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2026.01.15
がんになってからの日々を後悔なく過ごすには《RETRIEVER + POCHI archive047》
写真=恩田拓治
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
大切なのは犬が安心して楽しくいられること
犬ががんと診断されると、飼い主は大きな不安や悲しみに襲われます。これは大切な存在を失うかもしれないと感じる「グリーフ(悲嘆)」で、心、体、行動、さまざまな反応(食欲不振、無力感、孤独感など)として現れる自然な反応です。ただ、飼い主が不安なようすを見せると、がんを知らない犬は戸惑ってしまいます。いつも通り犬が安心できる環境を保ちながら、治療を始めることが大切です。一人で抱え込まず、信頼できる人や専門家に気持ちを話しましょう。治療を決めたら、前向きに取り組む工夫を。治療をしてもしなくても、犬との時間を大切にし、無理のない範囲で思い出づくりをすることが、犬の生きる力を支えるサポートになります。
してよかったこと、しておけばよかったこと飼い主の教訓から学ぶ、がんになった犬との過ごし方
◎してよかったこと
1位 お出かけ(旅行、ドライブ、キャンプ、花見など)
2位 犬友達と遊ぶ、散歩&写真を撮る、一緒に過ごす
3位 雪遊び
4位 水遊び、納得のいく治療を探す
5位 いつも通りの生活、闘病日記をSNSに公開
△しておけばよかったこと
1位 後悔はない
2位 一緒に過ごす
3位 がんに早く気づく
4位 手術
5位 健康診断、お出かけ・遊び
がんになってからの日々を後悔なく過ごすには
もし、犬と過ごせる時間があと1週間だとしたら、どのように過ごすでしょうか。がんと診断された後の時間は、犬との暮らしのハイライトでもあります。犬との日々で一番大切にしたいことは何か、元気なうちにしっかり考えて心構えをしておきましょう。
Case1犬ががんと診断されて頭が真っ白に
突然の診断に動揺して衝撃を受けるのは当然のことで、それだけ飼い主が犬を大切に思っていた証でもあります。強いショックで思考が追いつかず、獣医師の説明を十分に聞けないこともあります。犬は自分ががんであることを知らず、泣いている飼い主を見て不安になるかもしれません。いつもの「愛している」のサインを受け取れないことが、犬の悲しみにつながります。動揺した時は外の空気を吸ったり、誰かに話したりして気持ちを整え、落ち着いて犬の元へ戻りましょう。
Case2治療の選択肢を迫られているけど、ネットで調べるとどんどんネガティブに
がんの診断を受けて帰宅すると、不安からインターネット検索を続けてしまうことが多いものです。しかし、ネットに載っているのは“がん”の情報であって、犬自身の情報ではありません。その結果、がんが主役になり、気づかぬうちに犬ではなく“がん”に意識を向けてしまうこともあります。大切なのは、病気だけでなく目の前の犬を見ることです。性格や生きる力を踏まえて治療を選べば、犬もきっと受け入れてくれます。そして治療をすると決めたなら、できるだけ楽しんで取り組める工夫をしていきましょう。
Case3犬が若くしてがんになり、飼育環境が悪かったのではと自分を責めてしまう
犬との幸せな日々を失うかもしれないと感じると、つらくなるのは当然で、自分を責めてしまうこともあります。まずは、ありのままの気持ちを受け止め、信頼できる人に話したり日記に書いたりして、思いを吐き出しましょう。人や犬との出会いには必ず意味があるはずです。また、犬は若さや長生きにこだわらず、目の前の時間を楽しめれば幸せだと感じます。忙しくて後回しにしていたことを、この機会にたくさんしてあげましょう。
Case4闘病中の犬に対して、してあげられることが何もなく無力に感じる
がんに対してできる治療が少なくなると、何もできないと感じてしまうかもしれません。しかし、がんではなく“犬”に対してできることはたくさんあります。犬の好きなこと、やりたいことを考えてリストにし、それを叶える時間にしてみてはどうでしょうか。元気で時間があるうちにリストアップしておけば、病気になってから慌てずにすみ、とてもおすすめです。
Case5犬が苦しむ前に安楽死させたほうがいいのかなとも思うけれど、覚悟が決まらない
犬の目線で考えてみると、犬は死を知らず、恐れることもありません。気づいたら心臓が止まり、ただ終わりが訪れるだけです。犬にとって大切なのは、その瞬間まで安心・安全で、楽しく穏やかに過ごせるかどうかです。苦悩の中で安楽死を選ぶならば、その直前までを最高の時間にすることを考えてみましょう。犬が「この家で、この家族と暮らして幸せだった」と感じてエンディングを迎えられれば、それこそが最大のプレゼントになります。
出典:『RETRIEVER』vol.115/「がんになってからの日々を後悔なく過ごすには」
*1 監修=阿部美奈子 あべみなこ。獣医師。麻布大学大学院修士課程修了後、動物病院勤務などを経て、ペットと飼い主の心のケアをする「動物医療グリーフケアアドバイザー」として、動物病院やオンラインでカウンセリングを行う。著書に『犬と私の交換日記』(二見書房刊)など。 https://gri ef-care.net/

