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2025.08.20
夏のハァハァは心臓に負担?犬の心臓を守る栄養ケア
夏はとくに、シニア犬の「ハァハァ(パンティング)」が目立つ季節です。パンティングは、体温を下げるために必要な行動である一方、心臓にとっては負担のかかるサインの一つでもあります。体温調節が苦手な犬やシニア犬、心疾患を抱える犬には「ヒートショック」のような急変のリスクも考えられます。
本記事では、夏の心臓ケアとして、栄養面からできる家庭でのサポートを解説します。
夏は心臓に負担がかかるの?
「ヒートショック」というと、気温差が激しい冬のお風呂場で起こりうることが多いと考える方も多いと思います。実は、暑さに弱い犬、とくにシニア犬にとっては、夏も心臓に負担がかかっている場合があります。
★ハァハァで心拍数UP=心臓に負荷
犬は人のように汗をかいて体温を下げることができないため、「パンティング(浅く早い呼吸)」によって熱を逃がします。これは体温調節の自然な手段ですが、同時に心拍数が上がります。シニア犬の場合、心肺機能が衰えているため、気温や湿度が高い夏場にパンティングが長時間続くと、心臓に過度な負担がかかる可能性があります。
✔ 散歩後、時間が経っているのに息が荒い
✔ 寝ているのにハァハァしている
✔ 呼吸音が苦しそう
こうした様子が見られたら、心臓への負荷のサインかもしれないため様子を見たいところです。
★夏の「ヒートショック」にも注意
「ヒートショック」は寒暖差によって、心拍や血圧が急激に変動する状態です。犬の場合も、冷房の効いた部屋から蒸し暑い屋外への移動で同様の状態が起こることがあります。
とくに次の犬にはリスクが高まります。
✔ シニア犬
✔ 心疾患を持つ犬
✔ 体温調節が苦手な短頭種(パグやフレンチブルドッグなど)
急な失神や心不全の原因につながることもあるため、室内外の温度差を最小限に保つことのほか、外に出る際は玄関などで少し温度を慣らしてから出発することが重要です。
心臓を守る栄養素①:ビタミン群
心臓を守るのに役立つビタミンを紹介します。
+ビタミンB群
ビタミンB群は、心臓のエネルギー代謝に欠かせない栄養素です。とくにビタミンB1は、糖質をエネルギーに変える代謝に深く関与しており、心筋細胞がスムーズに働くためのエネルギー源を支えています。ビタミンB1が不足すると疲れやすくなったり、心拍が不安定になったりすることもあります。
また、ビタミンB6は、アミノ酸の代謝に関わり、神経伝達の正常化を助ける働きがあり、ストレスや興奮で乱れがちな自律神経にも有用といわれています。ビタミンB群は豚肉、レバー、鮭、卵黄などの動物性食材に多く含まれており、加齢により吸収率が下がるシニア犬には意識して取り入れたいですね。
+ビタミンC・E
ビタミンCやビタミンEは、心臓を守るうえで重要な「抗酸化ビタミン」です。心臓の筋肉(心筋)は常に動いており、多くのエネルギーを消費するため、酸化ストレスを受けやすい部位でもあります。
ストレスにより細胞がダメージを受けると、心機能の低下や血流の悪化につながる可能性が高まります。
ビタミンCは犬は体内で生成できるため、必須栄養素ではないものの、シニア犬では不足しないよう、適宜補うことがオススメです。緑黄色野菜やベリー類に多く含まれるため、日々の食事に意識して取り入れることで、心臓の健康維持につながります。
心臓を守る栄養素②:アミノ酸
続いては、心臓を守るアミノ酸について解説します。
▶カルニチン
カルニチンは、脂肪酸をミトコンドリアへ運搬し、エネルギーへ変換する際に必要なアミノ酸様物質です。心筋は主に脂肪酸をエネルギー源とするため、カルニチンの不足は心臓のポンプ機能の低下につながります。シニア犬は、体内でのカルニチン合成量が低下するため、食事から補う必要性が高まるとされます。
カルニチンは、赤身の肉や内臓に豊富です。高タンパク質の食事になる可能性も高いため、腎臓疾患のある犬には注意が必要ですが、健康なシニア犬の心臓ケアには役立つ栄養素です。
▶アルギニン
アルギニンは、一酸化窒素(NO)の生成を促し、血管を拡張させる働きを持つアミノ酸です。アルギニンの摂取により、血流が良くなり、心臓の負担を軽減できるとされています。また、アルギニンは免疫機能の維持や傷の修復にも関与するため、夏の疲労回復やストレス緩和にも役立ちます。心臓疾患に限らず、加齢にともない動脈の柔軟性が失われやすいシニア犬にとって、アルギニンの補給は全身の循環改善につながります。
