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2022.02.07

ドイツの街角から ~身近なオーガニック・ビオ。ドイツのスーパーマーケット事情~

ドイツの街角から ~身近なオーガニック・ビオ。ドイツのスーパーマーケット事情~

*1 この記事を書いた人:pochinski スペインのマジョルカ島で保護され、家族になった犬と現在ドイツで暮らす旅行&ファッションライター。趣味は犬の絵を描くこと、犬の首輪や冬用のセーターを作ること、たまに犬の手作り食やケーキ作りも。犬と暮らす日常のひとコマを不定期にお届けします。

ドイツ人の1割は肉をいっさい食べない、という話を先日、ラジオのニュース番組で聞きました。
実際、ドイツでは代替肉を使った食品や植物性ミルク、人工皮革のスニーカーなどの人気が高まっており、ベジタリアンやヴィーガンになる人が年々増えている印象です。
また、肉を断たないまでも、食べる回数を減らす人も増えています。理由はそれぞれでしょうが、家畜の痛みやストレスを軽減した飼育を行う動物福祉や、家畜の飼育や食肉の生産がもたらす環境への影響といった視点から食生活を変える人もいるようです。

 

色とりどりの野菜がずらりと並んだBio専門のスーパーの野菜売り場。値段と一緒に、原産国や生産者などを表示しています。

色とりどりの野菜がずらりと並んだBio専門のスーパーの野菜売り場。値段と一緒に、原産国や生産者などを表示しています。

動物福祉にも関わる飼育方法を基準とし、明確に分類されている食品がドイツにあります。卵です。鶏舎の広さに対するニワトリの数の制限、鶏舎の仕様、飼料などにより、卵は「ケージ飼育」「鶏舎内飼育」「放牧飼育」「オーガニック飼育」と分類されています。価格はオーガニック飼育がやはり最も高く、ケージ飼育とは2倍程度の差でしょうか。

価格が一般の食品より高いにもかかわらず、オーガニックな食品の需要はますます高まる傾向です。ちなみに、ドイツやフランスなどでは食品から衣類までオーガニック製品は「BIO(ビオ)」という通称で呼ばれており、専門のスーパーやマルクトのみならず、一般やディスカウント系のスーパーなどで売られています。特にBIO専門のスーパーの品ぞろえは幅広く、一般的な日常生活品のほか、食肉や小麦粉などの代替食品、植物性ミルクの種類も豊富です。

 

*1 ※マルクトとは……ドイツの地元の人々が買い物を楽しむ庶民的な市場、マーケット。

牛乳と植物性ミルクの売り場。植物性ミルクはブランド、種類ともに豊富です。

牛乳と植物性ミルクの売り場。植物性ミルクはブランド、種類ともに豊富です。

植物性ミルクと言えば、オーツミルクやアーモンドミルク、豆乳などいくつかありますが、最近はカフェでカプチーノやカフェオレを注文すると、「牛乳?それともオーツミルク?」と尋ねられることも増えました。
それだけ植物性ミルクを選ぶ人が多いのでしょう。

 

空になったPfandの容器は、スーパーに設置された機械に戻し、返金用レシートを受け取ります。返金用レシートを買い物の精算時に出すと、合計額から差し引かれます。

空になったPfandの容器は、スーパーに設置された機械に戻し、返金用レシートを受け取ります。返金用レシートを買い物の精算時に出すと、合計額から差し引かれます。

また、ドイツでは食品の容器の簡素化やリサイクルも定着しています。主にビールやミネラルウォーターといった飲料の容器の多くには「Pfand(プファンド)」と呼ばれるデポジット制が用いられています。
購入時に容器の代金をデポジットとして支払い、空となった容器を返却するとデポジットが戻ってくる仕組みです。さらに、コーヒーなどのテイクアウトに紙コップではなくリユース可能なカップを使用しているカフェも数多くあります。

 

Bio専門のマルクト。一般のマルクトよりも店舗数は少ないものの、野菜やチーズ、パン、精肉などを売る店が出店しています。

Bio専門のマルクト。一般のマルクトよりも店舗数は少ないものの、野菜やチーズ、パン、精肉などを売る店が出店しています。

自分が買うものや食べるものの背景、そして始末の仕方など、あれこれと思いを巡らせることがますます多くなりそうです。