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2025.01.30
【#プロフェッショナル】自宅プチ筋トレとエクササイズで健やかシニア犬生活を実現!

私たちの暮らしに欠かせない犬たち。そしてその犬や犬との生活を支えるプロの技にスポットをあてた本シリーズ。
普段はあまり触れる機会がないプロの技で、犬との生活がより充実したものになる。そんな情報をお届けします。
今回のお役立ち情報自宅でのエクササイズとプチ筋トレ
寝たきりにならず健やかなシニア犬ライフを送れるように、アンチエイジングになるエクササイズやプチ筋トレを日課にしましょう。老犬介護のスペシャリスト、平端弘美さんに自宅で簡単にできるエクササイズ法を教えていただきます。
筋肉量が多いと長生きできる
人間の研究では、適度な筋肉量があるほうが寿命が伸びるという結果が複数出ていますが、犬もまた同じだと考えられます。
なにより、寝たきりではなく身体を動かせたほうが、シニアドッグの生活の質が向上するのは間違いありません。
ぜひ、シニア犬のケアのプロである平端弘美さんに教えてもらう、日常生活で簡単にできる筋力アップ法や体幹を鍛える方法を日課にしてみてください。
外の空気やにおいや景色といった刺激たっぷりの散歩ももちろん大切ですが、室内でのエクササイズも十分“脳トレ”にもなります。
さぁ、うちの子の四肢や肉球をもんで血行を良くしたり身体をほぐしたりして準備が整ったら、さっそくエクササイズをやってみましょう!

室内でも頭と身体を使ったアンチエイジングエクササイズはできます!
自宅プチ筋トレ&エクササイズ5選
エクササイズの前に、まずはうちの子が喜ぶおやつを用意しましょう。
自宅の床が滑り止め加工をしていないフローリングの場合、犬がしっかり踏ん張れるように、ヨガマットなどを敷いてください。
飼い主さんが明るい表情でうちの子を励ましながら行えば、お互い楽しく取り組めるはずです。
エクササイズ -1足上げ運動
加齢とともに筋力は落ちていきます。犬は上半身に体重をかけがちなので、とくに下半身の筋力は衰えやすいもの。後肢をしっかり上げて、脚力をキープできるようにしてあげましょう。

道具もなく簡単にできるのが、飼い主さんの脚を利用した方法。おやつを使いながら、脚をまたぐように誘導します。

道具を使って行っても良いでしょう。このエクササイズの最大のポイントは、ジャンプをさせないこと。
なお、モデル犬のように椎間板ヘルニアの後遺症で下半身の筋肉が弱い犬などは、シニア犬でなくでもこのエクササイズは積極的に行いたいものです。
エクササイズ -2スクワット
低い姿勢をとってくぐる動きをすると、足腰の筋トレになります。ふだんはあまりしない動きなので、ぜひ毎回のエクササイズに取り入れてあげてください。

中型犬~大型犬は飼い主さんの股の間やテーブルの下を、小型犬は飼い主さんが床に座り膝を曲げて作ったトンネルをくぐらせます。うまくくぐったら、誘導に使ったおやつをあげて、このエクササイズを好きになってもらいましょう。
エクササイズ -3座って立って
座った姿勢から立ち上がるのにも、筋力は必要です。「おすわり」から「立って」もらう動作を繰り返すだけのエクササイズでも、下半身の筋トレになります。

座った状態から、おやつなどで誘導しながら立たせます。トレーニングとして「立って」という合図を覚えさせるのもおすすめ。
エクササイズ -4クネクネ歩き
左右への体重移動は、散歩でもなかなか行わない動きです。身体のしなやかさやバランス感覚を維持するため、また体幹を鍛えるために積極的に行いたいエクササイズです。

設置した障害物と障害物の間を、犬が腰をひねったりターンしたりしながら動けるように、飼い主さんがおやつを使って誘導しましょう。
(障害物は、100円ショップや300円ショップなどで手軽に調達できます。)
エクササイズ -5バランスキープ
体幹を鍛えるには、バランスディスクなどを活用したエクササイズが有効。後肢に力を入れて立ち続けると太ももの筋力もアップするので、膝関節を守るのにも役立ちます。

人間用や犬用のバランスディスクや硬めのクッションに、犬の前足を載せ、しばらくその姿勢をキープさせます。ブツブツした感触を嫌がる犬の場合、ヨガマットの下にディスクを置くと抵抗感が薄くなるはず。
後肢を意識させる、お手軽ワザ
前重心になりがちな犬が多いと言われていますが、本来は、後ろにも重心がかかるように立ったり歩いたりできるようになるのが理想的。
後肢を意識しながら歩いてもらえる、お手軽な方法があるのでご紹介します。
それは、皮膚に食いこまないタオル地の輪ゴムを犬の後肢につけること。太ももや膝付近や足首などに、きつくない輪ゴムをはめて、室内で歩かせてみましょう。
非日常的な感覚がある後肢に意識が向いた犬は、頭で考えながらふだんよりしっかりと足を運ぶようになるはずです。

違和感を覚える後肢に、意識と力を入れて歩くようになります
血流を妨げないよう、輪ゴムは5分程度で必ずはずしてください。エクササイズとも呼べない手軽なこのワークを毎日続けて、うちの子が歩く際に後肢を意識する癖がつくようになるのを目指しましょう。

膝上と太ももに輪ゴムがあり、ふだんよりしっかり踏ん張っています
以上、シニアドッグになる前から、そしてシニアやハイシニアになっても、無理なく簡単にできるエクササイズを紹介しました。飼い主さんも遊び感覚で楽しみながら、自宅でうちの子の健やかライフにつながるひとときを共有してみてくださいね。
文・写真:臼井京音
■ 取材協力:平端弘美さん
撮影協力:
*1 癒しの杜~こうご動物病院付属TAMA統合医療センター~ https://medicure.co.jp