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2025.08.06
元気だった犬の体調が急変!もし帰宅したとき倒れていたら...《RETRIEVER + POCHI archive027》
イラスト=伊藤和人
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
緊急時の体調チェックは素早く行うのが鉄則
救急医療の現場では、トリアージ(フランス語で「選別」という意味) という方法が使われることがあります。災害現場などで多数の傷病者がいる時に、治療の緊急性や症状の重症度から、短時間で治療などの優先順位を決めていく方法です。この方法は人だけでなく、突然倒れた犬の体調を素早く判断する時にも役立ちます。病気などによる体調の急変だけでなく、 熱中症や低体温症、事故に遭った時、おぼれた時など、どんな体調の急変も同じ方法が使えます。体調確認の手順を頭に入れておき、いざという時に対処できるようにしていきましょう。
チェックポイント:意識はある?
まずは犬に駆け寄って声をかけ、意識があるかどうか、呼びかけに反応するかどうかを急いで確認します。
反応がないようなら、【NO】の場合へ移ります。
意識はある?:→【YES】の場合
頭を上げられる?
自力で頭を上げられるか、ぐったりして頭が上げられないのかを確認します。急に頭を上げられなくなったようであれば、体調が急変している可能性があります。
▷できる場合…次のチェックリストへ。
▶できない場合…急いで病院に電話し、搬送を!
↓ ↓ ↓
立ち上がれる?
今度は自力で立ち上がれるか、ぐったりして立ち上がれないのかを確認します。急に立ち上がれなくなったようであれば、やはり体調が急変している可能性があります。
▷できる場合…次のチェックリストへ。
▶できない場合…急いで病院に電話し、搬送を!
↓ ↓ ↓
しっかり歩ける?
最後に、普通に歩けるか、立ち上がれるけれど、ふらふらして普通に歩けないのかを確認します。急に歩けなくなったようなら、やはり体調が急変している可能性がぬぐえません。
▷できる場合…落ち着いてさらに体調をチェック
自力で立って問題なく歩けるようであれば、そこまでひどい状態ではなく、軽症である可能性が高いです。落ち着いて、犬の全身、耳、口、鼻など異常がないかチェックしましょう。
▶できない場合…急いで病院に電話し、搬送を!
意識はある?:→【NO】の場合
呼吸はしている?
犬の口元に顔を近づけ、胸の動きも見ながら呼吸を確認します。じっくり確認する猶予はなく、呼吸がおかしい場合も処置に入りましょう 。
▷呼吸をしている場合…「▶︎頭を上げられる?」からチェックをスタート。
▶呼吸をしていない場合…大至急、心配蘇生を!!
意識がなく、呼吸も止まっているようなら、一刻を争う緊急事態です。少しでも救命の確率を上げるためには、すぐに蘇生処置に取りかかりましょう。
万が一のために練習したい心肺蘇生法
犬の呼吸が止まってしまった時、飼い主に唯一できることが心肺蘇生法です。ぬいぐるみなどを使い、「犬が倒れているのを発見した」といった具体的なシチュエーションを想定して、上部チェックリストから一連の流れを練習しておきましょう。
*1 心臓に負担をかけるので、絶対に犬で練習しないでください。
+心臓マッサージ = 1秒に2回 ×30回
1分間に100〜120回のペースで30回、回数を声に出して数えながら、胸部圧迫を休まず行います。軟らかいベッドなどの上では圧迫できないので、平らで硬めの床などに移動しましょう。
■ポイント!
✔犬の背中側にひざまづく
✔両手の指は組んだほうが疲れにくい
✔ヒザは肩幅ぐらい開く
+人工呼吸=1秒に1回×2回
心臓マッサージを30回行った後、1回に1秒かけて2回、犬の鼻の穴から息を吹き込みます。
肺に空気が入っていないように感じても、2回吹き込んだら、また胸部圧迫に移りましょう。
■ポイント!
✔犬の頭を上げず飼い主が頭を下げる
✔犬の舌を引き出し口を閉じさせる
✔胸が上下するのを確認しながら息を吹き込む
出典:『RETRIEVER』Vol.113/「元気だった犬の体調が急変!もし犬が倒れていたら…」
*1 監修=中村篤史。なかむらあつし。日本獣医救急集中治療学会理事長。アジア各国で動物病院などを展開する『A’alda』ヘルスケア事業本部長。北里大学卒業後、研修医、勤務医を経て、『TRVA夜間救急動物医療センター』院長に。2022年より『A’alda』に参画。