動物性タンパク質に多く含まれており、消化に負担が少ない調理法で与えることが理想的です。
▶タウリン(アミノ酸)
タウリンはアミノ酸の一種で、心筋の収縮力を保ち、心拍リズムを安定させる働きがあります。心臓の電気的信号が正常に伝達されるためにも必要不可欠な成分です。また、肝機能のサポートや、胆汁酸の分泌促進、抗酸化作用など多面的な効果を持ち、夏の体力低下が心配な時期にも有用です。
タウリンは体内でも合成されますが、犬ではその合成能力が限られており、とくにシニア犬や心疾患を持つ犬では、日常的な補給が望まれます。タウリンはマグロ、カツオなどに豊富に含まれますが、犬に与える際は必ず加熱し、大量な摂取は控えましょう。
心臓を助ける「夏の食材」おすすめ5選
ここからは、心臓を助ける「夏の食材」を紹介します。毎日の食事に適度に取り入れてみませんか。
■かぼちゃ
ビタミンB群とカリウムが豊富で、心臓のエネルギー代謝や電解質バランスを支えます。加熱すると甘みが増し、消化にも優しいことが特徴です。
■小松菜
ビタミンC・カルシウム・カリウムのバランスが良く、心臓や血管の健康維持に役立ちます。細かく刻んで与えると消化しやすいです。
■鮭
カルニチンとアルギニンを含み、心筋のエネルギー維持や血流促進に役立ちます。タウリンや抗酸化成分も含まれます。
■バナナ
嗜好性が高く、カリウム補給に適した果物です。少量をトッピングとして活用すると、食欲増進や夏バテ予防にもなります。ただし、カリウムが多いためよく食べても与えすぎないように注意してください。
■豆腐
植物性たんぱく質からアルギニンを摂取でき、血管や筋肉の健康をサポートします。消化しやすく、暑い日も食べやすいです。
食事に取り入れるコツと注意点
夏におすすめの食材も、ただ取り入れればよいというわけではありません。
取り入れるコツと注意点を把握して、犬の健康に役立てましょう。
⚠「冷たい食べ物=冷やしすぎ」に注意
暑い日には、冷蔵庫で冷やした食材や冷たい水を与えたくなるかもしれませんが、犬の胃腸は冷えに敏感です。冷たい食べ物は一時的には心地よくても、胃腸の働きを鈍らせ、消化不良や下痢、食欲不振を引き起こすことがあります。とくにパピーやシニア犬、体力が落ちている犬では、胃腸への影響が大きく出やすいため注意が必要です。
与える食事は基本的に常温か、ぬるめに温めてください。電子レンジで軽く温めると香りも立ち、食欲も刺激されやすくなります。冷たい食材を使用したい場合は、必ず常温に戻してから与えましょう。
⚠水分補給+塩分バランスの工夫
夏場は気温と湿度の上昇で、犬も人と同じように脱水リスクが高まります。しかし、単に水分を与えるだけでなく、「どのように水分を摂るか」も求められます。例えば、ドライフードしか食べない犬は水分摂取量が少なくなりがちであり、スープ仕立てのフードや水分を多く含むトッピングを工夫して取り入れることがおすすめです。水分と栄養を一緒に摂れる無塩の手作りスープ(鶏むね肉や野菜の煮汁など)が理想的です。
⚠心臓病がある子は必ず獣医と相談
心臓に持病がある犬は、食事の内容に特別な配慮が必要であり、とくに注意すべきなのが、ナトリウム(塩分)やカリウムの摂取量です。心臓病のステージによっては、カリウムを制限すべきケースもあれば、逆に補う必要があるケースもあるため、自己判断での食事変更やサプリメントの使用は避けることが賢明です。
療法食やサプリを検討する場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談し、定期的な血液検査や心機能チェックを行いながら、無理のない形で栄養管理をおこないましょう。
まとめ
夏は犬の体温調節や湿度の影響で、想像以上に心臓への負担が増える季節です。
家庭でのサポートには、
✔ ビタミンやアミノ酸などの栄養素で心臓と血流をサポート
✔ 旬の食材や魚をうまく取り入れ、内側から守るケアをおこなう
✔ 体調に変化が見られたら、早めにかかりつけの獣医師に相談する
栄養の力で、暑い季節も元気な心臓を保って過ごしていきましょう。
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