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2021.06.09

腎臓が気になる犬に野菜やフルーツを与えても大丈夫?オヤツとして与えるなら。

腎臓が気になる犬に野菜やフルーツを与えても大丈夫?オヤツとして与えるなら。

高齢になった犬に多くなる病気のひとつが腎臓病です。加齢にともない腎臓の機能が低下していく腎臓病は、初期の症状は気付きにくいことで知られています。
しかし、腎臓病は早め早めに対策をすることで病気の進行をゆるやかにすることが可能な病気でもあります。

シニア期になった犬の定期的な健康診断と合わせて、腎臓を労わるような食事を意識する人も多くなっています。

そこで、今回は腎臓を意識するなら知っておきたい「栄養素」のお話と、オヤツとしての食材の与え方についてご紹介します。
将来の犬の腎臓のために、オススメの与え方についてもぜひご覧ください。

腎臓が気になる犬が気を付けるべき栄養素

腎臓病の犬が制限する必要がある成分の大半は、本来であれば尿などと一緒に排出されるべき成分です。

犬の腎臓は、体内の血液などに含まれる成分をろ過してきれいにするフィルターのような役割を持っています。
ろ過されて、再度使用できる成分は血液として再び体内を循環し、不要な成分は尿として排出されます。

腎臓病の犬の腎臓は、腎臓の機能の一部が機能しなくなり、フィルターとしての役割を十分に果たせなくなっている状態になることが一般的です。そのため、本来であれば尿と一緒に排出されるはずの成分が排出されることなく再び体内に血液などとともに戻されてしまい、さまざまな症状を引き起こします。

どれくらい厳密にそれぞれの栄養素の制限が必要になるかは、腎臓病のステージ(腎臓の機能がどれくらい働いているか)によります。

 

■リン

リンを制限することは、慢性腎臓病の進行を遅らせることが知られていて、腎臓が気になり始めた犬が気を付けたい栄養素の代表です。
リン自体は健康維持のために必須の栄養素のひとつで、骨や筋肉、歯、細胞膜を作る際に使用されています。

健康的な状態なら体内のリンの量は一定を維持するよう、過剰になったリンは腎臓でろ過されて排出されますが、腎臓の機能が低下すると体内のリンが高い状態が続き、腎臓への負荷が増えることになります。また、リンとかかわりが深い栄養にカルシウムがあります。腎臓の機能が低下して、リンを排出できずに血液中のリンの濃度が高い状態が続くと、パラソルモンと呼ばれるホルモンの働きによってバランスを取るために血液中のカルシウムの濃度を上げようとします。
パラソルモンがどこからカルシウムを取り出すかというと、骨。骨からカルシウムが取り出されることで、骨がもろくなるなどの症状が出ることがあります。

 

■タンパク質

タンパク質もリンと合わせて、腎臓ケアの観点から制限が必要になることがある栄養素です。タンパク質はご存知の方も多いと思いますが、筋肉など体のさまざまな細胞を作る際に必要になる栄養素です。

タンパク質は、体内で使われると尿素という物質を作るのですが、これが腎臓でろ過されて排出される成分。タンパク質を多く含む食事を続けると、リンと同様に腎臓の負担になるといわれています。
しかし一方で、タンパク質は全身の筋肉などの維持にも必要な成分ですので、最近の腎臓病の食事の指導でも「アミノ酸バラスの良いタンパク質を適量」を意識した食事が推奨されるようになりつつあります。

 

■ナトリウム・カリウム

さらに、腎臓病の犬が健康維持のために意識したい栄養素がナトリウムとカリウムです。これらの栄養は互いに作用しあいながら体内の水分量をコントロールしたり、神経系の伝達に重要な役割を果たしている栄養素です。
ナトリウムとカリウムをそれぞれ過剰になりすぎない範囲で適量維持し続けることが大切です。

腎臓の機能が落ちた犬は、体内の水分量のコントロールを行うナトリウムとカリウムの排出が上手くできなくなってしまうことがあります。
ナトリウムは塩を構成する成分で、塩分をある程度制限することでナトリウムを制限することができます。
一方でカリウムはさまざまな食品に含まれていますが、調理方法や与え方を工夫することでその量をコントロールすることが可能です。


これらの栄養素を制限する食事を意識するとなると、選択肢はかなり狭く(療法食など)なってしまいます。
「療法食を継続的に与える必要があるほどではないけれど、高齢になり腎臓をいたわりたい」という犬の場合は、必須栄養素を網羅している総合栄養食を与えながら、腎臓を意識したものを与えるなど、早めの対策がオススメです。

 

腎臓の健康を意識しつつ、食べさせるならどんなオヤツ?

腎臓病は食事のコントロールが病気の進行を大きく左右します。そのため、腎臓病と診断された犬はオヤツを与えることは避けるように指示されることがほとんどです。

腎臓病であると診断されてはいないけれど、年齢も上がってきたので腎臓の健康維持を意識したいという時にはリン、タンパク質、ナトリウムとカリウムといった栄養素を抑えたものをオヤツとして少し与えるのは問題ないと思います。

肉や魚は、リンが多く含まれる一方、野菜やフルーツは一部を除いてこれらの成分があまり含まれていません。

また、一部の野菜やフルーツにはカリウムが多く含まれるものがありますが、ひと工夫を加えることでカリウムの量を減らすことが可能なものもあります。

■ 気を付けたいカリウムの量が多いフルーツ・野菜

・バナナ
・メロン
・いもの仲間
・キャベツ

 

カリウムには水やお湯に溶けやすいという特長があります。その特長を活かして、小さく切って「茹でこぼし」を行ったり、「水に一定時間さらす」ことでカリウムの量を減らすことができます。
たとえば、生のさつまいもなどはカリウムが多く含まれますが、小さく切って水にさらし、さらにしっかりと茹でることでカリウムの量を減らせます。

おわりに

腎臓病など、食事の管理が大事な病気では「あれはダメ」「これはダメ」といったことばかりが気になってしまいがちです。でも、ひと工夫を加えることで腎臓の健康維持を意識しながらも食べることができるようになるものもあります。
犬にとって食は楽しみであり、飼い主と過ごす幸せな時間を彩る大切なものでもあります。できることなら、コミュニケーションを深めるオヤツは健康を意識しつつも与えたいと考える人が多いと思います。
犬の将来のために、ということでできることから始めるのであれば、オヤツの与え方から意識してみるというのも一つの方法といえると思います。