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2025.12.17

冬の定番「鍋」|犬に与えていい食材・ダメな食材を管理栄養士が解説

冬の定番「鍋」|犬に与えていい食材・ダメな食材を管理栄養士が解説

寒い季節になると、家族で囲む「鍋料理」が恋しくなります。温かい湯気の中で、体も心もポカポカにする冬の定番メニューです。

そのような鍋を見て、「うちの子にも少し分けてあげたいな」と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。
しかし、人の鍋に使う食材の中には、犬にとって危険なものもあります。

本記事では、犬とシェアできる鍋の食材と、注意が必要な食材を、管理栄養士・ペット栄養管理士の視点からわかりやすく解説します。

寒い季節にぴったり!犬と楽しむ鍋の魅力


鍋料理は、水分とさまざまな栄養素をバランスよく効率的に摂取しやすいメニューです。少しでも温度感のある温かい食事を犬の食事に取り入れることには、さまざまなメリットがあります。

✔ 体温維持への貢献
✔ 香りアップで食欲増進
✔ コミュニケーションの促進

犬にも人と同じく食事誘発性熱産生(DIT)があり、食後に代謝が高まり、体熱産生が増えることが示されています。そのため、生理学的にも妥当とされています。寒い季節の代謝維持にもつながります。

また、とくにシニア犬では嗅覚や代謝が低下しやすいため、温かい食事は香りが立ちやすく、食いつきがよくなるというメリットがあります。

家族と同じ食卓を囲む時間は、犬にも安心感を与える貴重なコミュニケーションの時間となります。
ただし、大前提として「人用の鍋=犬にも安心」ではないため、取り分ける際は味を付けない状態にしたり、冷ましたりなどのひと工夫が大切です。

犬に与えてOK?鍋でよく使う食材

犬の食事として活用できる、鍋の定番食材とその与え方のコツを紹介します。

白菜|水分補給に

白菜は低カロリー(100gあたり14kcal程度)かつ約95%が水分で、水分補給に適しています。また、食物繊維が含まれるため腸内環境を整える役割も果たします。

ただし、白菜に含まれる不溶性食物繊維は、与えすぎると消化器への刺激となり下痢の原因になるため、少量ずつが基本です。与えるときのコツとして、芯の部分は葉の部分に比べて硬く消化しにくいため避け、やわらかく加熱し細かく刻んであげましょう。


大根|消化促進

大根には、でんぷんの消化を助けるジアスターゼなどの酵素が含まれており、胃腸の働きをサポートする効果が期待できます。

与える際は、茹でて辛味成分を飛ばすと食べやすくなります。加熱した大根は消化を促進し、便通改善にも役立ちますが、生のままや与えすぎは避けた方が良いでしょう。必ず加熱して少量ずつ与えることが大切です。


タラ|タンパク質豊富

タラは白身魚の代表格で、脂質が少なく消化しやすいのが特徴です。主成分は、筋力維持や代謝を支える速筋タンパク(ミオシン・アクチン)であり、成長期の犬や高齢犬の筋肉維持にもおすすめの食材です。

ただし、与える際には注意が必要です。生は寄生虫リスクがあるため必ず加熱ましょう。また、塩タラや味付きタラはナトリウム過多になるため、必ず無塩のものを使いましょう。喉に詰まるリスクがあることも懸念されるため、骨は取り除くようにしましょう。与える目安量としては、体重5kgの犬で1日10〜15g程度が適量です。

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スケソウタラ、チキン(むね肉)、チキンレバー、白米、タピオカデンプン、鶏脂肪、ニンジン、カボチャ、トマト、こんにゃく粉、卵殻カルシウム、レシチン、ビール酵母、魚油(マグロ・イワシ・カツオ)、昆布、ミネラル類(K、Mg、Na、Fe、Zn、Cu、Mn、Se)、ビタミン類(B1、B2、D3、E)

●保証分析値
タンパク質 7.0%以上、脂質 4.0%以上、粗線維 0.1%、灰分 1.3%以下、水分 76.8%以下  代謝カロリー96kcal/100g
【その他の分析値】ナトリウム 0.10%、カリウム 0.21%、カルシウム 0.19%、マグネシウム 0.02%、リン 0.14%

●内容量:80g

●原産国名:日本

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豆腐|植物性タンパク質でヘルシー

豆腐は植物性タンパク質源です。また、含まれるイソフラボンによる抗酸化作用も期待できます。

冷やっこではなく常温にして与えることがおすすめです。絹ごし豆腐は、木綿豆腐と成分は同じですが、水分が多く繊維質が少なく、細かく崩しやすいため、消化器官が未発達な子犬や消化機能が衰えたシニア犬にとって、より消化しやすい点で優れています。

与えすぎると下痢を起こすことがあるため、目安量は体重3kgの犬の場合で約20g、体重約10kg前後の犬で約50g程度を目処に調整してみてください。

きのこ類|低カロリーで食物繊維が豊富(種類と与え方に注意)

きのこは低カロリーかつ高食物繊維で、腸内環境を整える働きがあります。β-グルカンなどの免疫をサポートする成分を含む種類(しいたけ・まいたけなど)もあります。
鍋に入れやすく、風味や香りづけにも適していますが、きのこは消化に時間がかかるため、必ず細かく刻んで与えましょう。

犬に与えてはいけない鍋の食材とは?

人の鍋料理によく使われる食材の中には、犬にとって中毒を引き起こしたり、健康を害したりするものがあります。これらを与えるのは避けましょう。

×ネギ類(長ねぎ・玉ねぎ・ニラ)

ネギ類に含まれるアリルプロピルジスルフィドという成分は、犬の赤血球を破壊し、溶血性貧血を引き起こします。これがネギ中毒のメカニズムです。

加熱しても毒性は消えないため、鍋の出汁が溶け込んだものも含め、絶対に与えてはいけません。


×練り物(はんぺん・ちくわ・かまぼこなど)

練り物は魚由来ですが、製造過程で大量の塩分、糖分、食品添加物が使用されます。これらの成分は犬の腎臓や肝臓に負担をかけるとされており、魚由来とはいえ加工食品なのでおすすめしません。


×調味料・出汁・ポン酢類

人の鍋には、醤油、味噌、塩、ポン酢などさまざまな調味料や、濃厚な出汁が使用されますが、これらは犬には塩分過多であり、強い刺激となる場合があります。犬の食事の基本は「味なし」です。人用に調理する前に、犬の食事を取り分けましょう。

犬用にアレンジ!鍋レシピのアイデア

家族が鍋を楽しむ際は、犬の分は必ず味付けをする前に取り分けるのが基本ルールです。
ベースは、風味豊かな無塩の昆布だし、もしくは鶏ささみスープなど、シンプルなものにしましょう。

具材例は、白菜、大根、タラ、にんじん、豆腐、しめじ(加熱・刻む)など、与えてもよい食材を選び、すべて柔らかくなるまでしっかりと煮込みます。

温かい食事は、タンパク質と野菜のビタミンがバランスよく補給でき、食欲の落ちやすい冬におすすめです。

まとめ

冬の鍋料理は、飼い主にも犬にも、体を温め、家族の団らんを深める良い機会となります。犬と鍋を楽しむ基本は、「味付け前の取り分け」スタイルを守ることです。

ネギ類や練り物など、与えてはいけない食材は避けましょう。一方で、タラや白菜など、与えてもよい食材を選び、加熱、刻むなどの調理法を意識すれば、一緒に食の時間を楽しめます。

季節の変わり目、寒さで体調を崩しやすい時期こそ、温かい食事を取り入れて犬の代謝を維持し、免疫を守る食事を心がけてあげましょう。