撮影=中嶋聡美
構成・文=RETRIEVER編集部

「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム）

犬の口は、なぜ？におうのか

犬に顔を近づけた時、プンとただよう口のニオイ。犬の口臭の原因は、人間同様「歯周病」が多いです。そして、その最も有効な対策は、やはり歯磨き。

そういえば、しばらく犬の歯磨きしていなかったな…。そんな経験は身に覚えはありませんか？すっきり爽やかな口でいれば、犬の健康も守れます。
口内ケアに本気で取り組んでみましょう。

30年ほど前からいわれているのが、成犬の80%以上が、歯周病および歯周病予備軍だということです。
５〜６年前には、1歳未満の小型犬の子犬の95%が、重度の歯周病であるという報告がありました。乳歯から永久歯に生え替わって、すぐに歯周病になるのです。

感染症である歯周病を放置すると、歯周組織全体を侵し、最悪、大型犬でも抜歯やアゴの骨への影響が必至となります。
さらに怖いのが全身疾患への波及です。人間と同様に犬も歯周病菌が血流にのって全身を巡り、内臓疾患などを引き起こすリスクが証明されています。

歯周病は、食べ物のかすに細菌が繁殖したもの=歯垢が石灰化して歯石となり、歯の表面や歯ぐきの歯周ポケットでかたまって炎症を起こす病気です。やがて歯周病菌が骨まで溶かして歯が揺れたり、最悪は抜歯が必要になります。

犬の場合、この歯垢から歯石へ変化するまでが、わずか３日！人間では１週間〜いわれているので、犬は食べたらすぐ歯石になると考えたほうがいいでしょう。

子犬がまだ乳歯のころ(生後1〜5カ月)から、歯磨きトレーニングを始めるといいでしょう。最初は磨くことよりも口元を触ったり、口に指を入れたり、 遊び感覚でやるのがオススメです。
子犬なら学習しやすいこともあり、恐怖感を与えずに行えます。
ただ、成犬でもシニア犬でも、気づいた時がチャンスです。まずは歯周病の治療をして、そこから新たにスタートする方法もいいいと思います。

歯磨きが苦手なコを慣らしていくためのステップ

デンタルガムを噛ませながら、オスワリ、マテなどを繰り返して、口のまわりを触ります。
飼い主の位置としては、前からでも後ろからでも、その時の態勢に応じて。唇をめくったり、口元をなでたり、遊び感覚で楽しい時間であることを覚えさせ、ガムは最後にごほうびとして与えてOKです。

歯ブラシを使う前に、まず歯磨きシートや指サック式の歯ブラシといった道具を装着し、ニオイを嗅がせて安心させましょう。
そして、嫌がらなければ、さらに歯の表面をぬぐったり、円を描くように歯ぐきをマッサージして、だんだんとその時間を延ばしていきます。

人の手が入るのに慣れたら、歯ブラシの登場です。最初は歯ブラシを口の中に入れて慣らす段階です。次に水か犬用歯磨きペーストをつけて、軽く歯や歯ぐきに当ててから磨いていきます。
一度に全部の歯を行おうとせず、今日は上の片側だけなど小分けにするといいでしょう。３日で全部の歯を磨き切る程度でOKです。

犬歯と奥歯の間で歯がカーブして並んでいるところや奥歯、前歯の歯間、そして歯と歯ぐきの境目など特に磨き残しやすい重点個所を、タフトブラシ (小さな毛束のブラシ)などを使って最後に磨きます。
磨く時は優しい力加減で行うのが鉄則です。歯の内側は唾液が洗浄するので、できたら磨くという程度でいいでしょう。