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2018.09.07

【selfishな歴史犬聞録】日本犬と原始の犬が好きすぎるスタッフの妄想★その2

*1 POCHIスタッフが、犬に関する話題のキーワードや興味深々なことを独自に咀嚼して極私的に語ります!少しずつ更新していきますので、どうぞお楽しみに。

こんにちは。ちょっと興味深い研究を見つけたスタッフが、思うままに古代の日本の犬について思いをめぐらせるコラム・第2弾です。
前回の記事はこちらから→【selfishな歴史犬聞録】日本犬と原始の犬が好きすぎるスタッフの妄想★その1 

今回は、『日本犬はニホンオオカミの子孫なのか』というギモンから綴っていこうと思います。

★日本犬は、ニホンオオカミの子孫なのか?

柴犬が、大きさの面から言えば、もっとも古い「日本の犬」の姿に近い(前回のコラムはこちら)ことまでは分かりました。
では、柴犬が最もニホンオオカミに近い姿の犬なのでしょうか?

ニホンオオカミの骨格などから採取した遺伝子の研究は、そのサンプルとなる標本の少なさからなかなか思うようには進んでいないようです。
しかし、少ないサンプルの遺伝子型から、ニホンオオカミを分類すると、また別の犬種がニホンオオカミに近しいのではないか……。
そんな研究結果も出ているようです。

それは、なんと……紀州犬とシベリアンハスキー(!)。

日本原産の紀州犬はまだ納得が行きますが、なんと北極圏が原産のシベリアンハスキーと遺伝子型では近しい部分もあるかも知れないというのは驚きです。
紀州犬とシベリアンハスキーは、柴犬や秋田犬、さらに見た目は最も野生のオオカミに近い四国犬などよりも後に、ニホンオオカミの仲間から分岐した可能性あるのだそうです。
あくまで一つの可能性に過ぎませんが、とても興味深い研究ですね。

日本犬の祖先はニホンオオカミとは限らないし、洋犬の祖先がニホンオオカミの可能性もある!

今のところ、柴犬をはじめとした現在の日本犬たちは、「ニホンオオカミを祖先として持っている可能性がある」ということにとどまるのだそうです。
そして同様に、シベリアンハスキーなどの洋犬の中にも「ニホンオオカミにルーツを持つ犬たちもいる可能性がある」ということがとても印象的でした。

人々に寄り添ってきた犬たちだからこそ、人々と一緒に複雑に入り乱れた遺伝子になっているのでしょう。
その背景には、人々の移動や文化交流、そして暮らしへの適応と犬たちの果たしてきた役割、様々な事情が絡み合っていることを予測させてくれます。
そして犬たちを介して、過去の歴史を復元することで新しい歴史像が見えてくるような、そんな期待も抱かせてくれます。

私たち、人間の暮らしと犬たちのお付き合いは非常に長い歴史を持っています。
それは人の生活と併走して「犬」という文化が存在していたということ。
人々の歴史と「犬」という文化を知ることが、犬たちとの暮らしにちょっとしたエッセンスにならないかと感じたスタッフでした。

(そしてスピッツタイプ・原始的な犬がもっと好きになりました)

■ 参考文献

1992/6 西中川 駿 他(共同研究) 「Skeltal Remains of Domestic Dogs from Jomon and Yayoi Sites in Kagoshima Prefecture」 Journal of the Anthropological Society of Nippon/485-498 / The Anthropological Society of Nippon
2012 石黒 直峰 「絶滅した日本のオオカミの遺伝的系統」 日本獣医師会雑誌/225-231 /公益社団法人 日本獣医師会

DOG's TALK

POCHI スタッフ OKAPY

歴史と犬猫を愛するスタッフ。幼い頃は秋田犬と暮らす。今は猫と同居中。
学生時代の専攻は日本古代史における伝染病のほか、民俗史や習俗など。
でも生涯を通じて一番好きな題材は三国志・三国時代。
好きな犬のタイプはスピッツタイプ。アラスカンマラミュートやハスキー、秋田犬など。大型犬と触れ合うと漏れなくテンションが上がります。