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2020.02.17

指定療法食を変える時の注意点~ペット栄養管理士のアドバイス #21~

指定療法食を変える時の注意点~ペット栄養管理士のアドバイス  #21~


犬たちの毎日の暮らしを少しベターにするTipsを、POCHIのコンサル担当のスタッフたちがお届けします。今回は犬の療法食を切り替える際の注意点についてご紹介します。

*1 ご相談内容は一例であり、犬たちの生活習慣や体格、体質などによって差があります。

~指定された療法食からの切り替えについて~

<とあるご相談内容>
動物病院で処方された療法食から、別の療法食に切り替えたいと思います。何か注意するべきことはあるでしょうか?

DOG's TALK

POCHI スタッフ OKAPY

犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。

療法食ってどんなもの?

犬の体調が悪い時、食事での症状の改善や体調管理のために使用されるのが療法食です。療法食は、病気や犬の体質の違いによって、使用する原材料やレシピ、栄養バランスが異なっていて、それぞれ「どんな種類を使うか」「どんなふうに食べさせるのか」を獣医師と一緒に決めていく必要があります。病気の治療や体調管理のように目的がはっきりしていて使用するものですので、総合栄養食のように画一的な栄養基準が設けられているわけではありません。
大まかに商品名に「腎臓ケア」や「アレルギー対応食」など記載されていることも多いので、飼い主目線でも気軽に選びやすくなってきていると感じます。

基本的には同じ病気の治療や、症状の軽減を目的とした療法食なら大きく栄養バランスに違いはないといえますが、原材料の違いや病気へのアプローチの違いがあるフードもあります。

療法食を与えるときの注意点

例えば、尿トラブルと一言で言ってもストルバイト結晶、シュウ酸カルシウム結晶などがありますが、ストルバイト結晶とシュウ酸カルシウム結晶では発生する原因が異なるため、療法食の選び方が大切になってきます。尿がアルカリ化している状態が続くことでできるストルバイト結晶では、尿を酸性化させる働きによって結晶を溶かし、尿が酸性化することできやすくなるシュウ酸カルシウム結晶では逆に尿をアルカリ化することで結晶を溶かします。
シュウ酸カルシウム結晶の犬に「尿トラブル」と記載してあるからと言って、安易にストルバイト結晶の治療用の療法食を与えてしまうと尿pHが酸性に傾いてしまい、治療にまったくならないというケースも起こりえます。
また、オシッコトラブルの予防などに使用されるフードの中には飲水量を増やすために、ナトリウムを多めに含んでいるものもあり、心臓に不安がある犬たちや腎臓を労わりたい犬たちにはナトリウム量が多すぎてしまうことも。犬たちの状態によっては「療法食なら大丈夫」とはならないこともありますので、療法食を選ぶ際には慎重に選ぶ必要があります。

おわりに

複数の条件を踏まえたうえで獣医師さんは療法食を処方しますので、まずは「うちの子」のことを良く知ってくれている、信頼できる獣医師さんと話し合い、どんなフードをいつまで、どのように使っていくのかを決めていくことが大切です。
もちろん、最初に処方されたフードが犬に合わなかったり、食べてくれないなどの場合には、別の療法食を検討する必要があります。その際は、担当の獣医師さんに使おうと思っているフードの保証分析値や原材料をチェックしてもらい、切り替えの判断について相談してみるのがいいと思います。
犬たちの体調管理をしていくために、食事は非常に大切なもの。病気の症状を遅らせたり、治療をしていくためには慎重なフード選びを行っていきたいですね。