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2025.10.29
犬が震える原因とは?対処法や痙攣との見分け方についてご紹介【獣医師監修】
犬が震えているとき、なんで震えているのだろう?と疑問に感じることはありませんか?暖房をつけているけど、室温が寒いのかな?何か怖いことがあったのかな?それとも、何かの病気のサイン…?と不安になったことはありませんか?今回は、獣医師監修のもとで犬の「震え」の原因についてご紹介します。


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獣医師 菱沼 篤子
犬の栄養指導や犬の健康に関する専門知識を持つコンサル担当スタッフとして、さまざまな飼い主のお悩みを聞いている。


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獣医師 森 亜耶
獣医師として日々診療していたなかでフードの大切さに気付き、ポチの商品開発担当スタッフに。現在は柴犬とサイベリアンと暮らしている。
犬が震える原因とは?
+寒さ
犬が震えるのは、人間と同じく「寒い」というのも理由の一つとして考えられます。寒さを感じると「シバリング」と呼ばれる、皮膚の筋肉を振動させて体を温めようとする生理現象があり、これ自体は正常な行動と言えます。寒いと感じているときの見分け方のポイントとして、動きそのものは軽快で、周りをしっかり見渡せるという特徴があります。特に、小型犬、短毛の犬種(チワワ、イタリアングレーハウンドなど)、子犬や高齢犬は寒さに弱いとされるため、防寒対策が必要です。
+ストレスや恐怖
犬は、強いストレスや恐怖を感じても震えることがあります。雷や花火のような大きな音や、知らない場所での緊張、他の動物への警戒心などが原因となることが多いといわれています。また、病院の待合室や人混みなど、犬が怖がる環境でもストレスを感じて震えてしまうことがあります。これは交感神経の活性化によるもので、一時的なもののため、ストレスの原因を取り除いて落ち着くまで見守ってあげると良いかもしれません。
+痛み
犬は痛いと感じるときにも震えることがあります。見分け方として、特定の箇所を触られるのを嫌がるような様子がある場合は、どこかに異常があるのかもしれません。また、椎間板ヘルニアなどに代表される神経痛でも震えが見られます。なお、おなかが痛い場合は震えのほかに食欲不振や下痢なども見られることがあります。
+加齢によるもの
犬は年を取ってくると、足腰が弱くなってくると体重を支える手足の筋肉が疲労して震えることがあります。特に、起床時や動き出しの時、長時間立っていた時などに多く見られます。筋力の低下や関節の変形が原因といわれています。
+興奮している場合もある
また、犬は期待感や興奮が高まっても震えることがあります。痛みや恐怖だけでなく、嬉しさのあまり震えてしまうということもあるようです。ネガティブな原因だけでなく、喜びが原因で震えてしまうというのは、ちょっと可愛らしい部分もありますね。
+病気の可能性
そのほか、犬が震える理由には神経系の病気(脳腫瘍、水頭症など)や神経系や中毒の発作前兆、低血糖などの病気の可能性もあります。動物病院への相談も視野に入れながら様子を見ましょう。
寝ているときに震えている…?
スヤスヤと寝ているときに、ふと見ると小刻みに震えていることがありませんか?寝ながら震える原因の多くは、睡眠状態に関係しているといわれています。人間と同じく眠りが浅い時間帯(レム睡眠)があり、体から力が抜けてリラックスしている一方で、脳は活発に動いているため、脳の反応に伴って体が震えたり、目をぴくぴくさせたりするといわれます。けいれんかと焦ってしまいがちですが、実は健康な犬でもよく見られる正常な反応です。
注意すべき震えを見分けるポイント
症状の持続時間
震える動作が5分以上続く場合には、動物病院へ相談しましょう。1~2分程度であれば経過を見守ることもできますが、短時間でも頻繁に起こる場合は注意が必要です。
頻度
症状が一時的なものか、1日に何度も繰り返しているのかを確認し、繰り返し起こる場合は動物病院へ相談しましょう。
意識の状態
震えの動作中、呼びかけに反応するかどうかをチェックしましょう。意識の有無で原因が異なることがあります。
体の部位
背中や肩など体の一部、顔の一部、手足全体、もしくは全身にわたっているかをしっかり観察しておくことが大切です。震えの様子を動画に残しておくと、動物病院での受診の際に参考になります。
前後の状況
震えの動作の前後に、誤食の可能性や散歩での様子、ストレスを感じる環境にいたかどうかなどの状況も確認しておきましょう。
+震えとけいれんの違い
震えとは
自分の意思とは関係なく、一部もしくは全身の筋肉が規則的に振動する状態です。意識ははっきりしていて、呼びかけには反応できます。
けいれんとは
自分の意思とは関係なく、全身あるいは一部の筋肉が収縮することで、手足が突っ張ったままになったり、顔がピクピクと動いたりする状態です。
■ ここをチェック
✔ 震えが長時間続いている(30分以上)
✔ 歩き方がふらついている
✔ 何度も繰り返す
―とくに緊急性が高く注意が必要な症状 ―
✔ 同時に吐き気や下痢、呼吸が荒いなどの症状がある
✔ 意識がもうろうとしている
犬の震えへの対処法は?
★寒さが原因のとき
室温を 20~25℃ に保つように心がけましょう。冬は犬用の毛布や服を着せたり、散歩時に 防寒ウェアを着用させたりするとよいかもしれません。暖かい場所に移動したり、毛布をかけてあげたりすることで自然と治まれば、寒さが原因だったと言えるでしょう。
★ストレスや恐怖が原因のとき
多くの場合、対象がなくなれば次第に落ち着いていきます。クレートや静かな部屋など安心できる場所を作ってあげたり、対象物を避けたりしつつ、落ち着くまで待ちましょう。過剰に慰めると逆に不安を煽ってしまうため、飼い主が落ち着いて接することも大切です。
★痛みが原因のとき
様子を見て、痛みがありそうな場合は早めに動物病院へ相談しましょう。
まとめ
犬の震えに関して、その原因と対処法、注意すべき震えの見分けるポイントなどをご紹介しました。同じようにみえる「震え」にも違いがあるので、犬の様子をしっかり観察し、なにが原因かを考えながら、まずできることをやってみることが大切です。いつもと様子が違うとつい焦ってしまいがちですが、そんなときこそ、まずは自分に「落ち着いて」と言ってあげてから、今回のチェックポイントに目を通してみてください。


