- コラム
2025.02.20
目指せ!散歩で筋肉痛 飼い主のための最強トレーニング(1)《RETRIEVER + POCHI archive007》
撮影=伊東武志
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
お散歩強化会議 パーソナルトレーナー×ドッグトレーナー
山本忠昭 やまもとただあき
パーソナルトレーナー。
ラグビーを筆頭に、野球、ストリートワークアウト、キックボクシングなどにも精通し、トレーニング歴は20年を超える。
浅野里美 あさのさとみ
犬との暮らしコンサルタント、ドッグトレーニングインストラクター。
千葉県習志野市にあるドッグスクール「Perrito」主宰。応用行動分析学・犬の行動心理学に基づく正の強化をベースとしたトレーニングで犬と暮らす家族の暮らしをサポート。
スケボーを乗りこなす愛犬・コーダと元保護猫のフィーユ、ガロ、メローと暮らしている。
「犬の散歩から“犬と散歩”へと気持ちを切り替えるだけで、取り組む姿勢が変わってくるはず」―山本


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山本忠昭さん(以下、山本)
人ってどんどん合理化されて、成長するほどしなくてすむ動作はせず、動きが小さくなっていくものなんです。

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浅野里美さん(以下、浅野)
犬も同じですね。
動物もできるだけ無駄な動作をせず、摂取したエネルギーを消費しないようにすることで、生きていこうとする面があります。

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山本
でもそうすると、決まった筋肉しか使わなくなって、使われない筋肉はますます使われなくなっていきます。
トレーニングは普段使わない筋肉に意識を向ける事で、筋肉を目覚めさせバランスを整え、血液循環、姿勢を整えることで疲れにくく、生活にハリが出てきます。

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浅野
私は犬との散歩でプチ・パルクールを取り入れています。
柵があったら避けずに、またがせるとか、切り株の上に乗ってみるとか。あえて無駄な動きをするような遊びを取り入れています。

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山本
それはすごい!
犬の飼い主さんは毎日の習慣として散歩があって、それってすごいアドバンテージだと思うんです。
その時に、いかに普段していない大きな動きができるかがポイントな気がします。
「小さくても“犬との成功体験”を積み重ねていくことで絆も深まるし、単純にうれしくもあると思う」―浅野


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山本
トレーニングといっても、おおげさにかまえる必要はありません。
例えば、大股で歩く動作ってあまりしませんよね。
最初はそれだけでいいんです。股関節の可動域が広くなるので、関与する筋肉の筋肉量や強度が変わってきます。

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浅野
そこに犬も参加できるといいですよね。
犬が何かクリアできるって、飼い主にとってもうれしいことであって、それが楽しさと次につながりますね。

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山本
いいですね!
できなかったことができるようになっていく過程で、人は童心に戻っていく。
そういうことの積み重ねでどんどん楽しくなってハマっていくのがトレーニングなんです。

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浅野
そのためには目標を立てることも大事そうですね。

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山本
そうですね。
でも、例えば大股歩きも散歩中ずっとやる必要はなくて、次の電信柱まで大股で速く歩いて、着いたらゆっくり歩くような短期的な目標でいいんです。
小さいゴールを積み重ねて、先を見えやすくしていけるといいですね。

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浅野
それは犬とのトレーニングでもいえることですね。
継続が大切で、継続に大切なのは小さな成功体験の積み重ねですから。

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山本
まさに。
メンタル的には、たぶん犬が先に根をあげることはないはずで、多くは先に飼い主さんの根気がなくなるんだと思うんですね。
犬の散歩じゃなくて、犬と(歩く自分の)散歩と考えると。楽しくなっていくと思います。
強度:低 難易度★トレーニング1 大股歩き
可動域を広げ、眠っている筋肉へのアプローチにも!
人は(犬も)、日常生活を送る中では小さい動きで、自分が楽な姿勢で歩こうとする傾向があります。
その反面、関節の可動域が狭まり、使われない筋肉も増え、結果的にケガをしやすくなったり血流が滞ることで疲れやすくなったり、さまざまな不調へつながっていきます。
足を大きく踏み出す大股歩きでは、下半身はもちろん上半身もしっかりと使うことで、普段使われにくい筋肉にアプローチをかけていくことができるのです。
ポイント①足裏全体を使う
ヒザなどの他の部位に負担をかけないよう、正しい重心移動を心がけましょう。
まずは、カカトで着地し、足裏全体を使って、最後は親指で踏み込んで次の一歩へ踏み出していきます。
ポイント②背筋を伸ばして胸を張る
みぞおちを前に突き出すようにし、背筋が伸びる状態で、正しい姿勢で歩きましょう。
目線はやや高めに。特にデスクワークが多い人は、猫背は巻肩のクセがついているので、改善のために意識をしたいところです。
ポイント③腕を大きく振る
肩甲骨を動かすことを意識しながら、後ろにもしっかり腕を引いて歩くことで、眠っている肩甲骨まわりの筋肉にアプローチをかけていきます。
肩や腕の力は抜いて、あくまでも肩甲骨まわりを意識!
強度:低〜中 難易度★トレーニング2 ボール投げ
背中やお腹まわりの筋肉を目覚めさせる
投げても投げても終わりの見えないレトリーブですが、そんな時間も自身のトレーニングに変換しましょう。
意識をしないと腕だけで投げてしまいがちですが、投げるという行為は本来体を大きくひねるという体幹運動です。
背骨をねじる感覚で上半身をめいいっぱい使って投げてみると、わき腹や下腹などのお腹まわり、また背中の筋肉をしっかり使っていることを実感できます。
ポイント①上半身をひねって線を引く
肩甲骨まわりの筋肉を意識しながら、背骨をひねるように。腕には力を入れず、体幹の筋肉を使って動かしていくイメージをしましょう。
ポイント②下半身も大げさに
振りかぶった際はボールを持つ手と反対側の足を大きく上げ、ぐっと踏み込んで上半身のひねりを支えます。視線はボールを飛ばしたい先へ。
ポイント③上半身をひねり戻すように!
振りかぶった後は、背骨をひねり戻す要領でボールを投げます。
上半身のひねり幅は、へその位置が右から左に180度回転していることをチェックしましょう。
出典:『RETRIEVER』Vol.111/「最強のサンポ術」
*1 監修:山本忠昭、浅野里美
*2 やまもとただあき。パーソナルトレーナー。ラグビーを筆頭に、野球、ストリートワークアウト、キックボクシングなどにも精通し、トレーニング歴は20年を超える。
*3 浅野里美 あさのさとみ。犬との暮らしコンサルタント、ドッグトレーニングインストラクター。千葉県習志野市にあるドッグスクール「Perrito」主宰。応用行動分析学・犬の行動心理学に基づく正の強化をベースとしたトレーニングで犬と暮らす家族の暮らしをサポート。スケボーを乗りこなす愛犬・コーダと元保護猫のフィーユ、ガロ、メローと暮らしている。


