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2020.02.03

お忘れなく!犬を感染症から守る「ワクチンの種類」

お忘れなく!犬を感染症から守る「ワクチンの種類」

ワクチンの接種は、犬の感染症を予防し、重症化させないためのほか、犬が社会で暮らしていくために「マナー」として受けさせることも多いですよね。生後約2ヵ月頃から継続して接種するものも多く、「そのうち」と考えていてはタイミングを逃してしまうことがあります。お散歩やドッグランデビューなどで、他の犬と触れ合う機会が増える前に、どんな種類があるのか、どこで受けるのかなど、ワクチンの基本について知っておきましょう。

「狂犬病」の予防接種は法律で定められた義務

犬のワクチンには、致死率の高い感染症を防ぐためにすべての犬に接種するよう勧告されている「コアワクチン」と、感染のリスクに応じて接種が推奨される「ノンコアワクチン」の2種類があります。

狂犬病の予防接種はコアワクチンの一種ですが、年に一度は任意ではなく、狂犬病予防法によって定められた義務です。市町村が地元の広場や公園で行う集団接種で受けることができ、費用は約3,000円。集団接種に行かない場合は動物病院で接種することになりますが、費用は病院によって異なり、一般的に集団接種よりも高額になることもあるようです。

必要なこととはいえ、ワクチンの接種は異物を体内に入れる行為です。そのため体調が良く、精神的に安定している日を選んで、接種させることが大切です。またワクチンは、接種後にアレルギー反応などの副作用を起こすことがまれにあります。たとえ体調に変化が起きても、動物病院の診療時間内に対応できるよう、ワクチンの摂取は午前中に済ませることが推奨されるようです。

効果的に組み合わせた「混合ワクチン」が主流

狂犬病を含めて、ワクチンで予防できる犬の病気は8種類です。狂犬病ワクチンだけは単独で接種しますが、その他の感染症予防に関しては、複数の病気に効果的なワクチンを組み合わせた「混合ワクチン」を一度に接種します。混合ワクチンは組み合わせによって2種類~11種類。どの混合ワクチンを接種すれば良いのかは、地域や生活環境、犬の体質などによって異なるほか、コリー、シェルティなど、犬種によって特定のワクチンが受けられないことがあります。信頼できる獣医師に相談するのがベストです。

ワクチン接種の費用は2種混合で3,000円~5,000円ほど、7種類以上で7,000円~10,000円ほど。ただし費用は病院によって異なるため、目安として考えてください。

【参照】世界小動物獣医師会「犬と猫のワクチネーションガイドライン」

「コアワクチン」で予防できる感染症の種類


コアワクチンは、致死率の高い感染症や、人獣共通の感染症で、人の健康にも被害を及ぼす可能性がある伝染病などを予防するためのワクチンで、すべての犬に接種するよう勧告されています。

●犬パルボウイルス感染症
腸炎型と、突然死を引き起こす心筋型があります。感染力が強く、子犬が感染して発症した場合には症状が重くなることが多い。

●犬ジステンバーウイルス感染症
呼吸器、消化器、中枢神経などにウイルスが広がる、死亡率の高い急性の病気です。空気、または飛沫によって感染します。

●犬伝染性肝炎(アデノウイルス1型)
肝炎を特徴とする病気で、その他の症状としては発熱や腹痛、嘔吐、下痢。生後1年未満の子犬が感染すると死亡率が高い。

●犬伝染性喉頭気管炎(アデノウイルス2型)
乾いた咳を主症状とする感染力の強い呼吸器の病気。発熱や食欲不振、くしゃみ、鼻水などが見られることも。犬が多く集まる場所で好発。

「ノンコアワクチン」で予防できる感染症の種類

必須ではありませんが、飼育環境や伝染病の流行状況によって接種するように勧告されるのがノンコアワクチンです。

●犬パラインフルエンザウイルス感染症
咳、くしゃみ、鼻水、発熱、食欲不振など風邪のような症状が特徴。他の病原体との混合感染により重症化し、肺炎を引き起こすことがあります。

●犬コロナウイルス感染症
感染力が強く、下痢、嘔吐、脱水などの症状が出ます。犬パルボウイルスとの混合感染では症状が重くなることがあります。

●レプトスピラ感染症
レプトスピラと呼ばれる細菌の感染によって起こる病気で、動物のふん尿が感染源になります。症状が出ない「不顕性」、腎炎を引き起こす「出血型」、けいれんや嘔吐などが出る「黄疸型」があり、人間にも感染します。250以上の血清型があり、混合ワクチンに入っている血清は「イクテロヘモラジー」や「カニコーラ」などです。

おわりに

狂犬病以外の感染症の予防接種は、義務ではありません。ただし感染症のなかには命に関わるものが多く、万が一のことを考えると、やはり接種しておくことをおすすめします。

またワクチンの接種は、一度打ったからといって、その免疫が一生続くわけではありません。通常は、生後1年までの子犬期に3回、その後1年~数年に1回と、継続して接種します。こうしたワクチンのスケジュールを管理するためにも、子犬を家族に迎えたら、まずは動物病院で健康診断を受け、同時に獣医師にワクチンのプログラムを組んでもらいましょう。こ犬たちが健康で過ごせるように、飼い主ができる取り組の第一歩です。