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2025.11.26
もっと絆を深める 犬のしつけ直し《RETRIEVER + POCHI archive041》
写真=樋口勇一郎
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
犬との暮らしは幸せそのものです。でも一緒に過ごしていると、飼い主の意識が緩んでしつけが甘くなってしまうこともあります。しつけは犬と飼い主が快適に生活するための基本的なマナーであり、犬との絆を深めるためにも重要です。昨今は、「ほめてしつける」のが主流となり、犬の習性を理解・尊重しながら、飼い主にとって望ましい行動を習慣化させます。ですが、単にほめちぎればいいというわけではなく、優しさと厳しさのメリハリが重要です。
手順としては、「ほめる」→「注目」→「呼び戻し」→「スワレ・フセ」。すでにできている犬も信頼関係を確認するために実践してみましょう。
STEP1「ほめる」ほめ言葉はごほうびが出てくる合図
しつけ直しの第一歩は、“ほめてモチベーションを高める”トレーニングです。ほめられると“ごほうびがもらえる”と理解できるようになり、しつけがスムーズに進み、どんな状況でも犬をコントロールしやすくなります。ポイントは、犬がポジティブな反応を示すまで淡々と「ほめる→トリーツ(オヤツ)」を繰り返すこと。最初の数日間は、一日数セットを集中的に行い、慣れてきたら散歩や食事前など、日常の中でこまめに続けることで、より効果的に身につけられます。
★HOW TO
1.ほめ言葉を決めたら、いざ実践!
ごほうびを与えやすい長さにリードを短く持ちます。姿勢を正しくして、犬に十分聞こえる大きさの声で「いいコ!」とひと声をかけます。
2.ほめたらトリーツを用意。
ほめた後にトリーツを用意することで、ほめ言葉とごほうびが結びつき、ほめ言葉を聞くだけで無意識にうれしい感情が伴うようになります。
3.ほめた後に、トリーツを一粒与えます。
①〜③の動作を10回ほど繰り返して、 ほめ言葉→トリーツを定着させることで、犬は飼い主に対して期待感や信頼感を抱くようになります。
STEP2「注目」集中させることでコントロールしやすくなる
好奇心旺盛な犬は元気な一方で注意が散りやすい傾向があります。「性格だから」と諦めず、まずは“注目のトレーニング”を意識しましょう。犬が何かに興味を示した瞬間に名前を呼び、飼い主に意識を向けたらすぐに「ほめ言葉+トリーツ」を与えることで、「注目するといいことがある」と学習します。これを繰り返すと自発的にアイコンタクトを取るようになり、飼い主も落ち着いてコントロールできるように。毎日の習慣として続けることが成功のカギです。
★HOW TO
1.犬が飼い主ではなく、別のものに意識を向け、目線をそらした瞬間を見計らって、はっきりとした口調で名前を呼びます。
この時、リードを強く引っ張る必要はありません。
2.名前を呼ばれた犬は我にかえり、飼い主に注目します。
この時、犬と目が合っていなくても、飼い主に意識が向いたらほめることで、自然と目を合わせてくるようになります。
3.飼い主に意識を向け、目の前まで寄ってきたら「注目」は大成功!
大いにほめてあげましょう。飼い主が喜べば、犬もうれしい気持ちになり、モチベーションも上がります。
SETP3「呼び戻し」呼ばれたらいいことがある!期待感がキーワード
呼ばれて嫌なことをされた経験があると、犬は呼んでも来なくなることがあります。指示に従わせるには「服従」ではなく、「ほめてごほうびを与える」ことでモチベーションを高めることが大切です。呼び戻しを再学習・強化する際は、アイコンタクトを取りながら少しでも戻れたら、すぐに「ほめ言葉→トリーツ」を与え、ポジティブな体験として結びつけましょう。慣れてきたら動きを変えるなどして、応用練習にも挑戦を。
★HOW TO
1.リードを緩く持ち(1.2m程度)、犬と少し距離を取ります。
飼い主は、「○○、おいでー」と、犬の名前を呼びながら 後ろ歩きをします。 視線は常に犬に。
2.犬が飼い主の動きに合わせて歩み寄ってきたら、呼び戻しができた証拠です。
飼い主の正面まで来たら、満面の笑みで「いいコ〜」、「グッド〜」など、ほめてあげましょう。
3.ほめて期待感を高めた後に、トリーツを与えます。
この時、ポーチから出してすぐ与えるのはNG。正面まで持ってきて与えることで飼い主への信頼度が増します。
STEP4「スワレ・フセ」毅然とした態度で、覚えるまで根気強くトレーニング
犬と暮らす上で「スワレ」と「フセ」は基本コマンドとして必ず覚えさせましょう。できている犬も確認のために練習を。教える際は、まずトリーツで動きを誘導し、できたらほめて与えます。慣れてきたら手の動きだけで誘導し、さらに「コマンド→手の動き→トリーツ」と段階的に進め、最終的にはコマンドだけでできるようにします。「スワレ→フセ→スワレ」と連続で従えるようになれば、理解が定着しているサインです。
★HOW TO
1.まずは犬が立った状態からスタートします。
アイコンタクトを取りながら「スワレ(もしくはオスワリなど普段使っているコマンド)」とひと言。犬を座らせましょう。
2.続いて「フセ」のコマンドで、犬にフセをさせる。
※フセができない場合は、トリーツを使ってフセの状態まで誘導。コマンドだけでできるようにトレーニングします。
3.フセをさせた状態から、再び「スワレ」のコマンドで座らせます。
ここまでできたらほめ言葉をかけ、トリーツを与えましょう。体はなるべく動かさず、言葉だけで誘導しましょう。
出典:『RETRIEVER』vol.110/「レトリーバーのしつけ直し」
*1 監修=鹿野正顕。かのまさあき。『スタディドッグスクール』代表。麻布大学入学後、主に犬の問題行動やトレーニング方法を研究。「人と犬の関係学」の分野で日本初の博士号を取 得。2009 年には世界的なドッグトレーナーの資格であるCPDT-KAを取得。プ ロのドッグトレーナーが教えを乞う「犬の行動学のスペシャリスト」として、メディアでも活躍中。


