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2022.01.31

【#大きな犬と】自宅での時短シャンプーとお手入れの秘訣をトリマーに聞く!

【#大きな犬と】自宅での時短シャンプーとお手入れの秘訣をトリマーに聞く!

同じ犬でも小型犬と大型犬では、育て方や食事など気をつけたいポイントがちょっと違います。でも世の中にある知りたい情報は小型犬向けが多いのが少々残念…。そんな飼い主さんのために、大きな犬にフォーカスした、遊びや食事や健康といった暮らしの情報を集めて紹介します。(POCHI編集チーム・大きい犬班)



今回のお役立ち情報シャンプーとお手入れ

東京都世田谷区の「ペットスペース&アニマルクリニックまりも」大原店店長・トリマー・動物看護師の末光絢香さんに、大きな犬を自宅でシャンプーとドライングする際の時短テクニックを教えていただきました。目からウロコのプロの技を、紹介します!

何度も洗うのが時短の秘訣!

大きな犬のシャンプーは、小さな犬に比べて当然のことながら時間がかかります。
トリマーの末光絢香さんによると、大きな犬の自宅での時短シャンプー&ドライイングのカギは、シャンプー方法が握っているとのこと。
「一言で言うと、シャンプーを1回だけでなく2回も3回もすることで、トータルのシャンプー&ドライイングタイムを短縮できるんです。『え? 何度もシャンプーしたらそれだけ時間が余計にかかるけど…』と思うかもしれません。
けれども、そもそもシャンプーの役割は、余分な皮脂を取り除くこと。シャンプー後に皮膚にベタつきが残っていたら、ドライヤーをかけても地肌はなかなか乾きません。複数回のシャンプーによって脂分をしっかり除去できれば、大きな犬のドライイングにかける時間はぐっと短くできます」

さすがレトリーバー。シャンプーが大好きという、フラットコーテッド・レトリーバーのシュガーちゃん

さすがレトリーバー。シャンプーが大好きという、フラットコーテッド・レトリーバーのシュガーちゃん

なお、ほとんどの犬種のシャンプーの頻度は、3週間に1回~月1回程度が最良です。高温多湿な時期や、もともと皮膚が脂っぽい犬種で地肌のベタつきや臭いが気になるようであれば、10~20日間に1回の頻度でシャンプーをしても問題ありません。
シャンプーを頻繁に行うと、皮膚が乾燥しすぎて皮膚のバリア機能も失われます。その結果、かえって皮膚が感染症にかかりやすくなったり炎症を起こしやすくなるので要注意。お出かけの際に汚れた身体は、濡れタオルで拭いたり、お湯でざっと流したり、ブラッシングをしたりして対処しましょう。

プロ伝授!大きな犬のシャンプーテクニック

末光さんから、大きな犬の正しいシャンプーの方法を教えてもらいました。
最初に大きな犬の身体をお湯のみのシャワーで濡らすのは、実はおすすめではないとのこと。まずは十分な湯量で希釈したシャンプーを泡立てて、その“シャンプー水”で全身にお湯をなじませるようにしながら濡らしていきましょう。
1回目のシャンプーは、お湯を浸透させるのが目的。大きな犬の全身に“シャンプー水”をかけ終えたら、シャワーでお湯を地肌まで浸透させてください。
2回目のシャンプーから、本格的に洗うのがプロ流です。



テクニック - 1シャンプー剤の泡立て方

時短シャンプーへの第一歩は、シャンプー剤を十分に泡立てることからスタート。

(1)風呂桶にシャンプーの原液を入れたら、蛇口からお湯を足しながら泡立てます。桶の中には、あらかじめ泡立てネット(スポンジ)を入れておきましょう。
その後、スポンジを揉むようにして、さらに希釈されたシャンプー剤を泡立てます。

(2)全身を濡らす前に、スポンジについた泡を大きな犬の身体全体に載せていきます。
毛並みと逆方向に撫でながら、泡を地肌に浸透させるのがポイント。被毛を洗うのではなく、地肌の汚れを落とすのがシャンプーの目的です。



テクニック - 2すすぎ残さない流し方

すすぎ残しがあると、ドライイングの際に苦労するだけでなく、残留したシャンプー剤が大きな犬の皮膚の健康を損うことにもなります。ちゃんとすすぐコツをつかんで実践しましょう。

(1)シャンプー剤をすすぐタイミングで初めて、地肌までしっかり濡らします。シャワーヘッドは、なるべくボディに近づけるのがポイント。

(2)耳と顔はなるべく、シャワーで直接流さないように。シャワーから出たお湯を手のひらにためて、それを耳や顔にやさしくかけてください。
シャワーヘッドが顔に近づいても避けない犬にならば、シャワーの水圧をごくわずかにしながら流すのもよいでしょう。

(3)重要なのが、すすぎ残しがないかを確認すること。背中は指先を立てながら、その他は手のひらも使って全身をくまなくチェック。すすぎ残しがあると、ヌルっとした感触がするので、そこを再度よくすすぎましょう。



