- コラム
2025.03.06
島国NZはシーフード天国!海や川の環境を守るルールとは?~南半球のDog's letter~

世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?!共通してるかも?!と思える目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。
今回は関節のサプリメントでもおなじみの緑イ貝を中心とした魚介話題。日本ではあまり見かけない緑イ貝ですが、ニュージーランドではメジャーな食材のようです。
-
この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
国際的に信頼度の高いNZの産物


人間用の緑イ貝サプリもあります。犬同様、関節によく、炎症を防ぐ効果があるとされています。
自然豊かなニュージーランドで取れる産物は、世界的に信頼度が高く、ドッグフードや犬用サプリメントの原材料としても大人気。
その背景には食材の安全と持続可能な環境を守るため、さまざまなルールが存在します。
今回は犬の飼い主にはおなじみの緑イ貝を中心に、ニュージーランドの魚介類事情について調査しました。
安くておいしいNZ固有のムール貝

スーパーで売られている活緑イ貝
緑イ貝は英語でGreen-lipped Mussel(グリーン・リップド・マッスル)と呼ばれるムール貝の一種。ニュージーランド固有の貝です。
名前の通り殻のフチが緑色なのが特徴で、一般的なムール貝よりもサイズがひと回り大きく、身には厚みと弾力があります。
旨味たっぷりで、白ワイン蒸しにしたり、スープやパスタに入れたりと調理法もさまざま。ニュージーランドでは身近な存在で、スーパーマーケットにも殻付きの活緑イ貝が山積みにされて通年販売されています。
物価高騰が社会問題となっているニュージーランドですが、緑イ貝はまだ比較的安く、1kg7NZドル程度(約630円、少し前までは1kg3~5NZドルでしたが…)。 ニュージーランド全土の海岸に生息していますが、市場に流通しているのはすべて養殖です。養殖場があるのは、北島ではコロマンデル半島、南島ではマールボロ・サウンドやゴールデン・ベイ、スチュワート島といったきれいな海の沖合。ブイにつながれた3000~4200mもの長いロープを水中に吊るして貝を育てます。
この養殖方法は自然に近い環境のため、海洋生態系にほぼ影響を与えないことも利点です。

南島マールボロ・サウンドにある緑イ貝の養殖所へ行くクルーズツアーがあります。

オークランドのビーチにはマッスル(ムール貝)採取のルール看板があります。
ちなみに野生の緑イ貝は、個人で消費する目的であれば採取可能です。
ただし、際限なく取ってよいわけではなく、自然保護の観点から制限が設けられています。細かいルールは地域によって異なりますが、オークランドでは1日1人25個まで。違反すると最大500NZドル(約4万5000円)の罰金が科せられ、悪質であると判断された場合、裁判所への出頭命令などさらに厳しく処罰されることもあります。
釣りにまつわるさまざまなルール

南島ゴールデン・ベイのアナトキ川でサーモン釣り
日本で釣りというとレジャーや趣味のイメージが強いでしょう。
ニュージーランドでも同様に、主に湖や川でフライやルアーを使ったスポーツフィッシングを楽しむ人がいる一方、オークランド周辺では食材の確保を主目的として海釣りをする人が多い印象です。この場合も緑イ貝同様、釣って持ち帰ってよいサイズや数が水産省によって決められています。
規定はエリアによって異なり、また状況に応じて変動することもあるので水産省では専用アプリをダウンロードして随時チェックすることを推奨しています。

海の磯釣りは基本的に通年オープンですが、スポーツフィッシングや船で大物を狙うビッグゲームフィッシングは解禁期間も決まっています。人気の高いトラウトフィッシングの場合は、場所にもよりますが一般的に10月1日から4月30日まで。さらに、釣りのライセンスも必要で、事前に購入しなければなりません。
筆者は、釣りはしませんが、素潜りでウニ(ニュージーランドではマオリ語でキナと呼ばれています)を取ったり、スキューバダイビングしながらクレイフィッシュ(ロブスターの一種)をハントしたりした経験があります。
この際は、自分が食べるものを少しだけ海から分けていただいたような気分になりました。
ニュージーランドの恵まれた環境を維持するには、細かく決められたルールを守ることが重要。
いつまでも安全で質の高い原料を提供できるよう、住民一人ひとりの自覚が求められます。
