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2025.06.02
季節の変わり目こそ。東洋医学の考えで養生しよう《RETRIEVER + POCHI archive021》
イラスト=花島ゆき
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
春から不調の季節陰気を発散しよう
東洋医学では、各季節に心身を調和する方法が古くから医学書で指南されてきました。四季の中でも、春は「発陳(はっちん)」の季節といわれ、冬の間、体内にこもっていた陳=古いものを発散する時季です。ここで発散して再生しないと、体調に影響があると考えられています。
「それは動物にも当てはまります。春は冬の間に眠っていた体内の不調が一気に表面に出やすい季節。それもあって、実は、春先は動物病院が一年で一番忙しいんです。春は芽吹きの季節。犬達にもノビノビと過ごさせて、滞った気の流れをゆっくりと発散させることが大切です」と、東洋医学を生かした治療を行う獣医師の石野孝先生は語ります。
内臓の活動時間を生かした犬の養生ライフ
東洋医学には人間の「内臓活動時間」を示した 「子午流注(しごるうちゅう)」というものがあります。一日を2時間ごとに区切り、一つの枠には、その時間帯に働きが活性化する臓器が対応します。各時間帯に行うといいとされる行動は、人間だけでなく犬にも当てはめて考えることができます。
✓1-3時[肝]
・・・解毒にかかわる大切な時間帯。熟睡できる環境づくりで質のよい睡眠を。
✓3-5時[肺]
・・・犬の散歩にはちょっと早いですが、早朝のきれいな空気を体内に取り込みましょう。
✓5-7時[大腸]
・・・排便は排毒。排便に適したこの時間帯に散歩に行って、デトックスを。
✓7-9時[胃]
・・・胃が活発に働く時間帯に、一日の活力になる朝ごはんをあげます。
✓9-11時[脾]
・・・集中することに適した時間帯。トレーニングや遊びに向いています。
✓11-13時[心]
・・・精神安定に関係する時間帯なので、昼寝で体と精神を休めて◎
✓13-15時[小腸]
・・・消化分を栄養分と残りかすに分別。適度な水分摂取を意識しましょう
✓15-17時[膀胱]
・・・膀胱に負担をかけないように、夕方の散歩でしっかり排尿を。
✓17-19時[腎]
・・・精を貯める腎。腎を補う食べ物をいつもの夕方のごはんに加えてみるのもオススメです。
✓19-21時[心包]
・・・心臓を保護する働きを意味する心包(しんぽう)。全身マッサージなどを。
✓21-23時[三焦]
・・・三焦(さんしょう)は気血水が体を巡る時間帯。寝る前にゆったり過ごさせましょう。
✓23-1時[胆]
・・・胆汁を貯蔵する働きをする場。飼い主も犬も23時には就寝することを心がけましょう。
犬の健康生活 内臓時間を生かして整える
★〔朝〕早起きして、散歩で気を取り込む
子午流注の図では「肺」の時間帯に散歩を勧めていますが、それは早朝の澄んだ空気を吸うことで、きれいな「気」=生命エネルギーを肺に取り込むことができるからです。実際に散歩に出なくても、庭先で、飼い主は深呼吸し、犬はちょっと歩くだけでもOK。
★〔昼〕正午前後2時間に昼寝で精神安定
早朝の散歩の後、朝ごはんをしっかり食べることは、犬にとっても健康にいい習慣です。その後は、ちょっと活動的な時間を過ごしてから、お昼寝タイムにするのがオススメです。最近は、人間も昼食後に短時間の昼寝が推奨されていますが、多くの犬も昼寝をしているはずです。正午を挟んだ2時間は精神安定の時間帯なので、静かに過ごしてひと休み。それには寝るのが一番です。
★〔夕〕膀胱・腎が活発な時間帯に散歩やごはん
夕方の散歩の時間は、「膀胱」が活発になる時間帯です。まさに排尿させるのに絶好のタイミングです。室内トイレのコでも、この時間帯に排尿することで、効果的にデトックスができます。散歩から帰宅したら、早めに夕飯を食べさせましょう。「腎」は生命エネルギーを貯める重要な時間帯なので、普段のごはんに、腎の栄養補給になる食べ物、例えば海藻類を加えてもいいでしょう。
★〔夜〕就寝前にリラックス就寝は23時に
夕方の散歩やごはんの後は、穏やかに過ごしましょう。「心包(しんぽう)」や「三焦(さんしょう)」 の時間帯には、人間なら入浴やストレッチがリラックスがオススメです。犬へは肉球マッサージなどをして一緒にゆったりと過ごさせましょう。23 時の「胆」の時間には就寝を。「肝」 の時間帯には、熟睡して肝を休ませることが大切です。寝る環境にもよりますが、犬は飼い主のそばで寝るのがいい睡眠につながるでしょう。
出典:『RETRIEVER』Vol.107/「季節の変わり目こそ 東洋医学の考えで養生しよう」
*1 監修=石野孝、相澤まな いしのたかし。『かまくらげんき動物病院』院長。麻布大学大学院獣医学研究課程終了。日本ペットマッサージ協会理事長。最新の西洋医療と伝統的な東洋医療を融合させた動物達に優しい治療を行なっている。 あいざわまな。『かまくらげんき動物病院』副院長。麻布大学大獣医学部卒業。日本ペットマッサージ協会理事。ホリスティック医療を得意とし、治療に取り入れている。著書に『犬のツボ押しBOOK-ワンちゃんの病気予防と健康管理に-』(石野院長と共著、医道の日本社)他、多数。