テクニック - 3キレイにやさしく洗う方法

シャンプーをするときは、大きな犬の地肌を傷つけずに手際よく行うのが大切です。

(1)ボディに泡が浸透したら、飼い主さんは決して爪を立てず、手のひらで全身を強く撫でるイメージで、ゴシゴシと洗ってください。
脂分の多いところは乾きにくいので、よく洗いましょう。

(2)首は、スポンジを使ってたっぷり泡をつけて、ボディ同様に手のひらで地肌を洗います。
汚れが溜まりやすい脇の下は、肢を上げながら隅々まで洗いましょう。
足先は、指と指(肉球と肉球)の間を飼い主さんの指で洗ってください。

(3)顔を洗う際はまず、背中の泡を、毛並みに逆らって後方から手のひらで持ってきます。そして、指先やスポンジを使いながら目に泡が入らないようにやさしく洗いましょう。

中毛や長毛犬種はリンスもマスト

2~3回のシャンプー後、長毛や中毛の大きな犬は仕上げにリンスも行いましょう。地肌の汚れを取るのが目的のシャンプーのみでは、どうしても被毛がギシギシしてしまい、日常の手入れであるブラッシングにも支障が出がち。そこで、被毛のケアの役割を果たすリンスが役立つのです。

(1)洗面器にリンス剤を入れて希釈して、そのお湯を全身にかけます。同じことを繰り返しながら、大きな犬の全身にリンスをかけてください。その後、手のひらをつかって撫でつけながらリンス剤を被毛に浸透させます。

(2)四肢は上部からリンス剤が垂れてくるので、つけすぎないように注意を。リンスはつけすぎると、被毛が乾きづらくなります。
流し方はシャンプーと同様です。

スピーディにじょうずに乾かす秘訣

大きな犬をスピーディに乾かすための時短アイテムとして便利なのが、風で水滴を飛ばす“ブロアー”。プロ仕様のものよりもコンパクトで安価な“ペットドライヤー”などと呼ばれるタイプもあるので、ブロアーを自宅シャンプーアイテムのひとつとしてそろえておくのをおすすめします。
では、トリマー直伝のじょうずなドライイング法を学びましょう。

(1)シャンプーやリンスが終わったら、まずは素手で、大きな犬の全身を絞ってください。四肢や尻尾なども忘れずに。次に、吸水性のよいタオル(ペット用の吸水タオルとして販売されている“セームタオル”と呼ばれるものがおすすめ)を使用してタオルドライを行います。

(2)ブロアーがない家庭では、ドライヤーを使って大きな犬を乾かしていきましょう。その際、飼い主さんの手に触れても熱いと感じない程度に、犬とドライヤーの距離を離すのが大切です。また、片手はタオルドライをしながらドライヤーをあてるのも時短ポイントのひとつ。

(3)ブロアーを利用する際は、毛並みに沿って風をあてると被毛がハネずキレイに仕上がります。下半身に向けて風を流すようなイメージで、ブロアーの通気口を動かしましょう。
仕上げは、ブロアーやドライヤーでのブロー。スリッカーブラシなどで抜け毛を取り除きながら、ていねいにブラッシングをしてください。

冬の静電気防止に役立つアイデア

中毛や長毛の大きな犬は、冬は被毛の静電気が気になることでしょう。
散歩に出るたび、静電気のせいでホコリや汚れが被毛に付着してしまうことも……。
そんなお悩みを解消する方法を、トリマーの末光さんに聞きました。

「簡単なのは、お散歩やお出かけなどの外出時に洋服を着せることですね。その洋服に、霧吹きなどで少し水分を含ませておけば、静電気は発生しないでしょう」とのこと。

もうひとつ、裏ワザがあるそうです。

「通われているトリミングサロンに“ハーブパック”や“泥パック”といったオプションメニューはありますか? 実はこれらの施術で、個人的な感覚ですが約1ヵ月間は、静電気が抑えられるんです」

自宅でも、市販されている犬用ハーブパックや犬用泥パックを使って、大きな犬のシャンプー後にパックをしてあげることができます。気になる飼い主さんは、ぜひインターネットで自宅パックの方法を調べてみてください。
パックによるケアは、大きな犬の被毛の静電気予防だけでなく、皮膚の健康管理にも役立ちます。

シャンプーとリンスですっきり、ツヤツヤになったよ!」(シュガーちゃん)

シャンプーとリンスですっきり、ツヤツヤになったよ!」(シュガーちゃん)

今回ご紹介した自宅トリミングの時短テクや、おまけのお役立ち情報である静電気予防のスペシャルケアを活用して、大きな犬の皮膚と被毛を健やかに保ってあげましょう。

ライター:臼井 京音

取材協力:

*1 ペットスペース&アニマルクリニックまりも https://petspace-marimo.com/

■ 末光絢香さん

bigdog-trimming-at-home_8.jpgペットスペース&アニマルクリニックまりも大原店の店長、トリマー、動物看護師。現在も犬と猫を多頭飼育しており、幼少期からどんな動物でも大好きだった。トリミングサロンでも、好きな犬種であるボーダー・コリーやシェルティをはじめ、長毛の大きな犬を担当することが多い。



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