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2025.10.22

元気な犬とより長く過ごすためのご長寿ごはん《RETRIEVER + POCHI archive036》

元気な犬とより長く過ごすためのご長寿ごはん《RETRIEVER + POCHI archive036》

イラスト=花島ゆき
構成・文=RETRIEVER編集部

「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)

POINT1:手づくり食の取り入れ方

ドックフードは総合食と呼ばれ、栄養素がバランスよく配合されています。「ただ、これまで診察してきた例を見ると、必ずしもすべての犬にとってビタミン・ミネラルが十分であるといいきることはできないと考えています」と長谷川拓哉先生。
長谷川先生が推奨する手づくり食は、シンプルで続けやすいのが特徴です。「穀物:肉または魚:野菜=1:1:1」の割合で煮て、おじや状にするのがポイントです。水分が豊富なことと、具材も煮る過程で軟らかくなるので胃腸への負担も軽減されます。いつものドッグフードにトッピングとして加えるのなら、安価で手に入りやすい鶏胸肉がオススメです。できれば野菜も茹でて、茹で汁ごと餡かけにしてあげると旨みと栄養価がグッとプラスされます」。

POINT2:犬に合ったドッグフードを見極める

いくら国産やオーガニックにこだわっていても、それが犬に合っていなければ体調を崩してしまうこともあります。「かゆがったり下痢をしたり、慢性的な不調が続けば、ドッグフードを見直すタイミングかもしれません。また、シニア期に入ったからといって、必ずしもシニア用のフードに変える必要もありません。シニア用フードはタンパク質や脂質がカットされていることが多いので、栄養が足りなくなってしまい、そのまま具合が悪くなってしまうこともあります。元気であれば年齢にかかわらず食事の量を変える必要はないので、犬のようすをしっかり見てベストなフードを見つけましょう」。

Check!GOOD(合うフード)

✔ 毛づやがいい
✔ 便が適量で締まっている
✔ 食いつきがよく、よく食べる

Check!BAD(合わないドッグフード)

✔ 下痢、軟便になる、便の量が多くなる
✔ かゆがる、皮膚の状態が悪くなる
✔ 食べようとしない

POINT3:腸内環境を整える

「腸には免疫細胞が多く存在しているので、腸内環境を整えることで免疫力がアップします。腸内環境を整えるには、バランスがいい食事と、適切な水分量を取ることが大切です。キノコなど食物繊維がたくさん含まれている食材をとるのもオススメです。ヨーグルトや納豆を犬にあげる人もいますが、人と犬の腸内細菌は違うので、発酵食品が必ずしも効果的とはいえないでしょう。もし、与えた後に軟便や下痢などの不調が現れる場合は、犬に合っていないということですので、その場合は中止しましょう」。

POINT4:肥満を予防するコツ

「犬の肥満はさまざまな病気を引き起こす原因になりかねないので、注意が必要です。手づくり食で水分を多めにとらせることで悪くなった代謝を促しましょう。肥満の原因として多いのはオヤツのあげすぎがあります。市販のオヤツは添加物が多く含まれているので、与えるのなら手づくりしたものがヘルシーです。5,000円程度で手に入る、フードドライヤーという食材を乾燥させる器具があるのですが、そこに肉や魚をスライスしたものをのせて乾燥させるだけで簡単に美味しいオヤツができます。もちろん、人間が食べても美味しいです」。

POINT5:“隠れ脱水”を予防する

食事の内容には気を取られるものの、犬の水分摂取量を気にしている人はどれだけいるでしょうか。「実は水分不足によって腎臓病につながることもあります。腎臓病になると老廃物がたまりやすくなり、皮膚病や心臓病を引き起こすケースがあります。シニア犬は特に脱水症状起こすと回復に時間がかかるので、注意が必要です」。これらは予防が大事なので、サインを見逃さないようにしましょう。下記の項目に症状が当てはまるものがあれば、“隠れ脱水”かも…。

■ CHECK!脱水サイン

✔ 尿の色が濃い、麦色のような色
✔ 首のあたりの皮膚をつまんだ時にストンと落ちない
✔ 目に潤いがない(瞳に部屋の蛍光灯が歪んで映る)
✔ 唾液がネバネバする、歯茎を触ると指が張りつく

POINT6:良質な油を摂取する

「良質な油を摂取することは、犬の健康にとっても必要なことです。シニア期だからといって、油分を減らす人もいるのですが、健康状態に変わりがなければ気にする必要はありません。細胞をつくる細胞膜の構成成分は油分ですが、良質な油をとることで細胞膜が強くなり、活性化し、臓器や皮膚の修復ができるようになります。必須脂肪酸であるオメガ6 系、オメガ 3 系の油は体内で合成することができないため、食べ物としてとる必要があります。特にオメガ 3 系の油には免疫を改善したり、血液をサラサラにしたり、がんを抑制する効果があります。オススメの食材はサケやサンマなどの青魚です。ぜひ、取り入れてみてください」。

出典:『RETRIEVER』vol.118/「元気な愛犬と長く過ごすためのご長寿ごはん」

*1 監修=長谷川拓哉 はせがわたくや。獣医師。新潟県で『ペットクリニック zero』を開業。食事療法を治療の柱とし、免疫力や自然治癒力を高めて動物達を元気にすることを目指している。著書に『愛犬の健康寿命がのびる本うちの子がずっと元気に暮らす方法』(青春出版社)。