合は少量から試し、愛犬の体調を確認してください。
★肉類:鹿肉

鹿肉は、高タンパク、低脂質なうえ低カロリーで、健康管理やダイエット中の犬にも適した食材です。
とくに鉄分が豊富で、貧血予防や血流改善に役立つほか、アミノ酸やミネラルバランスも優れています。
また、鹿肉はアレルギーが起きにくいとされ、食物アレルギーを持つ犬にも安心して与えられる点が魅力です。
鹿肉を犬に与える場合は、必ず加熱調理を行い、衛生面にも注意しましょう。
5kg程度の犬の場合、1日あたり100~150gが目安ですが、最初は10~20g程度の少量から始めて様子を見るとよいでしょう。
まとめ
生姜や納豆、鹿肉などの温熱性食材は、寒い冬の体温管理に役立つ優れた食材です。
犬の体調や嗜好に合わせて、日々の食事に取り入れることで、寒い季節を快適に過ごすためのサポートになるでしょう。