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2025.08.13
絆が深まるホームケア シニア犬にオススメの血液循環を助けるマッサージ《RETRIEVER + POCHI archive028》
カメラマン=恩田拓治
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
犬と一緒に歩む時間が何よりの宝に
「病気に対峙するのは獣医師であり、 ホームケアで目指したいのは、“薬が効くカラダ”をつくることです。カラダの状態と心が合わさって、自然治癒力は高まっていきます。ホームケアはそこを補うものであり、行えるのは飼い主さんに他なりません」と話すのは、犬のホームケアカウンセリングを行うイノウチユウコさん。できるだけ未病のうちから、マッサージを通して心身ともに整えていきましょう。
かたまった皮膚を軟らかく!首のつけ根から腰まで
ホームケアのマッサージのポイントは、ほぐすことが目的ではないということ。皮膚をゆする程度の優しさで、体表のすぐ下にある毛細血管を刺激し、食事で得た水分(血液)を循環させて血液の巡りを良くするためです。
背中の皮膚に硬さを感じるような時は、体内の水分不足や血液の巡りが悪いことが考えられます。それを解消するために、首のつけ根からお尻に向けて、背骨の両わきに手を当てて、手のひら全体で小さな円を描くようにしながら皮膚をゆするようにマッサージしましょう。全身の気が集まっているとされる百会(ひゃくえ) というツボは、犬の場合、腸骨翼(腰の出っ張った骨)の間にある凹みを指します。最後は腰の百会に長めに手を置き、じんわりと温めましょう。
リラックス効果にも期待!耳のつけ根まわり
うれしさやストレスなどから犬が興奮してしまったような時に、耳をなでると興奮のスイッチを切り替え落ち着かせることができます。耳のつけ根のまわりをゆするようにマッサージをすることで犬もリラックスでき、同時に血液が巡るようになります。強すぎると逆効果になるので、優しくゆっくり、犬の表情をよく見ながら行いましょう。表情がうっとりしたり、眠ってしまったりするようであれば、気持ちがいいと感じているはずです。
冷えやすい先端をもみもみ。足先マッサージ
犬も人と同様、カラダの先端になるほど血液の巡りは悪く、冷えやすいものです。肉球を包み込むように持ち、優しく揉むだけで、ぽかぽかと温かくなってくるのを実感できます。ただし、足先を触れられることが苦手なコには無理をしないほうがいいでしょう。子犬のうちから、成犬なら元気なうちから触れられるのに慣れるよう、取り入れていけるとベストです。
最後に…
ホームケアの一番のメリットは、〝飼い主の手〟で行うことです。ホームケアで行うマッサージは、理学療法士や専門家などのプロが行うものとはまったく別のものであり、犬が信頼を寄せる飼い主だからこその効果を期待できるのです。犬に安らぎを与え、メンタルの向上も期待できます。また犬が亡くなった後も、充実感が残り救われる部分があるのです。ぜひ、自宅でコミュニケーションの一環としてホームケアを取り入れていきましょう。
出典:『RETRIEVER』Vol.115/「絆が深まるホームケア」
*1 監修=イノウチユウコ。いのうちゆうこ。オンラインホームケアカウンセリング「homecarefordog」主宰。2007 年に保護犬を迎えたことがきっかけで、犬に障がいや疾患があると譲渡が難しくなることを知り、譲渡困難な犬を迎えるように。病気や障がいとともに共存する14 頭の犬達との暮らしの中で、ホームケアを通じた体質改善の大切さを実感。17年間で得た経験を生かし、2020 年よりカウンセリングサービスをスタート。現在は71頭の犬と向き合いながら、病気と闘う犬やその飼い主をサポートしている。


