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2025.10.30

間違いだらけの首輪・ハーネス選びにさようなら!《RETRIEVER + POCHI archive038》

間違いだらけの首輪・ハーネス選びにさようなら!《RETRIEVER + POCHI archive038》

イラスト=井上綾乃
構成・文=RETRIEVER編集部

「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)

犬の散歩に欠かせない首輪とハーネス。舌骨や頸椎への負担が増え頸動静脈圧迫による悪影響など、昨今は首輪のリスクに関する啓蒙もされハーネスを利用する人が多くなっています。一方で、ハーネスは犬の肩関節を拘束し歩行時の前脚の正常な動きを制限することも明らかになっています。どちらも一長一短ではありますが、犬に適したものを選ぶことが大切です。

メリットとデメリットをしっかり知っておこう

首輪のデメリットは、引っ張る犬の場合に首や気管、頸椎への負担が大きく、頸動静脈の圧迫による脳圧上昇が緑内障を悪化させる恐れも指摘されています。2020年の研究では、首輪の種類で首にかかる圧力が異なることも報告されました。一方、首輪は犬への合図が伝わりやすく、コントロールしやすい利点もあります。ハーネスは上半身で支えるため首への負担を軽減できますが、2019年の研究では前脚の動きを制限する可能性が示され、さらに苦しくない分、犬がより強く引っ張る恐れもあります。結局どちらも一長一短があり、犬の性格や歩き方に合わせ、必要ならドッグトレーナーの助言を受けながら、安全で快適な装具を選ぶことが重要です。

非拘束型ハーネス&拘束型ハーネス

非拘束型ハーネス


研究によって、ハーネスをしない状態に比べると、拘束型であれ非拘束型であれ、ハーネスが犬の前脚の動きを少なからず制限することが検証されました。その上で、“犬の動きを制限しない” ことを魅力として売られている非拘束型ハーネスのほうが、しばしば、拘束型ハーネスよりも動きを制限するとわかったことは興味深い内容です。

拘束型ハーネス


研究にも実際に用いられた「Easy Walk」をはじめとした拘束型ハーネスは、引っ張り予防として散歩トレーニングなどでも用いられるタイプです。装着時、犬の胸の部分に当たるリングにリードをつないで使用するもので、犬の拘束力が高く肩関節の可動を制限しそうな印象だが、研究では非拘束型ハーネスよりも制限を与えないという結果になりました。

フラットウェビングカラー&ウェビングカラー

ウェビングカラー(右:幅31mm×厚さ6mm ナイロン製・パットつき)

(幅31mm×厚さ6mm ナイロン製・パットつき)


タウンからアウトドアまで汎用性の高いタイプです。接地面積を計ることで導いた瞬間的な局所圧迫はラーチャーカラー、スポーツカラーに次いで弱く、感圧センサーを使ったシミュレーションでは引きが弱い時でラーチャーに次いでかかる力が弱いという結果に。ただし、値としては十分に首絞めの作用があることを留意しましょう。

フラットウェビングカラー

(幅15mm×厚さ2mm ナイロン製・小さめ)


ウェビングに比べて細く、またパットがなく薄いタイプ。 ウェビングやスポーツに比べて、感圧センサーのシミュレーションにおいても、また瞬間的な局所圧迫においても、やはり二つに比べると強いという結果に。このタイプの魅力には軽さがあり、ネームタグをつけるチョーカーとしての使用など、賢く使うのがいいでしょう。

チョークチェーン&スリップリード

チョークチェーン

(幅9mm×厚さ4mm 鉄製、引くと首が締まる構造)


首輪を左右と前方の三つに区分し、それぞれどのくらいの力が分散しているかの検証では、特にチョークチェーンでは前方に対する圧が大きかったという瞬間的な引っ張り(ジャーク)を繰り返すと、何らかの障害を受けてしまう危険性も否定できない。扱いには十分な注意とスキルが必要です。

スリップリード

(直径10mmナイロン製・引くと首が締まる投げ縄構造 )


首輪と感圧センサーの直接面積を比較したところ、特にスリップリード(とチョークチェーン)では接触面積が小さくなることが研究から導き出された。接触面が小さいほど面積あたりにかかる力は大きくなるため、他の首輪よりもさらに、犬により強い負荷を与えているということになります。使用の判断は慎重にしましょう。

出典:『RETRIEVER』vol.114/「最強のサンポ術」

*1 参考文献:『Effects of restrictive and non-restrictive harnesses on shoulder extension in dogs at walk and trot』 M.P. Lafuente, L. Provis, E.A. Schmalz (2019)

*2 参考文献:『Canine collars: an investigation of collar type and the forces applied to a simulated neck model』 Dr A. Carter, D. McNally, A. Roshier (2020)