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2025.05.08
うちのコは大丈夫?犬のウンチとオシッコのチェックリスト《RETRIEVER + POCHI archive017》
イラスト=マー関口
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
排泄物は、犬の健康状態を知るための大切な情報源です。色や形、ニオイがいつもと違ったら、もしかしたら不調のサインかもしれません。
ウンチとオシッコの基本的な知識を身につけて、日ごろから犬の健康管理を心がけましょう。
オシッコ編
■オシッコの量は飲水量&食べ物の水分量に影響される
オシッコについて、まずは水分の内訳を理解しておきましょう。オシッコとして排泄される水分は、不可避尿(体内の老廃物)と随意尿(摂取した食べ物や水分の量に応じて調整)の二つに分かれます。人間の場合は、一日に約500mlの不可避尿と900mlの随意尿を排出されるといわれています。犬の場合、目安として1時間につき体重1kgあたり1〜2mlの尿を排出したほうがいいとされています(例:体重30kgの大型犬の場合、1時間に30ml以上)。
+こんな時どうする?
✓ いつもと色が違う
正常な色は黄色〜小麦色です。
高齢犬に多い慢性腎臓病や糖尿病になると、尿の量が異常に増えるため、透明に近い黄色または無色になります。
黄疸の場合、ビルリビンと呼ばれる胆汁成分が尿に混ざり、山吹色〜褐色になり、赤色は血尿と血色素尿の2種類があり、前者は膀胱炎、後者は玉ネギ中毒や自分の体に自ら免疫をかけてしまう自己免疫溶血性貧血の場合が多く見られます。
トイレシートに排尿した場合は確認しやすいですが、散歩中はティッシュで軽く拭けば、簡単に色を確かめることができます。
✓ 多飲・多尿
飲水量とオシッコの量が増えた場合、まず考えられるのが糖尿病。
糖尿病で異常な高血糖状態が続くと、ブドウ糖を排出するために、多量の水分が必要になり多尿になります。オシッコの量が増えるとノドが渇くため、その分水を飲む量も増えるのです。コルチゾールと呼ばれるホルモンが過剰に分泌されるクッシング症候群、腎機能が低下する慢性腎不全の場合も水分の調整バランスが崩れ、同じような症状が見られます。
ウンチ編
「ウンチとは、すなわち残渣(ざんさ)です。食べたものは栄養素とともに小腸で消化・吸収され、残りカスは大腸を通り、便となって排出されます。
例えば、ドッグフードには腸内環境を保つためにいいとされる食物繊維が含まれていますが、種類ごとに繊維量は異なり、与えるフードによってウンチの状態は変わるのです」
健康的なウンチは人間と同じようにソーセージ状のものが理想とされています。
「日ごろのウンチの状態を基準に、色や硬さ、ニオイなどがいつもと違うなと感じたら、要注意です。下痢だけでなく、硬すぎるうんちにも気をつけたいちところ。また、膵臓疾患の場合は、灰色っぽくなるなど、疾患によって色が変化することもあります。ウンチは固形なので、簡単に体からのシグナルに気づくことができますよ」
+こんな時どうする?
✓ ウンチやおならのニオイがキツい
ウンチの色と同じように、フードの種類を変えただけでもニオイは微妙に変化します。そのため、体調が悪いのか、それとも食事によるものなのか、ニオイが変化した際の原因を突き止めるのは難しいかもしれません。
しかし、「腐敗臭」や「血なまぐさいニオイ」、「鼻につく酸っぱいニオイ」などは、腸内環境が悪化しているサインです。感覚的に「いつもと違う」と思ったら、しばらく犬の体調を観察してみましょう。同様に、おならのニオイがキツい時も、腸内に悪玉菌が増えて、異常発酵している場合があります。放置しておくと下痢につながる恐れがあるので、食事量を減らすなどして調整してみましょう。
✓ ウンチが緩い・下痢状
フードの変更や留守番などのストレスが原因でウンチが緩くなることがあります。また、鉤虫など寄生虫からの感染、犬ジステンパーウイルスなどのウイルス感染、腫瘍や膵炎など、さまざまな疾患で下痢を伴います。下痢の回数が少なく、食欲や元気もある場合は2〜3日ようすを見ればいいのですが(ただし老犬や子犬は体調悪化が早いので、ようすを見すぎるのは危険)、ひどい下痢が続いたり、食欲不振や嘔吐を伴う場合はすぐに受診をしましょう。フードを変更する際は徐々に量を増やしたり、散歩中の拾い食いや誤食に気をつけるなど、ちょっとした心がけで下痢は防げます。
出典:『RETRIEVER』Vol.106/「知ってる? 犬のうんちとおしっこチェックリスト」
*1 監修: =小林豊和 こばやしとよかず。『グラース動物病院』統括院長。帝京科学元大学教授。日本大学大学院獣医学研究科博士課程修了。1993年10月に『グラース動物病院』を設立。動物への負担の少ない腹腔鏡手術など、新たな分野にも挑戦。人と動物のよりよい共生をサポートしている。著書に『犬の看取りガイド』(エクスナレッジ)他、多数。


