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2025.09.01
もし今、大地震が起きたら...《RETRIEVER + POCHI archive031》
イラスト=二階堂ちはる
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
地震大国日本。南海トラフや首都直下地震の発生が予想されており、日本国内のいつ、どこで起こってもおかしくないのが大地震です。「もし今大地震が起こったら、犬を守れるか?」を考えて、対策をしてみましょう。
自宅で一緒に被災した場合
Step1揺れている間は、まずは自分の身を守る
大きく揺れ始めたら、あわてて犬に駆け寄らず、まずは自分の身を守ることを第一に考えましょう。テーブルの下に潜り、揺れが収まるのを待ちます。
Step2揺れが収まったら、自分の安全を確保
揺れが収まったら、いつでも避難できるように、部屋の窓や戸、玄関のドアを開けて出口を確保します。ただし、玄関にゲートを備えておくなどして、逃走しないように注意しましょう。そして、火元の確認も忘れずに。もし出火していたら、落ち着いて初期消火を。
Step3安全を確保できたら、犬や家族の状況を確認
自分の安全確認が終わったら、犬の状況を確認します。床にガラスなどが落ちている場合は、むやみに呼ばず、落ち着いて探し、犬を見つけたら、リードを着けます。その後、いつでも避難できる準備を始めましょう。
外出時に別々に被災した場合
Step1飼い主は身を守る。犬は逃げ場所へ
犬が心配になりますが、飼い主はまず自分の身を守ることに専念します。自宅には普段から犬の安全な居場所を用意し、何かあったらそこに逃げ込めるようにしておきます。同時に、それらの居場所が犬にとって心地よく安心できる場所であるようトレーニングしておくことも重要です。クレートを用意する場合は、閉じ込める形にならないように気をつけましょう。
Step2一時集合場所や安全な広場へ
犬がいるいないにかかわらず、外出先での避難の基本的な流れは以下になります。まず現在地の状況を確認し、火災の危険があったり、避難指示が出ているようなら、小・中学校や近所の公園などの一時集合場所へ向かいます。一時集合場所に火災の危険がある場合は、大きな公園や広場などの避難場所に避難します。この時、地震や火災の危険がなく、交通の流れの妨げにならないようなら、帰宅してもいいでしょう。
Step3状況を把握し、帰宅するか避難するかの判断
東日本大震災の時、首都圏では帰宅の人の波が緊急車両の通行の妨げになったことから、現在東京都では、原則3日間帰宅せず職場などに待機することを推奨しています。帰宅できない場合は、近所に家族などがいれば、保護を頼みましょう。また、自宅の耐震構造も確認し、耐震補強などの対策も。そして、万が一飼い主が無事でなかった時のことも想定しておきましょう。
外出先で一緒に被災した場合
Step1危険な場所から離れて頭を守る
犬と一緒に出かけている時に揺れを感じたら、崩れそうなブロック塀や落下の危険性がある瓦屋根など、危険な場所から離れます。さらに、バッグなどで頭を保護すると同時に、犬はヒザの間に抱えるようにして一緒に守りましょう。犬がパニックになるかもしれないですが、リードは放さないように気をつけます。
Step2一時集合場所や安全な広場へ
犬と別々に被災した時と同様、基本的には火災の危険や避難指示が出ているようなら、小・中学校や近所の公園などの一時集合場所へ向かうか、大きな公園や広場などの避難場所に避難します。犬とよく行く場所の近くの、一時集合場所や避難場所を調べておき、できれば散歩がてら、実際にその場所まで行って確認しておきましょう。
Step3自宅や家族の状況を把握
東日本大震災では、大地震は1回で 終わらず、同日にM6を超える余震が9回も起こったように、家路を急ぐことが危険となる場合もあります。安全な場所で、自宅や帰路、家族の状況把握をしましょう。また、家族と連絡が取れなかった場合の集合場所を決めておきます。最近は、訓練のサイレンとともに安全確保行動を練習する「シェイクアウト訓練」 という取り組みもあるので、家族で実践・参加してみるのもいいでしょう。
もし避難することになったら
+自宅が壊れている・クルマやテントがあり余震の心配がない
➡車・テント泊避難
犬がいることで気を使わずにすみ、プライバシーを保てるのが車やテントでの避難。ただし、熱中症やエコノミー症候群のリスクもあります。車内にも防災用品を積んでおくといいでしょう。
+避難所で食料や水を配布していない・犬を避難所へ預けられない
➡知人宅などへ一緒に避難・ペットホテルや動物病院に預ける
犬連れだとどうしても避難先の選択肢が狭まります。 無理に避難所に連れて行くぐらいなら、犬はペットホテルや動物病院に預けるなど、別々の場所に分散避難する方法もあるでしょう。ただし、長期化すると戻るのが難しくなるので一緒に避難するのが基本です。
+避難所で食料や水を配布していない・犬を避難所へ預ける
➡自治体の避難所
避難というとまず頭に浮かぶのが「避難所」ですが、犬連れにとってはハードルが高く、犬を受け入れていても外や別室のクレート内のみという場合もあります。自治体の避難所のルールがどうなっているか、犬と一緒に避難できそうか、事前に調べておきましょう。
出典:『RETRIEVER』vol.113/『緊急事態! 最初の10分でできることすべきこと』
*1 監修=平井潤子。ひらいじゅんこ。NPO法人『アナイス』代表。東京都獣医師会事務局長。2001年、人と動物の防災対策を考えるため『アナイス』を立ち上げる。被災動物救護 活動や調査・分析・情報発信に取り組む。 http://www.animal-navi.com/


